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第2章 商人編
202.テラの初めの一歩(2)
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新しい身体を手に入れた私は、商業都市ブューラナの商業ギルドに転移魔法で移動した。
まずは、生活の基盤を作っていこう。まだ、私は、冒険者として生きて行くか、錬金術師として生きて行くか、決めかねていた。
でも、「賢者への道」は、険しく遠い、って、言うし、一歩ずつだね。
私は、商業ギルドの中に入っていった。店の中を奥に進んで行き、受付で店員に声を掛けた。
「すみません。商業ギルドに登録したいのですが、手続きをお願いします」
「はい、何か、身分証明できるもんは、ありますか?」
「いいえ、何も持っていません」
「それでは、こちらに、記入して下さい。それから、手数料を頂きます」
「はい、わかりました」
私は、用紙に記入して、受付の女性に渡した。そして、金貨をアイテムボックスから、金貨40枚出して、これも、机の上に置いた。
「これで、いいですか?」
受付の女性は、リンダという猫耳族の若い女性だった。しばらく、猫耳に見とれていると、私は呼びかけられた。
「あの、足らないのですが、後、金貨20枚必要です」
「えっ、前は、って、今回が初めてだよね」
私は、思わず声を出してしまった。失敗、失敗、気を付けないと。この商業ギルドは、初めて来た所だった。
「わかりました、後、金貨20枚ですね」
取り敢えず、机の上に後20枚の金貨を出した。
「これで、お願いします」
「はい、結構です」
係のリンダは、私の書いた用紙と金貨を入れたトレーを持って、奥の部屋に消えた行った。
暫くして、リンダが戻って来た。
「それでは、こちらで、よろしいですね。名前を確認してください」
「テラ ハツネ、はい、これでいいです」
「これからも、御贔屓にしてください」
「はい、よろしくお願いいたします」
何だか、騙されたような感じになったが、黙って引き下がった。前は、確かに金貨40枚だったのに。まあ、いいか。まだ、まだ、金貨は残っているし。
通りに出た私は、次に寝る所を探した。同じ並びに宿屋があるので、そこで、泊まることにした。
「すみません。泊まりたいのですが、いいですか」
「はい、ちょっと待ってね」
この宿屋は、食事処も兼ねている。今は、夕食時で、受付の女の子は両方を兼ねているらしく、忙しそうだ。
「お待ち同様。1泊、食事付きで、銀貨30枚です」
「食事抜きでお願いしたいのですが、いいですか」
「はい、いいですよ。それなら、1泊銀貨20枚です」
「それでは、5日お願いします」
私は、女の子に金貨1枚渡した。
「これが鍵です。2階の突き当りの部屋です」
「ありがとう」
私は、鍵を受け取って、2階の部屋の中に入った。ベッドが置いてあるだけの小さな部屋だった。
まあ、私は、この部屋では、何もするつもりがないので、構わないが。それにしても、狭い部屋だった。
私は、部屋のドアに鍵を掛けてから、部屋の隅に転移用の魔法陣を描いた。次に、勝手に使われないように闇魔法で、バリアで覆って、結界を作って魔法陣を隠した。
次に、部屋全体を闇魔法のバリアで結界をつくり、誰も勝手に侵入できないようにした。それから、部屋を出て、下の受付に行った。
「すみません。ちょっと、いいですか?」
「はい、何ですか?」
「少し、出かけていきたいのですが」
「はい、行ってください」
「ん、部屋の鍵は?」
「あぁー、そういうことね。そこに、鍵を掛ける所があるから、そこに掛けておいてね。
でも、5日泊るのじゃなかった?」
「えぇ、そうですけど。それが何か?」
「それなら、鍵は、5日後に、部屋を出るときでいいよ」
「わかりました。お手数をおかけしました」
「はい、はい、丁寧に話して貰えていいのだけど、歳相応でいいよ」
