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第1章
24話:次の国は
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「それで、イスティリアを鍛えるってことだけど、舞踏会の時に言った練習しているか?」
俺の言葉にイスティリアは頷いた。
「はい。徐々に扱える魔力量を上げていく魔力操作ですよね?」
「そうそう。しっかりやっているならいいよ。この後エイシアスに教えてもらうか?」
「いいのですか⁉」
「元々その予定だったしな。エイシアスも頼んだよ」
「約束は約束だ。いいだろう」
イスティリアは嬉しいのか早く教えてもらいたいのか、国王のエルセリオスに確認を取る。
「お父様、早くエイシアス様に教えを乞いたいので、中庭を使用してもよろしいでしょうか?」
「構わない。みんなの邪魔にならないように」
「はい! リディアも一緒に行きますか?」
「是非」
元々リディアにも教えると言っていたので、エイシアスは何も言わない。
するとエイシアスが席を立ち、イスティリアとリディアに中庭に案内するように伝えた。
「主、私はこの娘どもを鍛えてくるよ」
「怪我させないようにな」
貴族というのもあるけど、女の子だし一応ね。
エイシアスは大丈夫なのかって?
レベルがカンストしているんだから怪我するはずがない。
「うむ。では行くぞ」
そう言って早々に部屋を出て行ってしまった。
残った俺たちだが、レオルドが口を開いた。
「テオ殿。私も鍛えてはくれないだろうか?」
「本気か?」
「ああ。王子であるのと同時に、次期国王の身だ。それに、強くならないとだろ?」
レオルドの言葉に俺は思わず吹き出してしてしまう。
まさか、強くなるために俺に頼むとは思わなかった。
「いいぞ。だが王子だから政務だってあるだろ。そっちの方はやらなくていいのか?」
「別に構わない。テオ殿から教えを乞うだ。政務など私がやっておく」
「父上……」
エルセリオスが変わりにやるという発言に驚くレオルド。
もしかして厳しいお父さんなのかな?
俺には関係ないからいいけど。
「それでテオ殿、どれくらい滞在する予定なのだ?」
「ん~、考えてないな。飽きたら出ていく」
「戻って来るのか? 必要なら家くらい報酬で用意させるが……」
報酬って、なんのだよ。
そう思って聞こうとしたが、先に答えてくれた。
「息子と娘を強くしてくれるのだ。小さな屋敷くらいなら報酬で用意できる」
なるほどね。さすが権力者だ。屋敷一つを報酬で渡すとは……
公爵からの報酬もあるから十分な生活が可能だろう。
「だけど、俺は世界を旅する予定だ。もらったところで住まないぞ?」
「その時は放置でもいい。それに、テオ殿とエイシアス殿の力を利用するのだって私の自由だろ?」
「ククッ、いいね。気に入ったよ。あんたと俺は友人だ」
「こんなにも怖い人間の友人を初めてもった」
「俺も王様の友人なんて初めてできた。世界を旅して戻ってきたらここで暮らすのも悪くない」
「その時は顔を出してくれ」
俺とエルセリオスは握手を交わした。
するとずっと気になっていたのか、王妃のセリーナが俺に尋ねる。
「その小さいドラゴンのことを聞いても?」
「赤丸のことか?」
『ギャウ?』
赤丸も「ボクのこと?」的な感じで首を傾げている。
「はい。幼竜を初めてみました」
「そうね。私も初めてだわ」
セリーナの言葉にレイラ、エルセリオスが頷いた。
「リディアから小さなドラゴンがいるとは聞いていた」
レグルトも幼竜だと勘違いしているようだ。
なので、俺はその勘違いを正しておく。
「いやいや。赤丸は幼竜じゃなくて、魔の森にいたレベル6000の成竜。今は魔法で小さくなっているだけだ。本来の姿なんて百メートル以上はあるからな」
「せ、成竜で、しかもレベルが6000……」
みんなが絶句していたけどなんで?
今じゃ俺のペット兼乗り物なのに。
赤丸はこんなにも可愛いのに。ヨシヨシ。ん? おやつが欲しい?
