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 第5章 ソーロン帝国編

504.商品特許

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 朝に、思念伝達で、サルビアに起こされた。

 「テラ、やっと、200個完成したよ。今から、送るね」

 「まさか、サルビア、徹夜したの?」

 「うん、頑張ったよ」

 「無理しちゃ、だめって言ったのに」

 「ごめんさい。でも、テラの役に立ちたかったの。今から送るね」

 「ありがとう、送ったら、すぐに寝るのよ。わかったね」

 「はい、分かったわ」

 サルビアから、商品200個が送られてきた。これで、700個完成した。

 残りの300個を急いで作っていった。魔石を組み込むだけなので、そんなに時間は掛からなかった。2時間で、すべて、完成した。

 帝国との約束の日まで、まだ、2日も残っている。

 今日は、支店の開店準備をした。無人販売用の機械を4台配置して、商品を入れて、金額を設定して、準備は完了した。

 次に、私達は、商業ギルドに向かった。

 「こんにちは。セーロン」

 「はい、テラ様。まだ、早いですよ」

 「今日は、別の話なの。いいかな?」

 「もちろんですよ。どのような用件でしょう」

 「実は、特許のことで聞きたいの?」

 「特許ですか。それの、何を知りたいのですか?手続きのことですか?」

 「私、まだまだ、駆け出しの商人で、何も知らないの。だから、一から教えてくれる」

 「はい、わかりました」

 私は、セーロンに特許について教えて貰った。特許は、一つの街に出せば、国全体に出したことになる。その他、色々あったけど、取り敢えず、今は、関係ない。取り敢えず、商業ギルドで、扱って貰えるということが分かれば、いい。

 「この手鏡なんだけとね」

 私は、事前に用意しておいた遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを付けた2個の手鏡を出した。

 「手鏡、特許とどのような関係があるのですか?」

 「こっちの手鏡を持って、中を見ていてね」

 「テラ様、何も映りませんよ。この手鏡、変ですね。真っ暗ですよ」

 「セーロン、ちょっと、待ってよ。用意するから」

 私は、もう一つの手鏡を持って、蓋を開けた。

 「おぉ、これは、テラ様が見えますよ。それに、声が2重に聞こえます」

 「手鏡に近づいて、聞いてみて」

 「おやっ、手鏡からも声が聞こえます」

 「そうよ。離れた所から、お互いを見ながら、話ができるの」

 「これは、凄いですね。今、使われている機械は、声しか伝えることが出来ません」

 「ただ、使える距離に制限があるの。5kmまでしか、使えないの」

 「それだけあれば、十分です」

 私は、今回の遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタに、特別な魔法陣を刻印して、利用できる距離に制限を付けておいた。本来は、魔力量の制限だけで、距離は、付随的なものだった。

 「このような手鏡を見たことある?セーロン」

 「テラ様、ございません。初めてで御座います」

 「これで、特許を取りたいの。取れるかしら」

 「もちろん、大丈夫です。でも、どのような形式で取るか、考えないと、後々、問題が出てくると思われます」

 「どういうことなの」
 
 「この手鏡に着いている装置で特許をとるのか、手鏡ごとで取るかです」

 「何か、違うに?」

 「全く違います。装置で取れば、鏡の大きさは、自由に変更できます。
 しかし、手鏡ごとで取れば、鏡の大きさを変えることは出来ません」

 「そうすると、別の大きさの鏡を使うと、そのたびに特許をとる必要があるの?」

 「いえ、そういうことではないのです。他の人が、鏡の大きさを変更できないという意味です」

 「テラ様が、異なる鏡の物を作って、売ることは可能です。新たな特許は不要です。
 でも、装置の部分だけで、特許を取ると、当然、鏡の部分は、自由に変更されてしまいます。
 これは、大きな違いです」

 「よく、分からない。もう、セーロンに任せるわ」

 「分かりました。それでは、一緒にお越しください」

 「ここではダメなの?」

 「はい、特許に関することは、国全体に影響を及ぼすことなので、商業ギルド長が行う必要があります」

 「分かったわ。セーロン。付いて行くわ」

 私は、セーロンに連れられて、商業ギルド長の部屋に行った。それは、商業ギルドの2階にあった。

 「失礼します。ギルド長、特許に関する手続きに来ました」

 「おぉ、特許とな。久しぶりに、扱うよ」

 「こちらは、テラ様です。今回、特許の申請に来られました」

 「テラと言います。よろしくお願いします」

 「何と、このような幼子が、特許とな」

 「はい、それも、凄いものです」

 セーロンは、私に代わって、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタの説明を始めた。商業ギルド長は、細かなことを尋ねて、すべてを理解しようとしていた。
 理解し終わると、書類を作り上げた。

 「分かりました。これは、特許に値します」

 「それでは、テラ様、装置を持って、こちらに来て下さい」

 「はい」

 「書類の端を持ってください」

 「はい」

 私は、サイン済みの書類の端を装置に触れた状態で持った。商業ギルド長も同じ様にした。そして、何やら、唱えた。

 「これで、完了です。これは、特許の控えです。お持ちください」

 「分かりました。ところで、特許の登録料金は、いくらでしょうか?」

 「それは、要りません。あっ、説明していませんでしたか?」

 「何をですか?」

 「特許を取られた商品が特許を取った人から売られたら、3%の手数料が、登録した商業ギルドに入るのです。だから、登録料として、頂くことはありません」

 「あぁ、聞いたような、気がします」

 「もし、御納得されていないなら、取り消しをしますが、いかがしましょうか」

 「はい、大丈夫です。このままで、いいです」

 「この手鏡を商業ギルドで販売することは、可能でしょうか?」

 「はい、可能です。でも、その時は、先ほどの料金とは別に手数料が、5%掛かりますが、よろしいか?」

 「それは、いいのですが、一つ条件を付けてもいいですか?」

 「それは、どのような事でしょうか」

 「私の名前を伏せておいて欲しいのです」

 「あー、そのようなことですか。全く問題ありません。こちらも、お客様にそのように、進めています。特許主様が、狙われるkとがあるのです。特許主様が、お亡くなりになられると、一時的に特許が停止します。そうすると、特許を相続した人も販売が出来なくなります。その期間を利用して、詐欺が起こったりします」

 「よく分からないですが、よろしくお願いします」

 「はい、わかりました。それでは、販売に関する書類を作ります。それから、月当たりの販売個数を決めておいて下さい」

 「1個当たり、どれぐらいの金額が妥当でしょうか?」

 「音声だけのものが、金貨1万枚で取引されています。ただし、これは、片方だけの金額です。それに、利用する場合、取次所に利用者が登録しないといけません。それには、初期費用として、金貨1000枚、月々の費用として、金貨1000枚が必要です。
 ですから、今回のこの手鏡のセットは、最低でも、金貨10万枚は、設定しても良いでしょう」

 「そうですか。金額については、セーロンに一任します。月当たりの販売個数は、最初は、10セットでお願いします。来月以降については、また、相談します」

 すべて、完了したので、私達は、商業ギルドを出ることにした。

 「セーロン、後はお願いします」

 「テラ様、私に一任していただいて、ありがとうございました。
 誠心誠意、仕事をさせていただきます」

 「よろしくお願いします。それでは、失礼します」

 私達は、支店に戻って、寝ることにした。今日も、スピアに添い寝をしてもらう。
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