上 下
41 / 270
 第4章 サルビア編

412.サルビアの訓練

しおりを挟む
 今日もサルビアと一緒に、朝ご飯を作って食べた。でも、毎回食べたふりをするのも疲れる。何かいい方法はないかなぁ。

 今日も、朝の開店準備をサルビアに任せた。これからは、一人で、出来そうだ。サルビアは、光魔法、火魔法、土魔法を使うことが出来る。

 光魔法が使えるので、白魔導士として、能力を伸ばしておけば、将来の医師になるという夢の実現に役に立ちそうだ。

 でも、サルビアも白魔導士として活躍するためには総魔力量をもっと、増やしていかないといけない。

 先日からの魔法の訓練で、少しは増えているが、もっと増やしてやりたい。私の今迄の経験から、総魔力量は、魔力が枯渇するまで、魔力を使い切ると一気に増えている。

 だから、サルビアにも、同じように訓練してやりたい。今迄、魔法を使ってこなかったサルビアには、厳しいかも知れないが、これは、必要な事だと私は、思った。

 「サルビア、今日は、少し、厳しい魔法の練習をするけど、いいかな?」

 「はい、大丈夫だよ。頑張ります」

 「それでは、まず、これまでの復讐からやるね」

 私は、サルビアに、ガラス瓶を100個作って貰った。まだ、魔力にゆとりがある。更に、100個作って貰った。やっと、半分にまで、魔力を消費することが出来た。

 これでは、時間が掛かりすぎる。もっと、一気に魔力を使うことを考えないと、効率が悪い。

 「サルビア、ここでは、練習し辛いから、場所を変えるね」

 「はい、何処に行くの?」

 「前に、行ったことがある、工房だよ」

 「そうだ、サルビアが自由に行き来できるように、魔法陣を作っておこう。
 腰のダガーを貸してくれる」

 「はい、どうぞ」

 私は、サルビアのダガーの柄の部分に、闇魔法の転移魔法の魔法陣を描いた。それが、消えないように、闇魔法でコーティングをしておいた。

 「サルビア、この転移魔法は、事前に描かれている転移魔法用の魔法陣にしか、行くことができないの。そして、魔力量に応じて、移動できる距離が決まるの」

 「はい、わかりました」

 私は、足元に転移魔法用の魔法陣を描いた。

 「それじゃ、練習よ。少し離れた場所から、この私の足元の魔法陣まで、移動してみて」

 「やってみます」

 サルビアは、ダガーに描かれている魔法陣にマナを流した。

 「おっと、大丈夫?」
 
 私は、目の前に現れたサルビアとぶつかりそうになり、思わず、サルビアを抱きしめた。

 「はい、大丈夫です。うまく、行きました」

 「それじゃ、この地下室にある魔法陣まで、私をつれて、飛んでみて」

 「はい、しっかり、私を掴んでおいてください」

 わたしは、更に強く、サルビアを抱きしめた。

 「これで、いい?」

 「はい、それでは、行きます」

 サルビアは、ダガーの魔法陣にマナを流した。すると、私達は、地下室に移動できた。

 「やったね。もう、大丈夫だね」

 「はい、大丈夫です。移動できます」

 「一つ、注意してね」

 「はい、何でしょうか」

 「魔力が足らないような移動は出来ないということ。だから、魔力の余裕をもって移動してね」

 「はい、注意します」

 「それじゃ、私に掴まって」

 「はい」

 私達は、スピアに内緒で、二人で、地下牢前の工房に転移魔法で、移動した。

 「さて、ここの工房を拡張するよ」

 「はい」

 「それじゃ、サルビア、足元に穴を作ってくれる」

 「どれぐらいですか」

 「そうね、横2m、縦4mぐらいかな。部屋の隅に作ってね。階段にするから」

 「はい、わかりました。頑張ります」

 サルビアは、土魔法で、工房の地下を作るための階段を掘った。

 「それじゃ、更に深く掘って、くれる。高さ10mぐらいかな」

 「はい。掘ります」

 「次に、それを階段に変えてくれる」

 「はい」

 サルビアは、順調に階段を作った。私は、サルビアが作った階段を土魔法で硬化して、強度を高めておいた。

 「それじゃ、階段を下りて、横穴を掘ってくれる。今の工房のちょうど真下に同じ広さの空間を作ってね」

 「はい、作ります」

 サルビアは、頑張って、工房下に同じ広さの空間を作ろうとしたが、魔力が枯渇し始めた。

 「サルビア、魔力が無くなり始めたよ。完全に枯渇する前に、青のポーションを飲んで、完全に元に戻しておいて」

 「はい、1本飲みます」

 「どう、元に戻った?」

 「まだです。もう1本飲みます」

 サルビアは、少し時間をおいてから、もう1本飲んだ。

 完全に元に戻るまで、飲み続けた。

 「テラ、戻りました」

 「それでは、また、続きを掘って行って」

 「はい、頑張ります」

 サルビアに、繰り返し、作業をさせることで、何とか、総魔力量も倍増させることが出来た。

 「次は、土魔法の硬化魔法を覚えてね」

 「はい、覚えます」

 私は、土魔法を色々と練習させた。その甲斐があって、土魔法のレベルを30まで、上げることができた。

 今日は、これぐらいにしておこう。明日は、火魔法、その翌日は、光魔法を鍛えよう。

 私達は、サルビアの転移魔法で店に移動した。

 「スピア、お待たせ。黙って行って、ごめんね」

 「うん、テラの居るとこ、分かっていた」

 「そうか、スピアは、私の居る場所を感じることが出来るのね。
 さすが、私の従魔だわ」

 私は、次からは、一緒に行くことをスピアに約束した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

処理中です...