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第213話 マスタードラゴン
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「ククリもスラも早く俺から離れろっ!」
よりによって階段を下りた先がフロアボス、マスタードラゴンの部屋だったなんて。
「マツイさん、マスタードラゴンは炎耐性がありますからバトルフレアは効きませんよ!」
「わかってるっ」
上へと戻る階段は既に塞がれている。
マスタードラゴンには炎耐性がある以上スラは戦闘には参加できない。
俺一人でこのフロアボスをやるしかないっ。
黄色い体で体長六メートルほどのマスタードラゴン。
モンスターコレクターもあるし倒せないことはないはずだ。
その時マスタードラゴンが腹を目いっぱい膨らませた。
「マツイさん、灼熱の炎が来ますっ!」
ゴオォォォー!!!
俺は両手をクロスさせ灼熱の炎を耐えた。
そして右手にゴールドソード、左手に黒極の剣を握り締め炎の中飛び掛かっていく。
「うおぉぉー!」
ガキンッ!
ガキンッ!
「なっ!?」
マスタードラゴンの首を狙ったのだが二本の剣はことごとく折れてしまった。
『ギャオォォー!』
マスタードラゴンが長いしっぽをムチのようにしならせなぎ払ってくる。
「ぐあっ!」
俺はしっぽに吹っ飛ばされて壁に激突した。
「マツイさんっ」
『マツイさんっ』
「くっ……大丈夫だ」
よろよろと立ち上がる。
正直あまり大丈夫ではない。
ステータスを見ると今の一撃だけで生命力の三分の一が削られていた。
「ハイヒール!」
俺は受けたダメージを回復するとマスタードラゴンを見据える。
武器を失い素手になってしまった俺。
残された手はバトルメテオくらいだが。
ばさっ。
その時マスタードラゴンが翼を広げ宙に舞い上がった。
下に向かって灼熱の炎を吐く。
ゴオォォォー!!!
「スラ、なるべく壁の方に寄ってろっ」
スラは灼熱の炎を吐くことは出来ても炎に対する耐性は持ってはいない。
灼熱の炎なんてくらったら一発でアウトだ。
俺は灼熱の炎に飲まれながらも手を上に向け、
「バトルメテオっ!」
と叫んだ。
その瞬間無数の隕石が天井付近から出現しマスタードラゴンに向かって降り注いだ。
『ギャオォォー!』
ドドドドッと隕石群がマスタードラゴンを襲う。
さすがのマスタードラゴンもその勢いにのまれ地面に叩きつけられた。
なおも隕石は高速落下を続ける。
石畳がそこかしこで砕け砂煙が辺りを舞う。
これで倒れてくれればいいが……。
隕石群がやんだ。
一転静かになる。
「やったか――」
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンは砂煙舞う中悠々と立ち上がった。
体にも翼にも傷一つついてはいない。
「……マジかよ」
『ギャオオォォォー!!』
最悪だ、これはむしろ怒らせてしまっただけのようにも見えるぞ。
よりによって階段を下りた先がフロアボス、マスタードラゴンの部屋だったなんて。
「マツイさん、マスタードラゴンは炎耐性がありますからバトルフレアは効きませんよ!」
「わかってるっ」
上へと戻る階段は既に塞がれている。
マスタードラゴンには炎耐性がある以上スラは戦闘には参加できない。
俺一人でこのフロアボスをやるしかないっ。
黄色い体で体長六メートルほどのマスタードラゴン。
モンスターコレクターもあるし倒せないことはないはずだ。
その時マスタードラゴンが腹を目いっぱい膨らませた。
「マツイさん、灼熱の炎が来ますっ!」
ゴオォォォー!!!
俺は両手をクロスさせ灼熱の炎を耐えた。
そして右手にゴールドソード、左手に黒極の剣を握り締め炎の中飛び掛かっていく。
「うおぉぉー!」
ガキンッ!
ガキンッ!
「なっ!?」
マスタードラゴンの首を狙ったのだが二本の剣はことごとく折れてしまった。
『ギャオォォー!』
マスタードラゴンが長いしっぽをムチのようにしならせなぎ払ってくる。
「ぐあっ!」
俺はしっぽに吹っ飛ばされて壁に激突した。
「マツイさんっ」
『マツイさんっ』
「くっ……大丈夫だ」
よろよろと立ち上がる。
正直あまり大丈夫ではない。
ステータスを見ると今の一撃だけで生命力の三分の一が削られていた。
「ハイヒール!」
俺は受けたダメージを回復するとマスタードラゴンを見据える。
武器を失い素手になってしまった俺。
残された手はバトルメテオくらいだが。
ばさっ。
その時マスタードラゴンが翼を広げ宙に舞い上がった。
下に向かって灼熱の炎を吐く。
ゴオォォォー!!!
「スラ、なるべく壁の方に寄ってろっ」
スラは灼熱の炎を吐くことは出来ても炎に対する耐性は持ってはいない。
灼熱の炎なんてくらったら一発でアウトだ。
俺は灼熱の炎に飲まれながらも手を上に向け、
「バトルメテオっ!」
と叫んだ。
その瞬間無数の隕石が天井付近から出現しマスタードラゴンに向かって降り注いだ。
『ギャオォォー!』
ドドドドッと隕石群がマスタードラゴンを襲う。
さすがのマスタードラゴンもその勢いにのまれ地面に叩きつけられた。
なおも隕石は高速落下を続ける。
石畳がそこかしこで砕け砂煙が辺りを舞う。
これで倒れてくれればいいが……。
隕石群がやんだ。
一転静かになる。
「やったか――」
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンは砂煙舞う中悠々と立ち上がった。
体にも翼にも傷一つついてはいない。
「……マジかよ」
『ギャオオォォォー!!』
最悪だ、これはむしろ怒らせてしまっただけのようにも見えるぞ。
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