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第14話 コカトリスの最期
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全身が石化してしまった俺だったが意識ははっきりしていた。
しかしどうやっても指先一つ動かない。
そんな俺をあざ笑うかのようにコカトリスは『グェッグェッ』と下品に鳴いた。
……完全に油断していた。
とぼけた表情と緊張感のない鳴き声、敵意を一切感じさせないたたずまい。
そこへ空腹も相まって、普段の俺なら決してしないであろうモンスターを見逃すという行為を犯してしまった。
仲間と行動していたならいざ知らず、常に一人きりでここまでやってきた俺には助けなど期待できるはずもない。
まともにやり合えばまず間違いなく勝てると思うが、石になってしまっている以上くちばしでつつかれて後ろに倒されただけでも粉々になってしまうだろう。
万事休す、か。
俺は最後の悪あがきとばかりに精一杯コカトリスをにらみつけてやる。
だがその視線をまったく意に介さずコカトリスは片脚を上げた。
俺を蹴り飛ばすつもりらしい。
死の間際になると走馬灯を見るというが、そんなのはでたらめだな。
俺は心の中でそのような与太話を一笑に付す。
その直後、
『グェーッ!!』
コカトリスが前蹴りを繰り出し――
「リリリル!」
俺のお腹にコカトリスの脚が当たった。
「? …………あ、あれ? なんともない……?」
一瞬何が起こったのかわからなかった俺だが、いつの間にか石化が解けていることに気付く。
『グェ、グェェッ!??』
驚き慌てふためくコカトリス。
予期していなかった展開にパニックになっている。
「どうやら、助かったみたいだな……それにしても正直言ってかなり焦ったぞ。お前みたいな危険な奴は息の根を止めておかないとな」
『グェ、グェ、グェェッ……!?』
俺の気迫に圧されたのか、コカトリスはあとずさりをする。
「呪文を使わなくても倒せるとは思うけど、念には念を入れるか……リリースっ!」
唱えた瞬間、全身に力がみなぎってきた。
「こうなると手加減は出来ないからな、覚悟しろよ」
『グェ、グェ、グェェーッ!!』
勝てないと悟った様子のコカトリスは向きを変えると一目散に逃げ出した。
だがもちろん俺がそんなことを許すはずもなく、
「逃がすかよっ!」
地面を強く蹴ってコカトリスの背後に急接近すると、コカトリスの背中めがけて渾身の右ストレートを叩き込む。
その瞬間、ボォォンッ!! という爆発音のような何かがはじける音が森の中に響き渡った。
と同時に真っ赤な血が辺り一面に飛び散った。
俺は顔に浴びたコカトリスの血液を拭いながら、
「ちょっとやり過ぎたかな……」
言葉とは裏腹にすっきりとした面持ちで、さっきまでコカトリスであった肉片を見下ろすのだった。
しかしどうやっても指先一つ動かない。
そんな俺をあざ笑うかのようにコカトリスは『グェッグェッ』と下品に鳴いた。
……完全に油断していた。
とぼけた表情と緊張感のない鳴き声、敵意を一切感じさせないたたずまい。
そこへ空腹も相まって、普段の俺なら決してしないであろうモンスターを見逃すという行為を犯してしまった。
仲間と行動していたならいざ知らず、常に一人きりでここまでやってきた俺には助けなど期待できるはずもない。
まともにやり合えばまず間違いなく勝てると思うが、石になってしまっている以上くちばしでつつかれて後ろに倒されただけでも粉々になってしまうだろう。
万事休す、か。
俺は最後の悪あがきとばかりに精一杯コカトリスをにらみつけてやる。
だがその視線をまったく意に介さずコカトリスは片脚を上げた。
俺を蹴り飛ばすつもりらしい。
死の間際になると走馬灯を見るというが、そんなのはでたらめだな。
俺は心の中でそのような与太話を一笑に付す。
その直後、
『グェーッ!!』
コカトリスが前蹴りを繰り出し――
「リリリル!」
俺のお腹にコカトリスの脚が当たった。
「? …………あ、あれ? なんともない……?」
一瞬何が起こったのかわからなかった俺だが、いつの間にか石化が解けていることに気付く。
『グェ、グェェッ!??』
驚き慌てふためくコカトリス。
予期していなかった展開にパニックになっている。
「どうやら、助かったみたいだな……それにしても正直言ってかなり焦ったぞ。お前みたいな危険な奴は息の根を止めておかないとな」
『グェ、グェ、グェェッ……!?』
俺の気迫に圧されたのか、コカトリスはあとずさりをする。
「呪文を使わなくても倒せるとは思うけど、念には念を入れるか……リリースっ!」
唱えた瞬間、全身に力がみなぎってきた。
「こうなると手加減は出来ないからな、覚悟しろよ」
『グェ、グェ、グェェーッ!!』
勝てないと悟った様子のコカトリスは向きを変えると一目散に逃げ出した。
だがもちろん俺がそんなことを許すはずもなく、
「逃がすかよっ!」
地面を強く蹴ってコカトリスの背後に急接近すると、コカトリスの背中めがけて渾身の右ストレートを叩き込む。
その瞬間、ボォォンッ!! という爆発音のような何かがはじける音が森の中に響き渡った。
と同時に真っ赤な血が辺り一面に飛び散った。
俺は顔に浴びたコカトリスの血液を拭いながら、
「ちょっとやり過ぎたかな……」
言葉とは裏腹にすっきりとした面持ちで、さっきまでコカトリスであった肉片を見下ろすのだった。
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