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第7話 魔眼
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「スライムだっ……!」
俺が口にした瞬間スライムはぴょーんと跳ね上がりポチに向かって体当たりをくらわせた。
「ポチっ!」
ポチは「きゃいんっ」と鳴き声をもらしよろめく。
「このっ!」
俺は石畳の上に着地したスライムを思いきり蹴り上げた。
スライムは天井に当たって落下すると地面に『キュー……』と伸びてへばりつく。
「……やったのか?」
倒したのだろうか、スライムはぴくりとも動かなくなった。
確認のためポチと一緒に倒れたスライムをみつめているとスライムは次の瞬間泡状になって消えた。
そしてスライムが倒れていた場所にゲームでよく見るような宝箱が出現した。
「わんっ」
ここでようやくポチが俺を見た。
俺はポチの目線の高さにしゃがむと頭を撫でてやった。
「無事だったかポチ。駄目じゃないか勝手にこんなとこ入ったりして、心配したんだぞ……とにかくうちに帰ろうな」
とその時俺は妙なことに気付いた。
「あれ……?」
いつの間にかダンジョンの中が明かりをつけた部屋の中のように明るく見えていたのだ。
ポチの顔も宝箱もはっきりと見える。
「……なんで見えるんだ?」
俺は不思議に思いつぶやいた。
もちろん誰かが答えてくれることを期待しての行動ではない。
だが、
「それは魔眼の効果によるものですよ」
背後から声が返ってきた。
「ククリ!」
そこにいたのはククリだった。
初めて会った時と同じく笑顔を浮かべ宙に浮いている。
「よかったです。ポチさんと会えたんですね」
「ああ、ところでさっき言った魔眼って?」
俺はポチの頭の上にぽんぽんと手を置きながら立ち上がった。
「私がマツイさんにプレゼントしたボーナススキルですよ。魔眼のスキルを持っていると暗視能力と透視能力が身に着くんです」
「暗視と透視?」
「はい。本来はトウキョウダンジョンに出てくるモンスターすべてを千体ずつ倒さないと手に入らないかなりレアなスキルなんですよ……どうです、気に入りましたか?」
ククリは褒めてほしそうな顔で訊いてくる。
「暗いところでも見えるのか?」
「はい、ばっちりと」
「壁を透視することも出来るのか?」
「それだけではなく隠し通路も罠も全部見えます」
「……もしかして服も透けて見えたりする?」
「よーく目を凝らせば見えますよ」
「ふふっ……」
……駄目だ。自然と笑みがこぼれてしまう。
「どうしました? 他のスキルの方がよかったですか?」
「いや、これでいいよ。というかこれがいい」
このスキルがあれば道に迷うことなくモンスターにも出遭わずにすんなり家に帰れそうだ。
「ありがとう、ククリ。じゃあ俺とポチはそろそろ帰るよ」
「あっ、待ってください。もう帰っちゃうんですか?」
ククリが引き留めようとする。
「ああ。俺はポチを捜しにきただけだしスライムよりもっと強いモンスターが現れても困るからな」
「そうですか。ではもうトウキョウダンジョンには来ないんですか?」
寂しそうな顔をするククリ。
「悪いな。俺は家でニートやってる方が性に合ってるよ」
「でしたらせめてこの宝箱だけでも開けてから帰ってください」
ククリが宝箱のところまで飛んでいくとそれを指差した。
「あ、そうか、宝箱があったんだっけ」
忘れていた。
「それ、スライムを倒したら出てきたんだけど開けていいのか?」
「もちろんですよ。モンスターが落としたドロップアイテムも取り放題ですから」
「ふーん」
俺は宝箱に近付くとそれを開けようと手を伸ばす。
が、ぴたっと手を止めた。
「なあ、もしかしてこの中身爆弾とかじゃないよな?」
宝箱を開けたら中に入っていた爆弾が爆発する。そういうゲームを前に見たことがある。
「マツイさん、せっかく魔眼があるんですから宝箱を透視してみたらいいんじゃないですか」
「マジ? そんなことも出来るの?」
「やってみてくださいよ」
俺は宝箱をみつめながら目を凝らした。
すると中が透けて見えてくる。
「おお! 見えたぞっ」
「何が入っていますか?」
「えーっと、これは……石かな?」