「でも、年上なので」
「まだ、10歳ぐらいでの女の子が、気にしないでいいのよ」
「はい、分かった」
「そう、それでいいよ」
「それじゃ、行って来るね」
「はい、気を付けて」
私は、店を出て、冒険者ギルドに向かった。どうするか、まだ、決め手はいないが、冒険者ギルドに登録だけは済ませておくことにした。
冒険者ギルドに入って行き、受付の人に手続きをお願いした。私は、用紙に記入して、金貨20枚を添えて、受付の人に渡した。
「何か、身分を証明できるものは、お持ちですか?」
「はい、商業ギルドに登録しています」
私は、先ほど受け取ったばかりの商人IDを受付の人に見せた。
「それでは、手続きの金貨は不要です。用紙を預かりますね」
受付の人は、用紙を持って、奥の部屋に消えていった。暫くして、私の冒険者IDを持って、帰って来た。
「はい、どうぞ」
私は、冒険者IDを受けとった。
「ありがとう」
「はい、また来てね」
宿屋の部屋に戻った私は、部屋のベッドに横たわりながら、今後の事について、考えていた。
「賢者への道」への第一歩は、歩み始めることが出来た。
暫く、考えて、最初に工房と店を正式な場所に作りたいと思った。これからは、堂々と生きていけるはずだ。
早速、商業ギルドに行って、リンダに依頼を出すことにした。
「すみません。店と工房を買いたいのですが、相談に乗って貰えますか?」
「はい、いいですよ。それでは、奥の部屋で話を聞きますね」
私は、リンダに案内されて、奥の部屋のソファに座った。
「どれぐらいの規模の物を探していますか? 詳しく聞いてもいいですか?」
「はい、大丈夫です。この部屋ぐらいの広さで、地下室に工房を作りたいのです」
「予算を聴いてもいいですか?」
「これから、稼ぐつもりです。今は、まだ、お金がありません」
「そうですね。それなら、最初は、借りておいて、お金が貯まってから購入されては?」
「はい、それでいいです」
「それなら、こちらの物件はどうですか? 広さは少し狭いですが、地下室があります。それに、以前に商人が借りていたので、その時の家具がそのまま、使えますよ」
「それは、いいですね。費用は、いくらぐらいですか?」
「最初に保証金として、金貨40枚です。それから、月に金貨40枚になります」
「分かりました。もし、購入するとしたら、いくらぐらいになりますか? 参考までに聞かせてください」
「そうですね。これと同じ物件であれば、金貨2000枚ぐらいですね」
「分かりました。それでは、借ります」
私は、商人IDと金貨を80枚机の上に出した。
「これで、お願いします」
「それでは、書類を作るので、暫くお待ちください」
暫くして、リンダが戻って来た。
「これが、契約書の控えと店の鍵です。保管しておいてください」
私は、リンダから、商人IDと契約書の控えと鍵を受け取った。
「店の場所に案内しましょうか? これが、地図です」
私は、地図を見て、知っている場所なので、案内を辞退して、商人ギルドを出た。
「さて、一度、自分の店を見ておこうっと。久しぶりの街なので、他の商店も見て歩こうかな」
私は、のんびりと、色々な商店を覗きながら、目的の店まで、歩いた。
店までは、30分ほどで着いた。商業ギルドから、そんなに遠くなかった。店は少し古ぼけた感じだが、街の本通りに面していて、立地としては、申し分なかった。
私は、渡された鍵を使って、店の中に入った。真っ暗で、何も見えないので、光魔法で、掌の上に明かりを灯した。これぐらいで、十分部屋の中を見渡すことが出来た。
入り口の横の壁に魔方陣が刻印されていた。内容を確認すると、電灯代わりの魔法陣の様だ。試しに、マナを流して、魔法陣を起動してみた。すると、部屋全体が照らされた。よく見ると、魔法陣の横に魔石が埋め込まれていた。それと、スイッチらしき物もあった。
スイッチを押してみると、灯りが消えた。もう一度、押してみた。すると、先ほどより暗いが、また、灯りついた。
