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第144話 ミノタウロス
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「スラ、もう少し離れてくれ。歩きづらい」
『ピキー』
スラは俺の足元に寄り添うようにしてぴったりとついてきていた。
「おーい。聞いてるか?」
惚れ薬を飲ませたせいかスラがいつもより俺にひっついてくる。
「マツイさんが惚れ薬なんて飲ませるからこうなるんですよ」
「しょうがないだろ。スラが腹減りすぎて倒れそうだったんだから」
というか実際倒れたんだっけ。
ここは地下十三階層。
地下十二階層のフロアボスであるボストロールを魔石を使って一撃で葬り去った俺たちは下の階に下りてアイテムを探していた。
「スラ、お前のために言ってるんだぞ。下手すると俺がお前を踏んづけて潰しちゃうかもしれないだろ」
するとスラは俺の前に回り込み、
『ピキー、ピキー』
跳び上がって何かを訴える。
「何?」
『ピキー、ピキー』
「さっぱりだ。ククリ頼む」
「は~い。えーとですね、スラさんが言うにはありがとうマツイさん、話は変わるけどやっぱり飲み物じゃお腹は膨れない、だそうです」
「なんだそれは、結局色気より食い気か」
スラは小さい体だからなのか非常に燃費が悪い。
さっき薬草を食べたと思ったら次の瞬間にはもう腹が減っている。
とまあそれはさすがに言いすぎだがスラのために何か食べられるものを探してやらないといけないな。
「待ってろ、今フロアをぐるっと回るから」
『ピキー』
そう返すとスラは聞き分けよく俺のあとをついてくる。
「ククリ、訊き忘れてたけどこのフロアにはどんなモンスターが出るんだ?」
俺は振り返るとククリに問いかけた。
「このフロアに出てくるのはミノタウロスというモンスターです」
「ミノタウロス? なんか聞いたことあるようなないような……」
「見た目は上半身が牛で下半身が人間みたいな――って出ましたよマツイさんっ!」
と突然ククリは前を指差し声を大にする。
俺は正面に向き直るとミノタウロスと目が合った。
透視をおろそかにしていたため死角になっていた通路側から接近していることに気付けなかった。
ミノタウロスはククリの言う通り確かに牛と人間を足したようなモンスターだったが胸の辺りは人間のそれだし股間の辺りは牛のそれのようだった。
『ウボォー!』
ミノタウロスは右手に持っていた斧を俺めがけ振り下ろした。
「がっ……!」
不意を突かれて俺は瞬時に対応できなかった。
左手に持った海賊の盾を構える暇もなく肩に重い一撃をくらう。
「いってぇ……」
「大丈夫ですか、マツイさんっ」
「ああ、大丈夫っ」
シルバーメイルに救われた。
だがおかげでシルバーメイルの肩の部分がへこんでしまった。
「傷がついちゃっただろっ。ベアさんに買い取ってもらえなくなったらどうするんだ!」
俺は怒りを込めて刀を下から上に振り抜いた。
ザシュッ。
ミノタウロスの体に斜めに一本線が入る。
「まだまだっ」
さらに妖刀ししおどしの効果で身動きの取れなくなったミノタウロスの左胸を今度は上から下に斬り裂いた。
ミノタウロスの返り血は俺にかかることもなく本体とともに消えていった。
「ふぅ、危ない。ちょっと油断してた」
「駄目ですよマツイさん。ちゃんと前見てないと」
『ピキー』
「ああ、次からはちゃんとするよ」
俺は魔眼の透視能力を発動させると通路を慎重に歩き出したのだった。
『ピキー』
スラは俺の足元に寄り添うようにしてぴったりとついてきていた。
「おーい。聞いてるか?」
惚れ薬を飲ませたせいかスラがいつもより俺にひっついてくる。
「マツイさんが惚れ薬なんて飲ませるからこうなるんですよ」
「しょうがないだろ。スラが腹減りすぎて倒れそうだったんだから」
というか実際倒れたんだっけ。
ここは地下十三階層。
地下十二階層のフロアボスであるボストロールを魔石を使って一撃で葬り去った俺たちは下の階に下りてアイテムを探していた。
「スラ、お前のために言ってるんだぞ。下手すると俺がお前を踏んづけて潰しちゃうかもしれないだろ」
するとスラは俺の前に回り込み、
『ピキー、ピキー』
跳び上がって何かを訴える。
「何?」
『ピキー、ピキー』
「さっぱりだ。ククリ頼む」
「は~い。えーとですね、スラさんが言うにはありがとうマツイさん、話は変わるけどやっぱり飲み物じゃお腹は膨れない、だそうです」
「なんだそれは、結局色気より食い気か」
スラは小さい体だからなのか非常に燃費が悪い。
さっき薬草を食べたと思ったら次の瞬間にはもう腹が減っている。
とまあそれはさすがに言いすぎだがスラのために何か食べられるものを探してやらないといけないな。
「待ってろ、今フロアをぐるっと回るから」
『ピキー』
そう返すとスラは聞き分けよく俺のあとをついてくる。
「ククリ、訊き忘れてたけどこのフロアにはどんなモンスターが出るんだ?」
俺は振り返るとククリに問いかけた。
「このフロアに出てくるのはミノタウロスというモンスターです」
「ミノタウロス? なんか聞いたことあるようなないような……」
「見た目は上半身が牛で下半身が人間みたいな――って出ましたよマツイさんっ!」
と突然ククリは前を指差し声を大にする。
俺は正面に向き直るとミノタウロスと目が合った。
透視をおろそかにしていたため死角になっていた通路側から接近していることに気付けなかった。
ミノタウロスはククリの言う通り確かに牛と人間を足したようなモンスターだったが胸の辺りは人間のそれだし股間の辺りは牛のそれのようだった。
『ウボォー!』
ミノタウロスは右手に持っていた斧を俺めがけ振り下ろした。
「がっ……!」
不意を突かれて俺は瞬時に対応できなかった。
左手に持った海賊の盾を構える暇もなく肩に重い一撃をくらう。
「いってぇ……」
「大丈夫ですか、マツイさんっ」
「ああ、大丈夫っ」
シルバーメイルに救われた。
だがおかげでシルバーメイルの肩の部分がへこんでしまった。
「傷がついちゃっただろっ。ベアさんに買い取ってもらえなくなったらどうするんだ!」
俺は怒りを込めて刀を下から上に振り抜いた。
ザシュッ。
ミノタウロスの体に斜めに一本線が入る。
「まだまだっ」
さらに妖刀ししおどしの効果で身動きの取れなくなったミノタウロスの左胸を今度は上から下に斬り裂いた。
ミノタウロスの返り血は俺にかかることもなく本体とともに消えていった。
「ふぅ、危ない。ちょっと油断してた」
「駄目ですよマツイさん。ちゃんと前見てないと」
『ピキー』
「ああ、次からはちゃんとするよ」
俺は魔眼の透視能力を発動させると通路を慎重に歩き出したのだった。
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