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第49話 銀色に輝くスライム
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『プキー!』
銀色に輝くスライムは楽しそうに体を揺らしている。
初めて見るそのモンスターの神々しさに一瞬目を奪われそうになるが、俺は気を取り直すとそのスライムを見下ろした。
『プキー!』
戦う気満々のスライムに対して、
「悪いけど俺はスライムを相手にする気はないんだ。どっかに行ってくれ」
しっしっと追い払おうとする。
しかし銀色のスライムは諦めようとはしない。
無視する俺を見上げ足元にへばりついてくる。
「おい、邪魔だよ。戦う気はないんだってば」
『プキー!』
俺の言葉が理解できないのか、それとも理解してそれでもなおくらいついてくるのか。
どちらにしろ俺がスライムを倒すことは絶対にない。
俺はスライムに対しては少なからず恩義を感じているのだ。
スライムと出会わなければ今俺はこうして生きてはいなかったかもしれない。
なのでスライムの亜種とはいえ、ほぼ同じ見た目のスライムを倒す気には到底なれないのだった。
「ほら、どいてくれ」
『プキー、プキー!』
俺を行かせまいと足元をくるくる回り出す銀色のスライム。
妙な奴に絡まれてしまった。
「もう~、いい加減にしてく――うわっヤバっ!」
先を急ぐ俺が、銀色のスライムをまたいで歩き出そうとしたまさにその瞬間だった。
そのスライムがタイミング悪く俺の足の下にちょうど移動してきて、俺はその勢いのままそいつをむぎゅっと踏みつけてしまった。
「げっ、だ、大丈夫かっ?」
『プ、プキュ~……!』
俺に踏まれてほとんど虫の息のスライム。
俺は慌ててそいつに回復呪文を施す。
「キュア!」
俺の声に呼応して黄色い光が銀色のスライムを優しく包み込んだ。
そして数秒後『プキー、プキー!』とその場で元気に飛び跳ねる銀色のスライム。
どうやら無事に回復したようだった。
大事に至らなくてホッとした俺は、
「ほら、危ないからもうどっか行けって。また踏んづけちゃうぞ」
あえてぶっきらぼうに言い放つも、
『プキー、プキー』
銀色のスライムは意に介さない。
それどころか、俺の足にすり寄ってくる。
「おい、何してんだ」
『プキー、プキー』
「こら、離れろ」
『プキー、プキー』
「何言ってるのかわからん。いいからどっか行けって」
『プキー、プキー』
銀色のスライムは異様にしつこかった。いくら俺から離そうとしてもまったく離れなかったのだ。
さすがに困り果てた俺は少し考え、
「そうだっ」
とあるアイテムの存在に思い至る。
そのアイテムとは笹だんご。
以前マウンテンコアラを倒した時に手に入れていたアイテムで、動物やモンスターに食べさせると人間の言葉を話せるようになるという一風変わったアイテムだった。
使い道が一切なかったのでこれまで使わずにずっと持っていたが、この際だ、使ってしまおう。
そうすればこの銀色のスライムの言っていることがわかるはずだ。
「ちょっと待ってろ、今いいものやるからな」
『プキー?』
俺はスマホの画面の中から笹だんごを選び出し、それを出現させた。
足元に現れ出たそれを銀色のスライムにそっと差し出す。
「ほら、これ食べてみ」
『プキャ~』
大きな口を開け、もぐもぐ……ごくん。
笹だんごを食べ干す銀色のスライム。
するとその直後だった。
銀色のスライムは俺を見上げて、
『おいらを仲間にしてよっ!』
と無邪気に笑いかけてきた。
銀色に輝くスライムは楽しそうに体を揺らしている。
初めて見るそのモンスターの神々しさに一瞬目を奪われそうになるが、俺は気を取り直すとそのスライムを見下ろした。
『プキー!』
戦う気満々のスライムに対して、
「悪いけど俺はスライムを相手にする気はないんだ。どっかに行ってくれ」
しっしっと追い払おうとする。
しかし銀色のスライムは諦めようとはしない。
無視する俺を見上げ足元にへばりついてくる。
「おい、邪魔だよ。戦う気はないんだってば」
『プキー!』
俺の言葉が理解できないのか、それとも理解してそれでもなおくらいついてくるのか。
どちらにしろ俺がスライムを倒すことは絶対にない。
俺はスライムに対しては少なからず恩義を感じているのだ。
スライムと出会わなければ今俺はこうして生きてはいなかったかもしれない。
なのでスライムの亜種とはいえ、ほぼ同じ見た目のスライムを倒す気には到底なれないのだった。
「ほら、どいてくれ」
『プキー、プキー!』
俺を行かせまいと足元をくるくる回り出す銀色のスライム。
妙な奴に絡まれてしまった。
「もう~、いい加減にしてく――うわっヤバっ!」
先を急ぐ俺が、銀色のスライムをまたいで歩き出そうとしたまさにその瞬間だった。
そのスライムがタイミング悪く俺の足の下にちょうど移動してきて、俺はその勢いのままそいつをむぎゅっと踏みつけてしまった。
「げっ、だ、大丈夫かっ?」
『プ、プキュ~……!』
俺に踏まれてほとんど虫の息のスライム。
俺は慌ててそいつに回復呪文を施す。
「キュア!」
俺の声に呼応して黄色い光が銀色のスライムを優しく包み込んだ。
そして数秒後『プキー、プキー!』とその場で元気に飛び跳ねる銀色のスライム。
どうやら無事に回復したようだった。
大事に至らなくてホッとした俺は、
「ほら、危ないからもうどっか行けって。また踏んづけちゃうぞ」
あえてぶっきらぼうに言い放つも、
『プキー、プキー』
銀色のスライムは意に介さない。
それどころか、俺の足にすり寄ってくる。
「おい、何してんだ」
『プキー、プキー』
「こら、離れろ」
『プキー、プキー』
「何言ってるのかわからん。いいからどっか行けって」
『プキー、プキー』
銀色のスライムは異様にしつこかった。いくら俺から離そうとしてもまったく離れなかったのだ。
さすがに困り果てた俺は少し考え、
「そうだっ」
とあるアイテムの存在に思い至る。
そのアイテムとは笹だんご。
以前マウンテンコアラを倒した時に手に入れていたアイテムで、動物やモンスターに食べさせると人間の言葉を話せるようになるという一風変わったアイテムだった。
使い道が一切なかったのでこれまで使わずにずっと持っていたが、この際だ、使ってしまおう。
そうすればこの銀色のスライムの言っていることがわかるはずだ。
「ちょっと待ってろ、今いいものやるからな」
『プキー?』
俺はスマホの画面の中から笹だんごを選び出し、それを出現させた。
足元に現れ出たそれを銀色のスライムにそっと差し出す。
「ほら、これ食べてみ」
『プキャ~』
大きな口を開け、もぐもぐ……ごくん。
笹だんごを食べ干す銀色のスライム。
するとその直後だった。
銀色のスライムは俺を見上げて、
『おいらを仲間にしてよっ!』
と無邪気に笑いかけてきた。
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