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第8話 レベルアップ(三ヶ月前)
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「おい、スライムっ。大丈夫かっ?」
俺は大蛇の口の中からスライムを引っ張り出す。
『ピ、ピュイ~……』
唾液まみれのスライムはひどく弱り切っていた。
「おい、しっかりしろっ」
『……ピ、ピュ~……』
今思えば大蛇へのスライムの攻撃は最後の力を振り絞ったものだったのだろう。
「スライムっ。おい、スライムっ!」
『……』
三回目の呼びかけの時にはすでにスライムはこと切れていた。
そして、スライムは羽の生えた大蛇もろともすぅっとその姿を消したのだった。
☆ ☆ ☆
「き、消えたっ……!?」
ピピー、ピピー、ピピー!
目の前で起こった信じられない事象によって放心状態になっていた俺の耳に聞こえるはずのないアラーム音が届く。
「? な、なんだっ……?」
俺のスマホは完全に壊れてしまっている。
それは何度も確認済みだった。
だがしかし――
「えっ? 俺のスマホがっ……!?」
ズボンのポケットから取り出してみたスマホの液晶画面には文字や数字が表示されていた。
・デビルヴァイパーを倒したことで312の経験値を獲得しました。
・デビルヴァイパーを倒したことで<ポーション>を入手しました。
・スライムを倒したことで3の経験値を獲得しました。
・レベルが8上がり、レベル9になりました。
「な、なんだこれ……?」
スマホが復活したと思ったら意味不明な言葉の羅列。
「デビルヴァイパー……? ポーション……? レベル9だって……?」
ただでさえよくわからない場所で目覚めてスライムに遭遇するという理解不能な状況の中で、そのスライムたちが俺の目の前から消滅しスマホにはまるでゲームに出てくるような文章が表示されていることに俺は頭が追いついていかない。
「……と、とにかく、ここを一旦出よう。考えるのはそれからだ」
さっきの羽の生えた大蛇のような生物がまだほら穴の奥に潜んでいないとも限らない。
スライムのおかげで今の生物はどうにか倒すことが出来たわけだが、もう一度やれと言われてもその自信はまったくない。
なので俺は耳を澄まし辺りを警戒しながら、スマホ片手にほら穴を抜け出した。
俺は大蛇の口の中からスライムを引っ張り出す。
『ピ、ピュイ~……』
唾液まみれのスライムはひどく弱り切っていた。
「おい、しっかりしろっ」
『……ピ、ピュ~……』
今思えば大蛇へのスライムの攻撃は最後の力を振り絞ったものだったのだろう。
「スライムっ。おい、スライムっ!」
『……』
三回目の呼びかけの時にはすでにスライムはこと切れていた。
そして、スライムは羽の生えた大蛇もろともすぅっとその姿を消したのだった。
☆ ☆ ☆
「き、消えたっ……!?」
ピピー、ピピー、ピピー!
目の前で起こった信じられない事象によって放心状態になっていた俺の耳に聞こえるはずのないアラーム音が届く。
「? な、なんだっ……?」
俺のスマホは完全に壊れてしまっている。
それは何度も確認済みだった。
だがしかし――
「えっ? 俺のスマホがっ……!?」
ズボンのポケットから取り出してみたスマホの液晶画面には文字や数字が表示されていた。
・デビルヴァイパーを倒したことで312の経験値を獲得しました。
・デビルヴァイパーを倒したことで<ポーション>を入手しました。
・スライムを倒したことで3の経験値を獲得しました。
・レベルが8上がり、レベル9になりました。
「な、なんだこれ……?」
スマホが復活したと思ったら意味不明な言葉の羅列。
「デビルヴァイパー……? ポーション……? レベル9だって……?」
ただでさえよくわからない場所で目覚めてスライムに遭遇するという理解不能な状況の中で、そのスライムたちが俺の目の前から消滅しスマホにはまるでゲームに出てくるような文章が表示されていることに俺は頭が追いついていかない。
「……と、とにかく、ここを一旦出よう。考えるのはそれからだ」
さっきの羽の生えた大蛇のような生物がまだほら穴の奥に潜んでいないとも限らない。
スライムのおかげで今の生物はどうにか倒すことが出来たわけだが、もう一度やれと言われてもその自信はまったくない。
なので俺は耳を澄まし辺りを警戒しながら、スマホ片手にほら穴を抜け出した。
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