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第53話 星空
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「くらえっ!」
『ブォッ……!』
俺は正面のミノタウロスにボディブローを打ち込む。
その一撃でミノタウロスのお腹に風穴があく。
続けざま俺は、その隣で宙に浮いていたソードフライの首を掴んで強引にへし折った。
さらに、
「まだまだっ」
『グゲェッ……!』
背後にいたゴリラ戦士に裏拳を浴びせ後方の岩壁に吹っ飛ばすと、
「最後はお前だっ!」
俺から距離をとって身構えていたデスナイトに一瞬で近付き、これを粉砕、あっという間に四体とも葬った。
俺が四体のモンスター相手に大立ち回りをしていた間メタムンはというと、少し離れたところにある木の陰から俺の戦う様をじっと見守っていた。
そして、
『やったね、善ーっ!』
モンスターたちが消滅したのを確認してからメタムンが俺のもとへと駆けつける。
『やっぱすごいや善はっ。さすがレベル3000オーバーだねっ』
「お、今の戦闘でレベルがさらに24上がったぞ」
『イェーイ! やったじゃん!』
「これはお前のおかげだな」
『えっへへへ』
メタムンの特性の恩恵により、俺はモンスターを倒した際に通常の2倍の経験値を獲得できるようになっていた。
そのおかげで俺は思っていた以上の早さでレベルアップを成し遂げていた。
*************************************
NAME:シバキ・ゼン
Lv:3818
HP:4001 MP:2734
ATK:3976 DEF:3669
AGI:3617 LUK:2613
SPELL:キュア
:チャージ
:リリース
:アスドム
:ダークホール
:ハイランド
:ウォーク
:ノストラ
*************************************
☆ ☆ ☆
その夜、俺とメタムンは小高い丘の上で満天の星空を眺めながら横になっていた。
日本にいた時には見られなかった美しい景色に目を奪われながら、俺は両親のことを考える。
今ごろ父さんと母さんはどうしているだろうか、と。
俺を含めた学生、教師たちおよそ五百人が一斉にいなくなったことで、きっと日本中が大騒ぎになっているに違いない。
なんとか島の外にいる誰かと連絡をとれればいいのだが、俺にはその方法はさっぱり思いつかない。
やはりレベルを上げ続けてMPの値を10000にして、瞬間移動呪文のアスドムを使えるようにするしかないのか。
『善、今何考えてるの?』
隣で横になっているメタムンが口を開く。
「ん、俺の親のこととか、もといた場所のこととかかな」
『ふーん……やっぱり帰りたい?』
「うーん、そうだなぁ……」
もちろん帰りたいさ。そのために俺は行動しているのだからな。
とはいえメタムンを日本に連れ帰るわけにはいかない以上、それはすなわちメタムンとの別れを意味する。
メタムンとは会ってまだ三日ほどだが、ここでメタムンの気持ちを無視して帰りたいとはっきり言えるほど俺は無神経ではない。
なので、
「もし帰る時にはメタムンも一緒に来るか? なんてな、はははは」
なんとなく冗談めかした回答でお茶を濁した。
俺は反応が気になって横目で隣をちらりと見てみたが、メタムンは自分から質問してきたくせにすっかり眠りこけていた。
「なんだよ……」
変に気を遣って損した気分だった。
☆ ☆ ☆
一人静かに星空を眺めていると流れ星が視界に入った。
その時ふと俺に、とある疑問がわいて出てきた。
この【魔物島】に来てそろそろ四ヶ月になろうとしている。
その間俺は【魔物島】の全容を知るために歩き続けていた。
もちろん常に歩いていたわけではないが、それでも多い日では一日に二百キロ近く歩いたことだってある。
にもかかわらず未だに【魔物島】を一周できてはいない。
これはさすがにおかしいのではないだろうか。
そんな大きな島が外界から四ヶ月もの間隔離された状態で、誰にも発見されないなんてことがあるのだろうか。
俺は地理に詳しいわけではないし、本来通るべき道を俺が気付かないうちにそれていたという可能性もなくはない。
なくはないが、それにしてもやはりどこか納得がいかない。
なので俺はある一つの考えたくもない仮説にたどり着いてしまっていた。
