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第26章 ガーベラの夢編
2604.ガーベラへの依頼
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ガーベラに他国からの相談が入った。それは、イーキ王国からだった。イーキ王国はフラン連合国の中にある西端の国になるが、農業中心の国だ。
イーキ王国で、謎の病気が発生した。リンパが腫れあがり、激しい痛みを訴えたり、突然に高熱になったり、頭痛や悪寒などを訴えている。
イーキ王国では、セダン魔法学院の学院長であるコ―メンを中心に、治療に当たっているが、症状を緩和するだけにとどまり、病気を治療するには至っていない。そこで、交流のある我が国の魔法学院の学院長シルバに相談が入り、その結果、ガーベラが知ることになった。
ガーベラからの思念伝達で、連絡が入ったので、私は、急いで、転移魔法で、ガーベラのいる城に移動した。
「ガーベラ、ある程度は、聞いたけど、どうするの?」
「どうも、イーキ王国では、手の打ちようがないみたい。だから、支援に行かせようと思っているの」
「それは、いいが、シルバにも、対応は難しいと思うよ」
「それなら、誰を派遣したらいいの?」
「医者が必要だよ。魔法での治療は、限界があると思う。症状を緩和するのは、魔法でもいいが、イメージできないので、完治させることができないよ」
「私の国でも、優秀な医者は、いないわ」
「そうだね。まだまだ、育成出来ていないね」
「私が、率先していかないとだめかも」
「それは、だめだ。ガーベラ、今の自分の身体の事はわかっている?」
「そうね。本当は、行きたくないわ」
「それなら、僕が行くよ」
「でも、ムーンは、忙しいでしょ」
「まあ、行ってから、考えるよ」
「気を付けてね」
「わかった」
私は、ガーベラと別れて、直ぐに、シルバの所に転移魔法で、移動した。
「シルバ、連絡を受けたよ。僕が、イーキ王国で、治療に当たるよ」
「ありがとう。私の方も、できるだけ、支援するわ」
「何か、必要な事があれば、また、連絡するよ」
私は、シルバと別れて、イーキ王国の魔法学院の近くにあるテラ・ワールドの支店に、転移魔法で、移動した。そこから、魔法学院に向かった。
魔法学院に到着すると、慌ただしく、教師や生徒が働いていた。白魔法が使える者が先頭に立って、治療魔法を患者に放っていた。
「傷よ治れ。治癒魔法」
治癒魔法の詠唱が、至る所から、聞こえてくる。もう、教師も生徒も、限界の様だ。患者は、一時的に症状が緩和されるが、治っていないので、直ぐに、痛みを訴えている。
「すみません。ヤガータ国から来た、ムーンと言います。学院長に会いたいのですが」
私の声が聞こえたようで、少し手が空いた教師がやって来た。
「ムーンさんですか? 学院長から、聞いています。こちらにどうぞ」
私は、やって来た教師に学院長室まで、案内して貰った。
「コン、コン。ムーンさんをお連れしました」
「入って貰ってくれ」
「どうぞ」
私は、学院長室に入って行った。学院長は、憔悴していた。今にも、倒れてしまいそうだった。
「ヤガータ国から、来ましたムーンと言います。よろしく」
「やあ、すまないね。私共では、もう、手の施しようがない」
「わかりました。まず、患者の様子を見せてください」
「分かった。案内させよう」
私は、先ほどの教師に案内されて、患者がいる部屋に遣って来た。多数の患者が、部屋の中の至る所にいた。そして、症状も、違っていた。
嘔吐や筋肉痛に悩まされている者、身体が紫色の斑点が出来ている者、激しい咳をしている者、そして、既に死んでしまった者が、一つの部屋にいた。
「まず、部屋を複数用意してください。そして、症状に合わせて、移動してください」
