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第209話 劣等感

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俺たちはフロアを歩いて既に宝箱を二つみつけていた。
一つ目の宝箱には攻撃力+10のゴールドソードが、二つ目の宝箱にはハイポーションがそれぞれ入っていた。

ゴールドソードは地下十九階層では攻撃力こそそれほど高くはないが二十万円で買い取ってもらえるらしい。
ハイポーションは飲むと生命力を全回復できるという優れものだった。ダンジョンでは飲み物は大事だ。
どちらも異次元袋にしまっておいた。


しばらく細長い通路を歩いていると行き止まりになっていてそこには一体のゴーレムの姿があった。
俺が引き返そうとすると、
「待ってくださいマツイさんっ。ゴーレムの足元に宝箱がありますよっ」
ククリが指を差す。

「あ、本当だ」
『じゃああたしが』
「こらこら、宝箱まで燃やす気か。俺が倒してくるよ」
そう言うなり俺はふたりをその場に残して先へ向かった。


「かかってこい、ゴーレム」
『……』
俺を正面から見据え無言でどしんどしんと近付いてくるゴーレム。

俺は核を狙って心臓部分を突き刺しにいった。
だがゴーレムは左腕でそれをガードする。

剣が腕に刺さったままゴーレムは右腕を振り下ろしてきた。

ドゴッ!

「おっと」

俺はこれを後ろに避けゴーレムのパンチが石畳を粉砕する。
ソードイーターはゴーレムの腕に刺さったままだ。
そのソードイーターをゴーレムは引き抜くと後ろに投げ捨てた。
「あっ」

『……』
気のせいかゴーレムは勝ち誇っているように見える。

俺は笑ってみせた。
「剣ならまだあるぞ」

俺はもう一本の剣を異次元袋から取り出した。
攻撃力+25の黒極の剣だ。

「こっちで片づけてやるっ」

俺はゴーレムに飛び掛かると左腕を斬り落とした。
さらに邪魔な右腕も斬り落とす。

「やあっ!」
そしてガラ空きになった心臓部分へ鋭い突きをお見舞いした。
核を破壊してゴーレムの体を貫通する黒極の剣。

その直後ゴーレムはがらがらと崩れ去った。


「ふたりとももういいぞー」
後ろを振り向くと、

ゴオォォォー!!!

スラが三体のゴーレムを相手に灼熱の炎を吐いていた。

俺に比べあっさりと三体のゴーレムを葬り去るスラ。

「はい? マツイさん、今何か言いましたか~?」
スラの方を見ていたククリが俺に問いかけてくる。

「いや……なんでもない」

ソードイーターを拾いながら少しだけスラに対して劣等感を覚える俺だった。
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