上 下
28 / 270
 第3章 従魔編

309.メイソンの仲間(2)

しおりを挟む
 魔物の群れに囲まれている人間達の中にメイソンの仲間もいた。メイソンは、急いで、魔物の群れの中に飛び込もうとしていた。私は、メイソンの手を掴み、飛び込むのを止めさせた。

 「だめ、飛び込んじゃ」

 「おい、離せ。助けないと」

 「だめ、行ったらだめ。スピアの邪魔」

 「何! 邪魔だと」

 「そうだよ。邪魔だよ。じっと、見ていてね」

 「よく、そんなに、落ち着いて居れるな。心配じゃないのか?」

 「うん、心配していない」

 「うー、何も言えない。また、腹が立って来た」

 「寝ててもいいよ。立ってなくても」

 「また、バカにした。まあ、いいよ。助けてくれれば」

 「最初から、そのつもりだよ。
 心配そうだから、状況を説明するね。メイソンの仲間ほ5人だね。それ以外は、どうも、冒険者ギルドから、依頼を受けたパーティーが2組いるみたい。
 どちらも、Aクラスのパーティーだよ」

 「そうか、それなら、安心だな」

 「でも、そのAクラスのパーティー2組が苦戦しているのは、わかる?」

 「魔物の群れに囲まれているからな。俺でもわかるよ」

 「本当? わかるの?」

 「また、バカにした。それじゃ、囲まれていること以外に何があるんだ」

 「例えば、取り囲んでいる魔物がスライムなら、心配する?」

 「するわけないだろ。そんな、弱い魔物が何匹いても、関係ないだろう」

 「そうだよ。だから?」

 「強い魔物に取り囲まれているってことか」

 「正解。それで?」
 
 「一寸待て、もう一度見て見るから。おぉー」

 「よく見た?」

 「こりゃ、無理だ。全滅だ」

 「このままでは、そうなるね」

 私は、まず、人間達を闇魔法の結界で覆った。

 次に、後ろに控えているオーク20匹に、火壁ファイア・ウォールを連続で、放った。
 2匹に1回ずつ打ち込んだ。

 次に、オークの前に居たホブゴブリンに、風壁ブロー・ウォールを連続で放った。今度も、2匹に1回ずつ打ち込んだ。

 ホブゴブリンの前にゴブリンは、放っておいた。

 5匹いたサーペイントは、いつの間にか消えていた。

 残った魔物は、スピアが一瞬で倒した。スピアは、魔石やドロップアイテムを回収している。それも、一瞬だった。

 私とメイソンは、ゆっくりと、冒険者たちの所に近づいて行った。

 「あっ、兄貴、来てくれたんですか」

 メイソンの仲間が、メイソンに気が付き、走って来た。

 「よお、無事だったか」

 「はい、冒険者ギルドから、派遣されてきた冒険者達に助けて貰いました」

 「兄貴は、どうして、ここに?」

 「冒険者ギルドに依頼を出したが、全く報告がないので、心配で、やって来た」

 「兄貴が、依頼を出してくれたんですか。ありがとうございました」

 「いや、お前たちが無事なら、それでいい」

 「心配かけて、すみません」

 「これからは、用心するんだぞ」

 「はい、兄貴。ところで、横にいるのは、兄貴の子供ですか? 初めて見ますが」

 「おい、余計な事は言うな」

 「えぇ。どうして? 兄貴、子供に怯えていませんか?」

 「バカ、何度もいわすな! 子供は、禁句だ」

 「だれが、子供だって? メイソン、子供って言ったな! 許さないよ」

 「俺が、いや、すみません。二度といいませんから」

 「絶対だぞ」

 メイソンは、頭を下げている。横にいる仲間の頭も無理やり下げさせていた。

 スピアが、私の隣に戻って来た。私は、スピアの腰に抱き付いて、ブランコの様に揺れていた。

 「メイソン、私達は帰るけど、いいか?」

 「あぁ、ありがとう。後は、何とかなると思う」

 「それじゃ、バイバイ」

 私達は、素早く、その場を離れ、一つ上の階層から、転移魔法で店まで移動した。

 1階で、無人販売用の機械の商品を確認して、補充しておいた。ついでに、溜まっている金貨を回収した。金貨を合計で、312枚だった。

 私達は、そのまま、店を開けた状態で、商業ギルドに向かった。

 「こんにちは! リンダ姉」

 「はい、こんな時間にどうしたの?」

 「この間言っていた無人販売用の機械の清算してきた」

 「そう、それで、どうだった?」

 「借りてから、今日までで、金貨312枚になっていたよ」

 「それで、商品の仕入れ値はいくら?」

 「全部、自分で作っているよ。材料の薬草も、自分で採取しているよ」

 「そう、すると、費用は、無人販売用の機械のレンタル料だけね。
 1台当たり、月金貨10枚だから、2台で、金貨20枚ね。
 テラとスピアは、ほとんど、ダンジョンの中に居るので、午前中だけ、作業していると考えるよ。
 すると、午前中に2人で6時間で、一月に180時間ね。1時間に金貨1枚として、一月に、金貨200枚は、費用として考えられるね。
 これを収入から引いて、金貨112枚が、儲けになるね」

 「大体そうだね。それって、儲かっているの? どうなの?」

 「そうね。微妙ね。あの物件が、販売価格が金貨2000枚だから、2年で購入できるということになるよね」

 「だいたい、そうだね」

 「だから、微妙なの。レンタル料が月に金貨40枚で、1年に約500枚、4年で2000枚。つまり、レンタル料の倍儲けているってことなので、儲けてはいるけど、凄い! ってほどじゃないのね」

 「そうか、今の倍以上でないと、凄いってならないのね」

 「そうよ。でも、悪くないね」

 「ありがとう、頑張るね。リンダ姉、また、教えてね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...