俺が透視して見たもの、それはテニスボールほどの大きさの青く光る石だった。
俺が口にした瞬間スライムはぴょーんと跳ね上がりポチに向かって体当たりをくらわせた。
「ポチっ!」
ポチは「きゃいんっ」と鳴き声をもらしよろめく。
「このっ!」
俺は石畳の上に着地したスライムを思いきり蹴り上げた。
スライムは天井に当たって落下すると地面に『キュー……』と伸びてへばりつく。
「……やったのか?」
倒したのだろうか、スライムはぴくりとも動かなくなった。
確認のためポチと一緒に倒れたスライムをみつめているとスライムは次の瞬間泡状になって消えた。
そしてスライムが倒れていた場所にゲームでよく見るような宝箱が出現した。
「わんっ」
ここでようやくポチが俺を見た。
俺はポチの目線の高さにしゃがむと頭を撫でてやった。
「無事だったかポチ。駄目じゃないか勝手にこんなとこ入ったりして、心配したんだぞ……とにかくうちに帰ろうな」
とその時俺は妙なことに気付いた。
「あれ……?」
いつの間にかダンジョンの中が明かりをつけた部屋の中のように明るく見えていたのだ。
ポチの顔も宝箱もはっきりと見える。
「……なんで見えるんだ?」
俺は不思議に思いつぶやいた。
もちろん誰かが答えてくれることを期待しての行動ではない。
だが、
「それは魔眼の効果によるものですよ」
背後から声が返ってきた。
「ククリ!」
そこにいたのはククリだった。
初めて会った時と同じく笑顔を浮かべ宙に浮いている。
「よかったです。ポチさんと会えたんですね」
「ああ、ところでさっき言った魔眼って?」
俺はポチの頭の上にぽんぽんと手を置きながら立ち上がった。
「私がマツイさんにプレゼントしたボーナススキルですよ。魔眼のスキルを持っていると暗視能力と透視能力が身に着くんです」
「暗視と透視?」
「はい。本来はトウキョウダンジョンに出てくるモンスターすべてを千体ずつ倒さないと手に入らないかなりレアなスキルなんですよ……どうです、気に入りましたか?」
ククリは褒めてほしそうな顔で訊いてくる。
「暗いところでも見えるのか?」
「はい、ばっちりと」
「壁を透視することも出来るのか?」
「それだけではなく隠し通路も罠も全部見えます」
「……もしかして服も透けて見えたりする?」
「よーく目を凝らせば見えますよ」
「ふふっ……」
……駄目だ。自然と笑みがこぼれてしまう。
「どうしました? 他のスキルの方がよかったですか?」
「いや、これでいいよ。というかこれがいい」
このスキルがあれば道に迷うことなくモンスターにも出遭わずにすんなり家に帰れそうだ。
「ありがとう、ククリ。じゃあ俺とポチはそろそろ帰るよ」
「あっ、待ってください。もう帰っちゃうんですか?」
ククリが引き留めようとする。
「ああ。俺はポチを捜しにきただけだしスライムよりもっと強いモンスターが現れても困るからな」
「そうですか。ではもうトウキョウダンジョンには来ないんですか?」
寂しそうな顔をするククリ。
「悪いな。俺は家でニートやってる方が性に合ってるよ」
「でしたらせめてこの宝箱だけでも開けてから帰ってください」
ククリが宝箱のところまで飛んでいくとそれを指差した。
「あ、そうか、宝箱があったんだっけ」
忘れていた。
「それ、スライムを倒したら出てきたんだけど開けていいのか?」
「もちろんですよ。モンスターが落としたドロップアイテムも取り放題ですから」
「ふーん」
俺は宝箱に近付くとそれを開けようと手を伸ばす。
が、ぴたっと手を止めた。
「なあ、もしかしてこの中身爆弾とかじゃないよな?」
宝箱を開けたら中に入っていた爆弾が爆発する。そういうゲームを前に見たことがある。
「マツイさん、せっかく魔眼があるんですから宝箱を透視してみたらいいんじゃないですか」
「マジ? そんなことも出来るの?」
「やってみてくださいよ」
俺は宝箱をみつめながら目を凝らした。
すると中が透けて見えてくる。
「おお! 見えたぞっ」
「何が入っていますか?」
「えーっと、これは……石かな?」
俺が透視して見たもの、それはテニスボールほどの大きさの青く光る石だった。
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