私は、魔石にマナを封入して、暫くは、利用できるようにした。
「少し、手直ししないといけないね」
店の中を一通り見て回って、およその状態は把握できた。実際の修繕は明日にすることにして、一度宿に戻る事にした。
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「はい、何か、身分証明できるもんは、ありますか?」
「いいえ、何も持っていません」
「それでは、こちらに、記入して下さい。それから、手数料を頂きます」
「はい、わかりました」
私は、用紙に記入して、受付の女性に渡した。そして、金貨をアイテムボックスから、金貨40枚出して、これも、机の上に置いた。
「これで、いいですか?」
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「あの、足らないのですが、後、金貨20枚必要です」
「えっ、前は、って、今回が初めてだよね」
私は、思わず声を出してしまった。失敗、失敗、気を付けないと。この商業ギルドは、初めて来た所だった。
「わかりました、後、金貨20枚ですね」
取り敢えず、机の上に後20枚の金貨を出した。
「これで、お願いします」
「はい、結構です」
係のリンダは、私の書いた用紙と金貨を入れたトレーを持って、奥の部屋に消えた行った。
暫くして、リンダが戻って来た。
「それでは、こちらで、よろしいですね。名前を確認してください」
「テラ ハツネ、はい、これでいいです」
「これからも、御贔屓にしてください」
「はい、よろしくお願いいたします」
何だか、騙されたような感じになったが、黙って引き下がった。前は、確かに金貨40枚だったのに。まあ、いいか。まだ、まだ、金貨は残っているし。
通りに出た私は、次に寝る所を探した。同じ並びに宿屋があるので、そこで、泊まることにした。
「すみません。泊まりたいのですが、いいですか」
「はい、ちょっと待ってね」
この宿屋は、食事処も兼ねている。今は、夕食時で、受付の女の子は両方を兼ねているらしく、忙しそうだ。
「お待ち同様。1泊、食事付きで、銀貨30枚です」
「食事抜きでお願いしたいのですが、いいですか」
「はい、いいですよ。それなら、1泊銀貨20枚です」
「それでは、5日お願いします」
私は、女の子に金貨1枚渡した。
「これが鍵です。2階の突き当りの部屋です」
「ありがとう」
私は、鍵を受け取って、2階の部屋の中に入った。ベッドが置いてあるだけの小さな部屋だった。
まあ、私は、この部屋では、何もするつもりがないので、構わないが。それにしても、狭い部屋だった。
私は、部屋のドアに鍵を掛けてから、部屋の隅に転移用の魔法陣を描いた。次に、勝手に使われないように闇魔法で、バリアで覆って、結界を作って魔法陣を隠した。
次に、部屋全体を闇魔法のバリアで結界をつくり、誰も勝手に侵入できないようにした。それから、部屋を出て、下の受付に行った。
「すみません。ちょっと、いいですか?」
「はい、何ですか?」
「少し、出かけていきたいのですが」
「はい、行ってください」
「ん、部屋の鍵は?」
「あぁー、そういうことね。そこに、鍵を掛ける所があるから、そこに掛けておいてね。
でも、5日泊るのじゃなかった?」
「えぇ、そうですけど。それが何か?」
「それなら、鍵は、5日後に、部屋を出るときでいいよ」
「わかりました。お手数をおかけしました」
「はい、はい、丁寧に話して貰えていいのだけど、歳相応でいいよ」
「でも、年上なので」
「まだ、10歳ぐらいでの女の子が、気にしないでいいのよ」
「はい、分かった」
「そう、それでいいよ」
「それじゃ、行って来るね」
「はい、気を付けて」
私は、店を出て、冒険者ギルドに向かった。どうするか、まだ、決め手はいないが、冒険者ギルドに登録だけは済ませておくことにした。