「分かりました。でも、どのような症状でしょうか?」
「死体は、どこかに運んで、火葬にしてください」
「激しい咳をしている者は、もっとも、重症なので、1つの部屋にまとめてください。次に、身体が紫色の斑点が出来ている者を別の部屋に、そして、最後に身体に痛みがあるだけの者を一つの部屋に移動してください」
「はい、直ぐにやります」
「それが、終わったら、一度、すべての教師と、生徒を食堂に集めてください」
「はい」
私は、食堂に行き、これからの準備を始めた。私は、案内されている間に、スキル鑑定で、病気を調べていた。それによると、腺ペスト、敗血症型ペスト、肺ペストの病態の患者が混在していた。
まずは、防護服の用意をした。土魔法で、防護服を作り、頭からすっぽり被る事事が出来る様にした。それから、闇魔法で、バリアで覆い、ペスト菌が侵入しないようにした。
教師の数や、生徒の数が分からないので、取り敢えず、50個作ることにした。これを着た者だけが、患者に接するようにして貰う。そして、他の者と接触する前に、火魔法で、防護服ごと焼却してもらう。防護服は、大丈夫なので、防護服に着いたペスト菌を殺すためだ。
次に、ショーバェに思念伝達で、連絡を取った。
「ショーバェ、ムーンだけど、至急、ストレプトマイシンが大量に必要だ。今、イーキ王国の魔法学院にいるので、送ってくれ。それから、ストレプトマイシン用の神具も一緒に送ってくれ」
「伝染病ですか?」
「そうだ。ペスト菌だ」
「分かりました。至急、送ります」
ショーバェとの思念伝達を切って、次に、リンダと思念伝達で、連絡を取った。
「リンダ、ムーンだけど、お願いがあるんだ。そちらに居る梅毒の治療が出来る者を10人必要なんだ」
「分かったわ。どこに派遣したらいいの?」
「イーキ王国のセダン魔法学院の近くの支店に派遣して欲しい。私は、セダン魔法学院にいるので、そこまで、行くように指示してくれ。それから、神具は、必要だから、持参させてくれ」
「直ぐに、手配するわ」
私は、リンダとの思念伝達を切って、食堂に入って来た教師や、生徒を眺めていた。これから、戦争だな。
イーキ王国で、謎の病気が発生した。リンパが腫れあがり、激しい痛みを訴えたり、突然に高熱になったり、頭痛や悪寒などを訴えている。
イーキ王国では、セダン魔法学院の学院長であるコ―メンを中心に、治療に当たっているが、症状を緩和するだけにとどまり、病気を治療するには至っていない。そこで、交流のある我が国の魔法学院の学院長シルバに相談が入り、その結果、ガーベラが知ることになった。
ガーベラからの思念伝達で、連絡が入ったので、私は、急いで、転移魔法で、ガーベラのいる城に移動した。
「ガーベラ、ある程度は、聞いたけど、どうするの?」
「どうも、イーキ王国では、手の打ちようがないみたい。だから、支援に行かせようと思っているの」
「それは、いいが、シルバにも、対応は難しいと思うよ」
「それなら、誰を派遣したらいいの?」
「医者が必要だよ。魔法での治療は、限界があると思う。症状を緩和するのは、魔法でもいいが、イメージできないので、完治させることができないよ」
「私の国でも、優秀な医者は、いないわ」
「そうだね。まだまだ、育成出来ていないね」
「私が、率先していかないとだめかも」
「それは、だめだ。ガーベラ、今の自分の身体の事はわかっている?」
「そうね。本当は、行きたくないわ」
「それなら、僕が行くよ」
「でも、ムーンは、忙しいでしょ」
「まあ、行ってから、考えるよ」
「気を付けてね」
「わかった」
私は、ガーベラと別れて、直ぐに、シルバの所に転移魔法で、移動した。
「シルバ、連絡を受けたよ。僕が、イーキ王国で、治療に当たるよ」
「ありがとう。私の方も、できるだけ、支援するわ」
「何か、必要な事があれば、また、連絡するよ」
