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第18話 予期せぬ名前

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「ルーブルが……女……!?」
「あ、ああ。そうだ」
「そ、そんなはずはないっ。ルーブルはたしかに男でっ……自分のことも俺って呼んでいたし……」
「わ、わしもつい最近まで、男だと思っていた。う、嘘をついていたんだ……あいつは……」
「そ、そんな……」

ルーブルが女……?
た、たしかに奴隷としては女の方が価値がある。
だ、だから男だと偽っていたのか……?

そ、そう言われると僕より小さかったことや細い腕、中性的な顔立ち……。
思い返すと合点がいかないこともない。

「ル、ルーブルは今どこにいる?」
「……」
「どこにいるっ!」
「ひっ……と、とある王族に、う、売ってしまって、も、もういない……」
震える声でガンドーラは答えた。

「誰だ? 誰に売ったっ?」
「き、聞いて、どうするんだ……?」
「助け出すに決まってるだろ。いいから名前を言え、本当に殺すぞ」
僕は自分でも驚くほど自然に「殺す」という言葉を口にしていた。

「キ、キングス王国の、だ、第三王子……アズライル殿、だ……」
「なっ、アズライルっ!?」

アズライル。
まさかその名前をまた聞くことになるとは思ってもいなかった。
予期せぬ名前が出たことで僕は身震いしていた。

〈無限の大迷宮〉での一件以来一度も会っていない。
あれから三年、今どこで何をしているのかも知らない。
そのアズライルがルーブルを買った……。

「アズライルは今どこにいる?」
「そ、それは……」
反応からしてガンドーラはアズライルの居場所を知っている気がした。

「どこだ?」
「わ、わしが話したと知れたら、ど、どんな目に遭うか……」
「言わないなら今殺す」
「わ、わかった、わかったから、そ、それ以上近付かないでくれっ……」

ガンドーラは観念したようでアズライルの居場所を白状した。

「バ、バイラックの町にいるはずだ……」
「そうか……ありがとう」
「じゃ、じゃあ、わしは、こ、これで……行っていいんだよな……?」
「ああ……逝っていいよ」

このあと僕はガンドーラをあっさりと殺した。
そして娼館に入り込むとそこにいた奴隷たち全員を力づくで解放させたのだった。
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