冒険者ギルドに入って行き、受付の人に手続きをお願いした。私は、用紙に記入して、金貨20枚を添えて、受付の人に渡した。
「何か、身分を証明できるものは、お持ちですか?」
「はい、商業ギルドに登録しています」
私は、先ほど受け取ったばかりの商人IDを受付の人に見せた。
「それでは、手続きの金貨は不要です。用紙を預かりますね」
受付の人は、用紙を持って、奥の部屋に消えていった。暫くして、私の冒険者IDを持って、帰って来た。
「はい、どうぞ」
私は、冒険者IDを受けとった。
「ありがとう」
「はい、また来てね」
宿屋の部屋に戻った私は、部屋のベッドに横たわりながら、今後の事について、考えていた。
「賢者への道」への第一歩は、歩み始めることが出来た。
暫く、考えて、最初に工房と店を正式な場所に作りたいと思った。これからは、堂々と生きていけるはずだ。
早速、商業ギルドに行って、リンダに依頼を出すことにした。
「すみません。店と工房を買いたいのですが、相談に乗って貰えますか?」
「はい、いいですよ。それでは、奥の部屋で話を聞きますね」
私は、リンダに案内されて、奥の部屋のソファに座った。
「どれぐらいの規模の物を探していますか? 詳しく聞いてもいいですか?」
「はい、大丈夫です。この部屋ぐらいの広さで、地下室に工房を作りたいのです」
「予算を聴いてもいいですか?」
「これから、稼ぐつもりです。今は、まだ、お金がありません」
「そうですね。それなら、最初は、借りておいて、お金が貯まってから購入されては?」
「はい、それでいいです」
「それなら、こちらの物件はどうですか? 広さは少し狭いですが、地下室があります。それに、以前に商人が借りていたので、その時の家具がそのまま、使えますよ」
「それは、いいですね。費用は、いくらぐらいですか?」
「最初に保証金として、金貨40枚です。それから、月に金貨40枚になります」
「分かりました。もし、購入するとしたら、いくらぐらいになりますか? 参考までに聞かせてください」
「そうですね。これと同じ物件であれば、金貨2000枚ぐらいですね」
「分かりました。それでは、借ります」
私は、商人IDと金貨を80枚机の上に出した。
「これで、お願いします」
「それでは、書類を作るので、暫くお待ちください」
暫くして、リンダが戻って来た。
「これが、契約書の控えと店の鍵です。保管しておいてください」
私は、リンダから、商人IDと契約書の控えと鍵を受け取った。
「店の場所に案内しましょうか? これが、地図です」
私は、地図を見て、知っている場所なので、案内を辞退して、商人ギルドを出た。
「さて、一度、自分の店を見ておこうっと。久しぶりの街なので、他の商店も見て歩こうかな」
私は、のんびりと、色々な商店を覗きながら、目的の店まで、歩いた。
店までは、30分ほどで着いた。商業ギルドから、そんなに遠くなかった。店は少し古ぼけた感じだが、街の本通りに面していて、立地としては、申し分なかった。
私は、渡された鍵を使って、店の中に入った。真っ暗で、何も見えないので、光魔法で、掌の上に明かりを灯した。これぐらいで、十分部屋の中を見渡すことが出来た。
入り口の横の壁に魔方陣が刻印されていた。内容を確認すると、電灯代わりの魔法陣の様だ。試しに、マナを流して、魔法陣を起動してみた。すると、部屋全体が照らされた。よく見ると、魔法陣の横に魔石が埋め込まれていた。それと、スイッチらしき物もあった。
スイッチを押してみると、灯りが消えた。もう一度、押してみた。すると、先ほどより暗いが、また、灯りついた。
私は、魔石にマナを封入して、暫くは、利用できるようにした。
「少し、手直ししないといけないね」
店の中を一通り見て回って、およその状態は把握できた。実際の修繕は明日にすることにして、一度宿に戻る事にした。
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