私は、シルバと別れて、イーキ王国の魔法学院の近くにあるテラ・ワールドの支店に、転移魔法で、移動した。そこから、魔法学院に向かった。
魔法学院に到着すると、慌ただしく、教師や生徒が働いていた。白魔法が使える者が先頭に立って、治療魔法を患者に放っていた。
「傷よ治れ。治癒魔法」
治癒魔法の詠唱が、至る所から、聞こえてくる。もう、教師も生徒も、限界の様だ。患者は、一時的に症状が緩和されるが、治っていないので、直ぐに、痛みを訴えている。
「すみません。ヤガータ国から来た、ムーンと言います。学院長に会いたいのですが」
私の声が聞こえたようで、少し手が空いた教師がやって来た。
「ムーンさんですか? 学院長から、聞いています。こちらにどうぞ」
私は、やって来た教師に学院長室まで、案内して貰った。
「コン、コン。ムーンさんをお連れしました」
「入って貰ってくれ」
「どうぞ」
私は、学院長室に入って行った。学院長は、憔悴していた。今にも、倒れてしまいそうだった。
「ヤガータ国から、来ましたムーンと言います。よろしく」
「やあ、すまないね。私共では、もう、手の施しようがない」
「わかりました。まず、患者の様子を見せてください」
「分かった。案内させよう」
私は、先ほどの教師に案内されて、患者がいる部屋に遣って来た。多数の患者が、部屋の中の至る所にいた。そして、症状も、違っていた。
嘔吐や筋肉痛に悩まされている者、身体が紫色の斑点が出来ている者、激しい咳をしている者、そして、既に死んでしまった者が、一つの部屋にいた。
「まず、部屋を複数用意してください。そして、症状に合わせて、移動してください」
「分かりました。でも、どのような症状でしょうか?」
「死体は、どこかに運んで、火葬にしてください」
「激しい咳をしている者は、もっとも、重症なので、1つの部屋にまとめてください。次に、身体が紫色の斑点が出来ている者を別の部屋に、そして、最後に身体に痛みがあるだけの者を一つの部屋に移動してください」
「はい、直ぐにやります」
「それが、終わったら、一度、すべての教師と、生徒を食堂に集めてください」
「はい」
私は、食堂に行き、これからの準備を始めた。私は、案内されている間に、スキル鑑定で、病気を調べていた。それによると、腺ペスト、敗血症型ペスト、肺ペストの病態の患者が混在していた。
まずは、防護服の用意をした。土魔法で、防護服を作り、頭からすっぽり被る事事が出来る様にした。それから、闇魔法で、バリアで覆い、ペスト菌が侵入しないようにした。
教師の数や、生徒の数が分からないので、取り敢えず、50個作ることにした。これを着た者だけが、患者に接するようにして貰う。そして、他の者と接触する前に、火魔法で、防護服ごと焼却してもらう。防護服は、大丈夫なので、防護服に着いたペスト菌を殺すためだ。
次に、ショーバェに思念伝達で、連絡を取った。
「ショーバェ、ムーンだけど、至急、ストレプトマイシンが大量に必要だ。今、イーキ王国の魔法学院にいるので、送ってくれ。それから、ストレプトマイシン用の神具も一緒に送ってくれ」
「伝染病ですか?」
「そうだ。ペスト菌だ」
「分かりました。至急、送ります」
ショーバェとの思念伝達を切って、次に、リンダと思念伝達で、連絡を取った。
「リンダ、ムーンだけど、お願いがあるんだ。そちらに居る梅毒の治療が出来る者を10人必要なんだ」
「分かったわ。どこに派遣したらいいの?」
「イーキ王国のセダン魔法学院の近くの支店に派遣して欲しい。私は、セダン魔法学院にいるので、そこまで、行くように指示してくれ。それから、神具は、必要だから、持参させてくれ」
「直ぐに、手配するわ」
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