上 下
227 / 270
 第27章 ソーロン帝国の秘密編

2708.光魔法治療学院(4)

しおりを挟む
 ホータルから、思念伝達で、連絡が入った。私は、直ぐに、イーデン王国の都市ロンデンにあるテラ・ワールドの支店に移動した。そして、支店の中に入って、受付に声を掛けた。

 「ムーンだけど、ホータルは、いるかな?」

 「はい、私です。お待ちしておりました」

 「それで、何処の土地かな?」

 「まず、治療院の方から、説明します」

 「お願いする」

 ホータルは、ロンデンの地図を広げて、場所を示してくれた。

 「分かった。直ぐに、治療院を建てたいが、いいかな?」

 「はい、大丈夫です。既に、手付金は払っております」

 ホータルの用意してくれた土地は、貴族エリアと平民エリアの両方に跨った所で、しかも、神殿からは、貴族エリアの両端に位置していた。希望通りの土地を探してくれたようだ。

 「ありがとう。希望通りだ。よくやった」

 「それから、宿泊施設ですが、治療院からは、少し離れた所になります」

 ホータルは、また、地図の位置を示した。確かに、少し離れているが、特に問題はなさそうだ。

 「今は、ここでいいが、治療院と宿泊施設の間の土地も、購入して貰えるかな。費用は、いくらかかってもいいよ」

 「はい、分りました。直ぐに、手配します」

 「それじゃ、よろしく頼む」

 私は、ホータルと別れて、指示された土地を見に行った。早速、建物を建てるつもりだ。

 最初に、治療院の建設に取り掛かった。こちらは、既にイメージが出来上がっていたので、特に問題なく、直ぐに土魔法で造ることが出来た。それから、宿泊施設用の土地に移動した。

 こちらは、後々のことも考えて、地上4階建ての建物にした。そして、地下1階に転移魔法用の魔法陣を描いて、複数の治療院に移動できるように、準備を整えた。そして、更に下に地下4階まで、作り上げた。地下1階から地下2階以下に行くには、結界があって、指定された者しか行けないようにした。

 暫くして、マリーから思念伝達で、連絡が入った。

 「ムーンだが、どうした?」

 「ある程度、魔人族の調査が終わりました。現時点での報告をさせていただきます」

 「分かった」

 「魔人族は、赤の竜人ルーブロマ・ドラコと交易があるようです。獣や魔物を日用品と交換しているようです」

 「ほう、そうか」

 「炎の魔人族、氷の魔人族、雷の魔人族は、交易をしているのですが、土の魔人族は、自給自足で生活しているようで、赤の竜人ルーブロマ・ドラコとの接触はないようです」

 「不思議だな。一番、近い所に住んでいるのに」

 「確かに、ただ、その理由については、分かっておりません」

 「そうか。引き続き、監視をしておいてくれ。但し、急ぎではないので、部下に任せておいて構わない」

 「了解」

 私は、マリーとの思念伝達を切った。思念伝達を切ってから、ふと、疑問になった。それは、交換している日用品をどこから持ってきているかだ。ソーロン帝国とは、戦争状態だ。そうすると、ソーロン帝国から、日用品を調達することは無理だ。船を使っているようには、思えない。

 そうすると、転移魔法で、商品を転送しているということか。そして、それは、どこの国から持ってきているのか?これは、至急、調査しておく必要がある。赤の竜人ルーブロマ・ドラコのバックに、どこの国がいるのか、知っておく必要がある。そして、これは、至急、必要なことだ。

 私は、もう一度、マリーに思念伝達で、連絡を取った。

 「マリーか、ムーンだが、至急、調べて欲しいことがある。それには、直接、マリーが行って欲しい」

 「ムーン様、それほど、大事なことですか?」

 「そうだ。だから、他の者には、任せることができない」

 「分かりました。私の直属の部下も使っていいですか?」

 「構わない。このことは、最優先で、行って欲しい。だから、どの部下を使っても構わない。但し、マリー自らが実行するように、これだけは、必ず、守る事」

 「はい、分りました」

 私は、マリーとの思念伝達を切った。暫くは、待たなくては仕方がない。出来れば、早急に報告が欲しい。

 一方、マリーは、カモミールとダリアを連れて、赤の竜人ルーブロマ・ドラコのいるダンジョンに向かった。

 「ここからは、隠密魔法を使うよ」

 「「はい」」

 カモミールとダリアは、マリーに指示に従って、隠密魔法を使い、姿を消した。

 3人は、姿を消して、ダンジョンを潜って行った。途中の魔物には、目もくれずに、ひたすら、赤の竜人ルーブロマ・ドラコを探して、潜って行った。

 ついに、最下層に到着した。すると、赤の竜人ルーブロマ・ドラコの居る場所に、古い遺跡の様なものがあった。

 その遺跡の様なものには、魔法陣が描かれている。マリーは、その映像をムーンに送ることにした。マリーは、用心しながら、写真乾板に魔方陣を写した。そして、最下層に居る赤の竜人ルーブロマ・ドラコの様子がいつでも見ることが出来る様に、監視用の神具を備え付けて、立ち去ることにした。

 マリーは、思念伝達で、カモミールとダリアに連絡を取って、秘密のアジトに移動するように、言った。3人は、転移用の神具で、素早く移動した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました

ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。 大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。 ー--- 全5章、最終話まで執筆済み。 第1章 6歳の聖女 第2章 8歳の大聖女 第3章 12歳の公爵令嬢 第4章 15歳の辺境聖女 第5章 17歳の愛し子 権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。 おまけの後日談投稿します(6/26)。 番外編投稿します(12/30-1/1)。 作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

処理中です...