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第23話 地下二階層
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ククリとともに地下二階層に下り立った俺は辺りを見回した。
モンスターがいないことを確認してからククリに向き直る。
「ここからはスライム以外のモンスターも出てくるんだよな」
「はい。というよりこの地下二階層はゴブリンというモンスターしか出てきません」
「え、ゴブリン? その一種類だけ?」
「そうです。トウキョウダンジョンでは各階層につき一種類のモンスターしか出現しませんので。あっ、もちろんフロアボスは別ですよ」
ぶんぶんと両の手を振るククリ。
「へー、知らなかった」
……っていうかダンジョンのすすめにはそんなこと一言も書かれていなかったぞ。
訊いておいてよかった。
「ちなみにゴブリンは体は小さいですがモンスターにしてはそこそこ頭がいいのでまれに宝箱を勝手に開けて中の武器を使用してくる場合があるので注意してくださいね」
「注意ったってどうすりゃいいんだよ」
「そこは根性でなんとかしましょう!」
「え……」
ククリは一人で「おー!」と勇ましく手を振り上げている。
俺はろくな対処法も聞けないままおそるおそる通路に向かった。
念のため透視をしてゴブリンが死角から突然襲ってくるという事態は避けつつ先へと進む。
曲がりくねった通路を道なりにしばらく行くと大きな部屋が見えてきた。
俺は部屋の全貌を知るため中を透視して探る。
すると緑色の体の人型のモンスターがフロアの中央にうつむいた状態で立っていた。
「あれがゴブリンか……?」
「いましたか? ゴブリン」
ククリが俺の体にひっつくようにして身を寄せてくる。
「体が緑色ですか?」
「あ、ああ。体は緑だけどさ、全然小さくはないぞ」
俺が目にしているモンスターは人間の大人くらいの身長がある。下手すりゃ俺より大きいかもしれない。
「え? そんなはずは……」
ククリは身を乗り出して部屋の中を覗き込んだ。
「あっ! あれはホブゴブリンですっ! このフロアのボスですよっ!」
「声がでかいってククリっ。あいつに聞こえたらどうすんだ」
フロアボスと聞いたらなおさら気付かれたら困る。
だが、
「平気ですって。フロアボスは部屋に入るまでは襲ってきませんから」
ククリの言う通りホブゴブリンとやらはこっちを見向きもしない。
「でしょう? あのホブゴブリンを倒すにはレベル10は欲しいところですね」
とククリ。
現在の俺のレベルは7。
「じゃあレベル15までは上げたいな」
「えっ、15ですか? そこまで上げなくても充分勝てると思いますけど」
「いや、上げたい」
俺はロールプレイングゲームでもレベルに余裕をもってボスに挑む性分なのだ。
しかもこれはゲームではない、自分の命がかかっている。慎重になりすぎるということはないだろう。
「ではとりあえずここは一旦退きましょう。レベルを上げてからまた来ればいいですから」
「ああ。待ってろよホブゴブリン、強くなって戻ってきてやるからな」
万が一を考え声をひそめて啖呵を切った俺はそのままきびすを返したのだった。
モンスターがいないことを確認してからククリに向き直る。
「ここからはスライム以外のモンスターも出てくるんだよな」
「はい。というよりこの地下二階層はゴブリンというモンスターしか出てきません」
「え、ゴブリン? その一種類だけ?」
「そうです。トウキョウダンジョンでは各階層につき一種類のモンスターしか出現しませんので。あっ、もちろんフロアボスは別ですよ」
ぶんぶんと両の手を振るククリ。
「へー、知らなかった」
……っていうかダンジョンのすすめにはそんなこと一言も書かれていなかったぞ。
訊いておいてよかった。
「ちなみにゴブリンは体は小さいですがモンスターにしてはそこそこ頭がいいのでまれに宝箱を勝手に開けて中の武器を使用してくる場合があるので注意してくださいね」
「注意ったってどうすりゃいいんだよ」
「そこは根性でなんとかしましょう!」
「え……」
ククリは一人で「おー!」と勇ましく手を振り上げている。
俺はろくな対処法も聞けないままおそるおそる通路に向かった。
念のため透視をしてゴブリンが死角から突然襲ってくるという事態は避けつつ先へと進む。
曲がりくねった通路を道なりにしばらく行くと大きな部屋が見えてきた。
俺は部屋の全貌を知るため中を透視して探る。
すると緑色の体の人型のモンスターがフロアの中央にうつむいた状態で立っていた。
「あれがゴブリンか……?」
「いましたか? ゴブリン」
ククリが俺の体にひっつくようにして身を寄せてくる。
「体が緑色ですか?」
「あ、ああ。体は緑だけどさ、全然小さくはないぞ」
俺が目にしているモンスターは人間の大人くらいの身長がある。下手すりゃ俺より大きいかもしれない。
「え? そんなはずは……」
ククリは身を乗り出して部屋の中を覗き込んだ。
「あっ! あれはホブゴブリンですっ! このフロアのボスですよっ!」
「声がでかいってククリっ。あいつに聞こえたらどうすんだ」
フロアボスと聞いたらなおさら気付かれたら困る。
だが、
「平気ですって。フロアボスは部屋に入るまでは襲ってきませんから」
ククリの言う通りホブゴブリンとやらはこっちを見向きもしない。
「でしょう? あのホブゴブリンを倒すにはレベル10は欲しいところですね」
とククリ。
現在の俺のレベルは7。
「じゃあレベル15までは上げたいな」
「えっ、15ですか? そこまで上げなくても充分勝てると思いますけど」
「いや、上げたい」
俺はロールプレイングゲームでもレベルに余裕をもってボスに挑む性分なのだ。
しかもこれはゲームではない、自分の命がかかっている。慎重になりすぎるということはないだろう。
「ではとりあえずここは一旦退きましょう。レベルを上げてからまた来ればいいですから」
「ああ。待ってろよホブゴブリン、強くなって戻ってきてやるからな」
万が一を考え声をひそめて啖呵を切った俺はそのままきびすを返したのだった。
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