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第88話 進藤美咲、死す
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目の前で起きた出来事についていけず、進藤美咲はただ怯えていた。
そんな彼女にメアリが優しく声をかける。
「美咲ちゃん、大丈夫ぅ?」
「……っ」
返事はない。
本来ならば記憶消去呪文を施してさっさと立ち去りたいところだが、残りのMPはたったの4なのでそれは出来ない。
さて、どうするか。
「怖がらなくてもええんやでぇ」
メアリは進藤美咲を抱き寄せて頭を撫でてやっていた。
「……あ、あ、あんたたち、何者……?」
「うちらは正義の味方やねん」
「……正義の……?」
少し落ち着きを取り戻した様子の進藤美咲は、メアリに抱きしめられながら俺の方に視線を向ける。
進藤美咲は俺に対してだけ恐怖を感じているようだった。
とここで俺は進藤美咲もまた悪人であったことを思い出す。
「メアリ、ちょっといいか」
「ん、なんやの?」
「ちょっと話があってな」
メアリは進藤美咲をハグしていた手を離して俺のもとへ。
俺は寄ってきたメアリの耳元でささやいた。
「実はな、そこの進藤美咲も悪人なんだ。まあ、大したことはないんだけどな」
「え? そうなん?」
「ああ、一応話しておこうと思ってな」
「そうなんやぁ、ふ~ん……」
「それとな、記憶消去呪文はもう使えないからお前が上手くこの場を収めてくれ」
「ふんふん、ようわかったわ」
進藤美咲はメアリには心を許し始めているように見えたのでそう頼んだのだが、俺の話を聞いたメアリは進藤美咲に向き直ると、
「なぁ、美咲ちゃん。美咲ちゃんの血液型なにぃ?」
おもむろに血液型を訊ねた。
「え? え、えっと……B型……」
それを受けてメアリは一切の躊躇もなく、「シクソ」と口にする。
すると突然、
「え、い、今な――がぁっ!?」
進藤美咲は奇声を発して床に倒れた。
「メアリ、お前……」
振り返ったメアリが俺を見て一言、
「悪人はみんな始末せんとな」
美しく冷たい微笑を浮かべながらつぶやいたのだった。
◇ ◇ ◇
メアリが進藤美咲を殺したことにはかなり驚いたが、俺はそれと同時に胸のつかえがとれたような気もしていた。
悪人から悪人を救い出すみたいな今回の依頼に少なからず矛盾を感じていたからかもしれない。
なので俺はメアリを責めることはしなかった。
それどころか、「よくやったな」とむしろ褒めてやった。
「えへぇ、そうやろぉ」
「でも次からはやるならやるって事前に言ってくれよ。お前の呪文は一日一回が限度なんだからな」
「はぁ~い」
こうして俺とメアリは誰もいなくなったボウリング場をあとにした。
そんな彼女にメアリが優しく声をかける。
「美咲ちゃん、大丈夫ぅ?」
「……っ」
返事はない。
本来ならば記憶消去呪文を施してさっさと立ち去りたいところだが、残りのMPはたったの4なのでそれは出来ない。
さて、どうするか。
「怖がらなくてもええんやでぇ」
メアリは進藤美咲を抱き寄せて頭を撫でてやっていた。
「……あ、あ、あんたたち、何者……?」
「うちらは正義の味方やねん」
「……正義の……?」
少し落ち着きを取り戻した様子の進藤美咲は、メアリに抱きしめられながら俺の方に視線を向ける。
進藤美咲は俺に対してだけ恐怖を感じているようだった。
とここで俺は進藤美咲もまた悪人であったことを思い出す。
「メアリ、ちょっといいか」
「ん、なんやの?」
「ちょっと話があってな」
メアリは進藤美咲をハグしていた手を離して俺のもとへ。
俺は寄ってきたメアリの耳元でささやいた。
「実はな、そこの進藤美咲も悪人なんだ。まあ、大したことはないんだけどな」
「え? そうなん?」
「ああ、一応話しておこうと思ってな」
「そうなんやぁ、ふ~ん……」
「それとな、記憶消去呪文はもう使えないからお前が上手くこの場を収めてくれ」
「ふんふん、ようわかったわ」
進藤美咲はメアリには心を許し始めているように見えたのでそう頼んだのだが、俺の話を聞いたメアリは進藤美咲に向き直ると、
「なぁ、美咲ちゃん。美咲ちゃんの血液型なにぃ?」
おもむろに血液型を訊ねた。
「え? え、えっと……B型……」
それを受けてメアリは一切の躊躇もなく、「シクソ」と口にする。
すると突然、
「え、い、今な――がぁっ!?」
進藤美咲は奇声を発して床に倒れた。
「メアリ、お前……」
振り返ったメアリが俺を見て一言、
「悪人はみんな始末せんとな」
美しく冷たい微笑を浮かべながらつぶやいたのだった。
◇ ◇ ◇
メアリが進藤美咲を殺したことにはかなり驚いたが、俺はそれと同時に胸のつかえがとれたような気もしていた。
悪人から悪人を救い出すみたいな今回の依頼に少なからず矛盾を感じていたからかもしれない。
なので俺はメアリを責めることはしなかった。
それどころか、「よくやったな」とむしろ褒めてやった。
「えへぇ、そうやろぉ」
「でも次からはやるならやるって事前に言ってくれよ。お前の呪文は一日一回が限度なんだからな」
「はぁ~い」
こうして俺とメアリは誰もいなくなったボウリング場をあとにした。
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