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 第5章 ソーロン帝国編

501.ソーロン帝国へ

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 私達は、ソーロン帝国へ向けて出発した。最初は、ヘノイ王国の中のコベーサという街に寄る予定だ。それから、ソーロン帝国のリーベンという街に行き戦争の情報を得るつもりだ。

 先日、リンダに相談していたことを思い出していた。

【過去の出来事 始まり】****************

 私は、転移魔法で商業ギルドに移動し、中に入っていった。

 「リンダ姉、こんにちは!」

 「あら、テレ、こんな時間にどうしたの?」

 「ちょっと、相談したいことがあるの」

 「何?」

 「別の街に支店を創ろうと思っているの。
 それで、どの街に作ったらいいか、教えて欲しいの」

 「コベーサという街なら、この近くだし、大きな街だからいいと思うわ。
 でも、今の店も十分に管理出来ていないようなのに、大丈夫?」

 「はい、無人販売用の機械があるので、大丈夫です」

 「でも、それでは、管理しているといえないよ」

 「でも、レンタルの費用は、儲けで十分返せているので、いいと思います」

 「そうかなぁ。まあ、頑張ってみて」

 「ところで、いきなり、支店を出すといっても、大丈夫ですか?」

 「どういうこと?」

 「紹介状など、あれば助かるかなぁって」

 「多分、書いて貰えると思うよ」

【過去の出来事 終わり】*****************

 実際には、紹介状は貰っていない。急な出発になってしまったからだ。
 
 コベーサという街にようやく着いた。今後の事もあるので、人目に付かない所に、転移魔法用の魔法陣を描き、闇魔法で、コーティングしておいた。これで、いつでも、ここにやって来れる。

 この街に支店をつくることが、目的なので、まずは、商業ギルドに向かった。商業ギルドは、街の中央にあった。さすがに、この国一の街だ。すごい、大きさの建物が商業ギルドだった。

 「すみません。誰か、相談に乗って欲しいのですが」

 「こちらは、初めてですか?」

 「はい、初めてです。ブューラナから来ました」

 「そうですか。ブューラナから、はるばると」

 「はい、ここで、支店を出したいのです」

 「ブューラナでは、商業ギルドに登録していますか」

 「はい、商業IDも持っています」

 「拝見してもいいですか?」

 「これです」

 係の男性は、セーロンと言って、テキパキと仕事をこなしているようだ。

 「はい、拝見しました。まず、この街の商業ギルドに登録して貰いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 「はい、お願いします」

 「それでは、登録料として、金貨20枚を頂きます」

 「商業IDから引いて貰ってもいいですか?」

 「はい、結構です。すこし、お待ちください」

 セーロンは、奥の部屋に行き、すぐに戻って来た。

 「コベーサの商業ギルドの登録も記録しました。これをお持ちください」

 私は、セーロンから、商業IDを受け取った。商業IDには、コベーサの商業ギルドの認定も記載されていた。これで、どちらの街でも利用できるようだ。

 「それでは、支店の条件を窺います」

 「地上2階で、地下室があることが条件です。1階は店舗として、2階は住居として利用したいです。地下室は、倉庫として利用します」

 「広さは、どの程度でしょうか?」

 「この建物の4分の1ぐらいの広さが欲しいですが、費用次第です」

 「少し、お持ちください。該当する物件を持ってきます」

 暫くして、セーロンが複数の書類を持って、帰って来た。

 「いくつか、ありますが、予算は、いかほどでしょうか?」

 「そうですね。保証金は、金貨100枚までで、賃料は、月金貨60枚ぐらいで、考えています」

 「なるほど、では、これはどうでしょうか。広さと建物の作りは、問題ありません。ただ、本通りに面しているので、少し価格的に上回ります」

 「どれぐらいでしょうか?」

 「保証金が金貨150枚で、賃料は、月金貨75枚です」

 「そうですか、部屋は家具付きですか?」

 「はい、家具付きです。それに、前の借主も商人でしたので、1階は、そのまま利用できると思います。ただ、地下室は、別の用途で利用していたようです。私どもも詳しくは聞いておりません。良ければ、ご案内しますが、どうでしょうか」

 「そうですね。見せて貰えますか」

 「いつがよろしいですか?私は、これからでも、都合付けますが」

 「それでは、お願いします。それから、気に入ったら、そのまま、利用したいので、書類も用意してください」

 「はい、わかりました」

 「それでは、表で、お待ちください。すぐに、用意します」

 私達は、玄関に行き、少し、待った。

 「すみません。書類を揃えていて、遅くなりました。申し訳ございません」

 「はい、大丈夫です」

 「それでは、行きましょうか。ここから、直ぐですよ。もう、見えていますから」

 その店は、商人ギルドの3軒離れた所にあった。本当に、すぐそこだった。こんな、本通りに面した所で、立派な建物だった。

 「鍵を開けますので、お待ちください。部屋の明かりを点けますね」

 「はい」

 私達は、セーロンに続いて、中に入っていった。家具や装飾など、申し分なかった。これなら、貴族相手でも、大丈夫だ。

 「それでは、2階に上がりましょう。足元に気を付けてくださいね」

 「はい、大丈夫です」

 2階も、満足のいく広さがあった。また、ベッドなども、すべて、揃っていた。まるで、今も住んでいるようだった。

 「何か、質問はありますか」

 「特にありません。とても、綺麗なのですが、何故、手放したのですか?」

 「それは、お客様の個人情報なので、お教えできません。すみません」

 「わかりました」

 「それでは、最後に、地下室に行きましょうか」

 「はい、お願いします」

 私達は、地下室に降りて行った。

 「おぉ、これは、なんでしょう」

 案内役のセーロンが、驚いてしまった。

 「これは、これは、ちょっと、変わった趣味をお持ちの方だったんですね」

 「本当に、そのようですね」 
 
 「これが、原因でしょうね」

 「さあ、私には、分かりかねます」

 「分かりました。地下室も確認できましたし、契約します」

 「それでは、こちらに記入してください。それから、費用は、どのように処理しましょうか」

 「そうですね。取り敢えず、半年は使いますので、その分を今支払います。
 いくらになりますか?」

 「保証金と半年間の賃料で、金貨600枚になります」

 「分かりました。これで、清算してください」

 私は、商業IDをセーロンに渡した。すると、アイテムボックスから、機械を取り出し、清算の手続きを行った。そして、書類の控えと共に渡してくれた。

 「はい、これで、手続きを完了しました。まいど、ありがとうございました」

 「今日から、ここに滞在します」

 「どうぞ、お愉しみください。鍵をお渡ししときます」

 セーロンに鍵を貰い、私達は、2階で、寝ることにした。明日は、忙しくなりそうだ。
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