207 / 233
第207話 ゴーレム
しおりを挟む
地下十九階層。
「あ、ククリに訊くの忘れてた。このフロアはどんなモンスターが出るんだ?」
しあわせのアメをどうするかでもめていてククリに話を訊かないまま俺たちは地下十九階層に下りてしまっていた。
俺は階段を下りた部屋でククリに訊ねる。
「この階層にはゴーレムという魔法生物が出てきます。泥で出来たモンスターですが防御力がとても高いのが特徴です」
「ふーん」
「でもスラさんの灼熱の炎は有効なのでどんどん使っちゃって大丈夫ですよ」
とククリ。
「そうか。じゃあこのフロアもスラに協力してもらおうかな」
『いいよー。あたしに任せといてっ』
和気あいあいと話していると通路から石のブロックの集合体のようなモンスターが姿を見せた。
大きさは二メートルくらいだろうか。
「出ましたよっ。あれがゴーレムですっ」
「よし、まずは俺が行くからスラはここにいてくれ」
『オッケー』
スラを控えさせると俺はゴーレムに向かって駆け出した。
「おりゃあー」
バキンッ!
「なっ!? ぐえっ……!」
勢い込んでいったはいいが妖刀みつごろしがゴーレムの頭に当たって割れ、俺は腹を思いきり殴られた。
ミラクルアーマーの上からでも強い衝撃が伝わってきた。
俺は地面に倒れ込む。
「いってぇ……」
「マツイさん上っ!」
ククリの言葉で上を見た俺の目にはゴーレムの大きな足の裏が映った。
「ぐぬっ……」
『……』
ゴーレムは無言で俺を踏みつぶそうとしてくる。
「ぐぐ、このっ……」
その時、
ゴオォォォー!!!
炎がゴーレムを飲み込んだ。
俺も一緒に炎に包まれる。
「ぅわあっちぃー!!」
『……』
俺はすぐさま炎の中から逃げ出すと、
「スラっ、何やってんだ俺まで殺す気かっ!」
灼熱の炎を吐いているスラに向かって言った。
……ォォン。
『……ふぅー。あはは、ごめんねマツイさん。ピンチそうだったからつい』
ゴーレムは跡形もなくきれいさっぱり消えていた。
『でもマツイさんなら寒熱耐性があるからだいじょぶっしょ?』
「死なないってだけで熱いことには変わりはないんだからな、まったく」
まあ実際ピンチっぽく見えていたのは俺のせいかもしれないけど。
「それにしてもすごい硬さだな、ゴーレムって。妖刀みつごろしがおっ欠けちゃったぞ」
「言ったじゃないですか、防御力が高いって」
「まあそうだけど……」
俺は異次元袋から攻撃力+28のソードイーターという大きな剣を取り出す。
「仕方ないからここからはこの武器でいくか」
『マツイさん、あたしが全部やっつけてあげよっか』
スラは言うが、
「そんなに魔力草も残ってないだろ」
魔力がなければ灼熱の炎は使えないからスラにばっかりは頼れない。
「なあに、さっき踏みつぶされてわかったけど力は大したことはなさそうだからなんとかなるさ」
とちょっと強がってみせる。
俺はソードイーターを握り締めながら次こそは俺がゴーレムを倒すと心の中で決意した。
「あ、ククリに訊くの忘れてた。このフロアはどんなモンスターが出るんだ?」
しあわせのアメをどうするかでもめていてククリに話を訊かないまま俺たちは地下十九階層に下りてしまっていた。
俺は階段を下りた部屋でククリに訊ねる。
「この階層にはゴーレムという魔法生物が出てきます。泥で出来たモンスターですが防御力がとても高いのが特徴です」
「ふーん」
「でもスラさんの灼熱の炎は有効なのでどんどん使っちゃって大丈夫ですよ」
とククリ。
「そうか。じゃあこのフロアもスラに協力してもらおうかな」
『いいよー。あたしに任せといてっ』
和気あいあいと話していると通路から石のブロックの集合体のようなモンスターが姿を見せた。
大きさは二メートルくらいだろうか。
「出ましたよっ。あれがゴーレムですっ」
「よし、まずは俺が行くからスラはここにいてくれ」
『オッケー』
スラを控えさせると俺はゴーレムに向かって駆け出した。
「おりゃあー」
バキンッ!
「なっ!? ぐえっ……!」
勢い込んでいったはいいが妖刀みつごろしがゴーレムの頭に当たって割れ、俺は腹を思いきり殴られた。
ミラクルアーマーの上からでも強い衝撃が伝わってきた。
俺は地面に倒れ込む。
「いってぇ……」
「マツイさん上っ!」
ククリの言葉で上を見た俺の目にはゴーレムの大きな足の裏が映った。
「ぐぬっ……」
『……』
ゴーレムは無言で俺を踏みつぶそうとしてくる。
「ぐぐ、このっ……」
その時、
ゴオォォォー!!!
炎がゴーレムを飲み込んだ。
俺も一緒に炎に包まれる。
「ぅわあっちぃー!!」
『……』
俺はすぐさま炎の中から逃げ出すと、
「スラっ、何やってんだ俺まで殺す気かっ!」
灼熱の炎を吐いているスラに向かって言った。
……ォォン。
『……ふぅー。あはは、ごめんねマツイさん。ピンチそうだったからつい』
ゴーレムは跡形もなくきれいさっぱり消えていた。
『でもマツイさんなら寒熱耐性があるからだいじょぶっしょ?』
「死なないってだけで熱いことには変わりはないんだからな、まったく」
まあ実際ピンチっぽく見えていたのは俺のせいかもしれないけど。
「それにしてもすごい硬さだな、ゴーレムって。妖刀みつごろしがおっ欠けちゃったぞ」
「言ったじゃないですか、防御力が高いって」
「まあそうだけど……」
俺は異次元袋から攻撃力+28のソードイーターという大きな剣を取り出す。
「仕方ないからここからはこの武器でいくか」
『マツイさん、あたしが全部やっつけてあげよっか』
スラは言うが、
「そんなに魔力草も残ってないだろ」
魔力がなければ灼熱の炎は使えないからスラにばっかりは頼れない。
「なあに、さっき踏みつぶされてわかったけど力は大したことはなさそうだからなんとかなるさ」
とちょっと強がってみせる。
俺はソードイーターを握り締めながら次こそは俺がゴーレムを倒すと心の中で決意した。
0
お気に入りに追加
676
あなたにおすすめの小説
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる