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第8話 地上

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「すーはー。やっぱり外の空気は違うなぁ」

深呼吸をして数年ぶりの地上の空気を堪能する。
僕はつい今しがたSSSランクダンジョン、<無限の大迷宮>から地上に抜け出たところだった。

日光に照らされながら僕は伸びをしてそれから首を回した。
「んーっ」
ダンジョンの中にも空はあったが、やはり現実の空は開放感が段違いだ。
自然と気分が高揚してくる。

「さてと……」

僕はあらためて自分の体を見下ろした。
長いことダンジョンに潜っていたから服がボロボロだった。
ダンジョンの途中で靴と食糧はみつけることが出来たが、残念ながら服は手に入らなかったのだ。

「とりあえず、着替えないとな」

ダンジョンの入り口近くにたしか町があったはず。
ダンジョンの途中で手に入れたいくつかのアイテムも売りたいところだし、まずは町を目指そう。
そう考え、僕は町へと歩き出す。


☆ ☆ ☆


「うーん? おかしいな……」

歩けども歩けども町が見当たらない。
<無限の大迷宮>に挑戦する際に立ち寄った町がこの辺りにあったはずなのだが。
この何年かでなくなってしまったのだろうか。

「まいったぞ」

よくよく周りを見渡すと数年前とは景色もどこか違っていた。
僕の記憶違いか、それともダンジョンの入り口が移動でもしたのか。

考えても仕方がない。そろそろ夜になる。
それまでには町、いや小さな村でもいい。
とにかく人がいる場所にたどり着きたい。

とそんな時だった。
「ん?」
前方に何やら見えた気がした。

「もしかして……」
僕は足を速める。
そして、
「明かりだっ!」
長らくダンジョンにいたせいか人恋しくなっていた僕は、明かりがついた一軒家をみつけて嬉しさのあまりその場で飛び跳ねた。


☆ ☆ ☆


「すみませーん」

僕は玄関の前で声を上げる。

するとしばらくして「はいはい、ちょっと待っとくれ」と中から声が返ってきた。
ドアが開いて、
「あら? どちら様?」
顔をのぞかせたのはおばあさんだった。

「あ、えっと、あのっ……ぼ、僕は、そのっ」
久しぶりにドリアード以外の人と会話するので声が上ずってしまう。
緊張して上手く話せない。

「あらまあ、服がボロボロじゃないの。顔もそんなに汚れちゃってまあ。とりあえず中にお上がんなさいな、外は冷えるでしょ」
「え、いいんですかっ?」
「ええ、ええ。困った時はお互い様だからね」
そう言うとおばあさんは優しい顔で僕を家に上げてくれた。
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