上 下
232 / 270
 第27章 ソーロン帝国の秘密編

2713.竜人族との取引

しおりを挟む
 マリーから、思念伝達で、連絡が入った。
 
 「ムーン様、マリーです。今、いいですか?」

 「構わない」

 「赤の竜人ルーブロマ・ドラコから、商品の納入依頼が入りました」

 「何を所望しているのだ」

 「実は、武器を大量に購入したいそうです。そして、通常の武器だけでなく、特殊な物も、用意するように言われました」

 「特殊な物とは、なんだ!」

 「空から、地上を攻撃できるようなものが大量に欲しいと言われました」

 「空からの攻撃だと!」

 「はい。用意できますでしょうか?」

 「マリーは、戦闘用手榴弾を知らなかったか?」

 「いえ、存じています。しかし、あれは、特殊な物なので、赤の竜人ルーブロマ・ドラコに教えてもいいのか、迷いました」

 「なるほど、それなら、教えても構わない。必要な量と、期日を確認してくれ」

 「はい、分りました」

 「それから、納入先も確認しておいてくれ。それと、できれば、何処を攻めるのか、聞き出せないか?」

 「それなら、分っております。魔王軍を攻めると言われていました」

 「魔王軍だと! 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、魔王軍の所在を知っているのか?」

 「私には、分りかねます。それも、確認しておきます」

 「うまく、聞き出してくれ」

 「はい」

 私は、マリーとの思念伝達を切った。

 ソーロン帝国には、秘密の遺跡が神殿の中にあり、そこに魔大陸に繋がるゲートがある。そして、それは、ソーロン帝国に隣接している所ではなく、全くの異世界と言うべき場所で、魔火山を中心とした世界だ。紛らわしいので、今後は、ソーロン帝国に隣接している大陸を偽魔大陸と呼ぶことにする。そして、魔王軍が潜んでいる大陸を魔大陸と呼ぶことにする。

 魔大陸を攻めるとなるとソーロン帝国に進軍することになる。それを分かっているのだろうか? 武器を提供することは出来るが、それをソーロン帝国に知られると、テラ・ワールドの立場が悪くなる。仕方がないので、赤の竜人ルーブロマ・ドラコに、直接真意を確かめることにした。

 私は、赤の竜人ルーブロマ・ドラコに思念伝達で、連絡を取った。

 「赤の竜人ルーブロマ・ドラコ、私は、ムーンですが、今、よろしいでしょうか?」

 「うむ、構わないが、先ほど、マリーと連絡を取ったばかりだが、ムーン、直々にどうした?」

 「実は、魔王軍を攻撃すると聞いて、少し、確認したいことがございます」

 「お主も、魔王軍を倒したいのではないのか?」

 「それは、そうですが、魔王軍が今いる場所をご存じですか?」

 「もちろんだ。ソーロン帝国の神殿内の遺跡から、魔大陸に移動する」

 「そこまで、御存じであれば、話が早いです。実は、ソーロン帝国にも、私どもの取引相手がいるのです」

 「わかった。皆まで、言わなくとも良い」

 「本当ですか?」

 「もちろんだ。魔大陸へつながる神殿内の遺跡に直接移動する。それなら、いいのだろう?」

 「はい、そうです。それなら、問題ありません」

 「それで、できるだけ早く進軍したいのだが、武器などは、直ぐに手配できるのか?」

 「できる限り早く揃えます」

 「それじゃ、よろしく」

 私は、思念伝達を切った。そして、すぐさま、マリーに思念伝達で、連絡を取った。

 「マリー、何か、報告があるだろう」

 「はい、ムーン様、赤の竜人ルーブロマ・ドラコと連絡を取って、武器の種類と量を確認しました」

 「そうか。それで、どの程度の量なのだ」

 「竜人用の武器・鎧が100セットで、魔人用の武器・鎧が1万です。それから、戦闘用手榴弾を5万です」

 「わかった。マリーは、引き続き、赤の竜人ルーブロマ・ドラコの様子を探ってくれ」

 「了解しました」

 私は、マリーとの思念伝達を切って、リンダに思念伝達で、連絡を入れた。

 「マリー、今、忙しいかい?」

 「今は、少し、落ち着いた所よ」

 「それなら、今から、そっちに行ってもいいかな?」

 「いいわよ。久しぶりね」

 リンダは、喜んでいるようだ。私は、急いで、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。

 「やあ、元気だった?」

 「元気よ。私より、ムーンは、どうなの? 忙しそうね」

 「そうでもないよ」

 「今日は、どうしたの?」

 「少し、相談があるんだ。いいかな?」

 「いいわよ。何?」

 私は、リンダと共に、ベンドに座った。

 「実は、先日から竜人族と商談をしているのだが、どうも、戦争を始めるようなんだ」

 「それで、相手は、どこ?」

 「一応、魔王軍と聞いている」

 「でも、魔王軍は、特に動きはないよね。それなのに、攻めるの?」

 「何か、過去に経緯があるようだが、私も分からない」

 「それで、魔王軍のいる場所は、知っているの?」

 「それは、問題ないようだ。ソーロン帝国の神殿内の遺跡から移動するということまで、知っていたよ」

 「それなら、問題は、何?」

 「竜人族をどれだけ、信用できるのか? と言うことだよ」

 「私も、竜人族については、知らないわ」

 「いままで、隠れていたようなので、古くから生きている長命種族でないとだめだろう」

 「ムーン、貴方の師匠は、どうなの?」

 「あまり迷惑を掛けたくないからなぁ」

 「でも、一番の長命じゃない? 1000年は、生きているのだから」

 「そうだね。しかたがない、聞いて見ようか」

 「それがいいわ」

 私は、リンダとともにベッドで、横になりながら、どのように伝えるか、考えていた。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

処理中です...