その仮説とは――俺たちが今いるここは、地球ではないのではないか。というものだった。
『ブォッ……!』
俺は正面のミノタウロスにボディブローを打ち込む。
その一撃でミノタウロスのお腹に風穴があく。
続けざま俺は、その隣で宙に浮いていたソードフライの首を掴んで強引にへし折った。
さらに、
「まだまだっ」
『グゲェッ……!』
背後にいたゴリラ戦士に裏拳を浴びせ後方の岩壁に吹っ飛ばすと、
「最後はお前だっ!」
俺から距離をとって身構えていたデスナイトに一瞬で近付き、これを粉砕、あっという間に四体とも葬った。
俺が四体のモンスター相手に大立ち回りをしていた間メタムンはというと、少し離れたところにある木の陰から俺の戦う様をじっと見守っていた。
そして、
『やったね、善ーっ!』
モンスターたちが消滅したのを確認してからメタムンが俺のもとへと駆けつける。
『やっぱすごいや善はっ。さすがレベル3000オーバーだねっ』
「お、今の戦闘でレベルがさらに24上がったぞ」
『イェーイ! やったじゃん!』
「これはお前のおかげだな」
『えっへへへ』
メタムンの特性の恩恵により、俺はモンスターを倒した際に通常の2倍の経験値を獲得できるようになっていた。
そのおかげで俺は思っていた以上の早さでレベルアップを成し遂げていた。
*************************************
NAME:シバキ・ゼン
Lv:3818
HP:4001 MP:2734
ATK:3976 DEF:3669
AGI:3617 LUK:2613
SPELL:キュア
:チャージ
:リリース
:アスドム
:ダークホール
:ハイランド
:ウォーク
:ノストラ
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☆ ☆ ☆
その夜、俺とメタムンは小高い丘の上で満天の星空を眺めながら横になっていた。
日本にいた時には見られなかった美しい景色に目を奪われながら、俺は両親のことを考える。
今ごろ父さんと母さんはどうしているだろうか、と。
俺を含めた学生、教師たちおよそ五百人が一斉にいなくなったことで、きっと日本中が大騒ぎになっているに違いない。
なんとか島の外にいる誰かと連絡をとれればいいのだが、俺にはその方法はさっぱり思いつかない。
やはりレベルを上げ続けてMPの値を10000にして、瞬間移動呪文のアスドムを使えるようにするしかないのか。
『善、今何考えてるの?』
隣で横になっているメタムンが口を開く。
「ん、俺の親のこととか、もといた場所のこととかかな」
『ふーん……やっぱり帰りたい?』
「うーん、そうだなぁ……」
もちろん帰りたいさ。そのために俺は行動しているのだからな。
とはいえメタムンを日本に連れ帰るわけにはいかない以上、それはすなわちメタムンとの別れを意味する。
メタムンとは会ってまだ三日ほどだが、ここでメタムンの気持ちを無視して帰りたいとはっきり言えるほど俺は無神経ではない。
なので、
「もし帰る時にはメタムンも一緒に来るか? なんてな、はははは」
なんとなく冗談めかした回答でお茶を濁した。
俺は反応が気になって横目で隣をちらりと見てみたが、メタムンは自分から質問してきたくせにすっかり眠りこけていた。
「なんだよ……」
変に気を遣って損した気分だった。
☆ ☆ ☆
一人静かに星空を眺めていると流れ星が視界に入った。
その時ふと俺に、とある疑問がわいて出てきた。
この【魔物島】に来てそろそろ四ヶ月になろうとしている。
その間俺は【魔物島】の全容を知るために歩き続けていた。
もちろん常に歩いていたわけではないが、それでも多い日では一日に二百キロ近く歩いたことだってある。
にもかかわらず未だに【魔物島】を一周できてはいない。
これはさすがにおかしいのではないだろうか。
そんな大きな島が外界から四ヶ月もの間隔離された状態で、誰にも発見されないなんてことがあるのだろうか。
俺は地理に詳しいわけではないし、本来通るべき道を俺が気付かないうちにそれていたという可能性もなくはない。
なくはないが、それにしてもやはりどこか納得がいかない。
なので俺はある一つの考えたくもない仮説にたどり着いてしまっていた。
その仮説とは――俺たちが今いるここは、地球ではないのではないか。というものだった。
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