時期に夕食だからそれまで我慢してなさい。
数週間が過ぎた。
俺とエイシアスが王城で世話になりながらレオルドとイスティリア、リディアを鍛えていると、エルセリオスが「兵士も鍛えてはくれないか?」と頼まれたので、レオルドと一緒にしごいている。
毎回毎回訓練が終わるとボロボロいなってるが、次の日には元気そうなので大丈夫なはず。少しやつれているけど、多分大丈夫。
たまに魔物が近郊に現れるも、赤丸を派遣して終わり。ついでに食材調達をしてもらい毎回大量の肉が食に並べられる。
そんなこんなで二カ月が経ってしまった。
この時期にあった隣国との小競り合いも、赤丸が王都を出入りしているせいなのかなかった。
多分、ドラゴンが戦場に出てくると思ったのだろう。楽しそうだったので少し残念な気持ちである。
「主よ。次はどの国にいくのだ?」
部屋でのんびりしていた俺にエイシアスが問うてきた。
次はどの国に行くのか。
すでに考えてある。
レオルドが「あの国は魚料理が美味しい」と言っていた。
肉ばかりじゃなくて、お魚も食べたいよね。
だから俺はエイシアスにこう答えた。
「――シーヴェリス王国」
俺の言葉にイスティリアは頷いた。
「はい。徐々に扱える魔力量を上げていく魔力操作ですよね?」
「そうそう。しっかりやっているならいいよ。この後エイシアスに教えてもらうか?」
「いいのですか⁉」
「元々その予定だったしな。エイシアスも頼んだよ」
「約束は約束だ。いいだろう」
イスティリアは嬉しいのか早く教えてもらいたいのか、国王のエルセリオスに確認を取る。
「お父様、早くエイシアス様に教えを乞いたいので、中庭を使用してもよろしいでしょうか?」
「構わない。みんなの邪魔にならないように」
「はい! リディアも一緒に行きますか?」
「是非」
元々リディアにも教えると言っていたので、エイシアスは何も言わない。
するとエイシアスが席を立ち、イスティリアとリディアに中庭に案内するように伝えた。
「主、私はこの娘どもを鍛えてくるよ」
「怪我させないようにな」
貴族というのもあるけど、女の子だし一応ね。
エイシアスは大丈夫なのかって?
レベルがカンストしているんだから怪我するはずがない。
「うむ。では行くぞ」
そう言って早々に部屋を出て行ってしまった。
残った俺たちだが、レオルドが口を開いた。
「テオ殿。私も鍛えてはくれないだろうか?」
「本気か?」
「ああ。王子であるのと同時に、次期国王の身だ。それに、強くならないとだろ?」
レオルドの言葉に俺は思わず吹き出してしてしまう。
まさか、強くなるために俺に頼むとは思わなかった。
「いいぞ。だが王子だから政務だってあるだろ。そっちの方はやらなくていいのか?」
「別に構わない。テオ殿から教えを乞うだ。政務など私がやっておく」
「父上……」
エルセリオスが変わりにやるという発言に驚くレオルド。
もしかして厳しいお父さんなのかな?
俺には関係ないからいいけど。
「それでテオ殿、どれくらい滞在する予定なのだ?」
「ん~、考えてないな。飽きたら出ていく」
「戻って来るのか? 必要なら家くらい報酬で用意させるが……」
報酬って、なんのだよ。
そう思って聞こうとしたが、先に答えてくれた。
「息子と娘を強くしてくれるのだ。小さな屋敷くらいなら報酬で用意できる」
なるほどね。さすが権力者だ。屋敷一つを報酬で渡すとは……
公爵からの報酬もあるから十分な生活が可能だろう。
「だけど、俺は世界を旅する予定だ。もらったところで住まないぞ?」
「その時は放置でもいい。それに、テオ殿とエイシアス殿の力を利用するのだって私の自由だろ?」
「ククッ、いいね。気に入ったよ。あんたと俺は友人だ」
「こんなにも怖い人間の友人を初めてもった」
「俺も王様の友人なんて初めてできた。世界を旅して戻ってきたらここで暮らすのも悪くない」
「その時は顔を出してくれ」
俺とエルセリオスは握手を交わした。
するとずっと気になっていたのか、王妃のセリーナが俺に尋ねる。
「その小さいドラゴンのことを聞いても?」
「赤丸のことか?」
『ギャウ?』
赤丸も「ボクのこと?」的な感じで首を傾げている。
「はい。幼竜を初めてみました」
「そうね。私も初めてだわ」
セリーナの言葉にレイラ、エルセリオスが頷いた。
「リディアから小さなドラゴンがいるとは聞いていた」
レグルトも幼竜だと勘違いしているようだ。
なので、俺はその勘違いを正しておく。
「いやいや。赤丸は幼竜じゃなくて、魔の森にいたレベル6000の成竜。今は魔法で小さくなっているだけだ。本来の姿なんて百メートル以上はあるからな」
「せ、成竜で、しかもレベルが6000……」
みんなが絶句していたけどなんで?
今じゃ俺のペット兼乗り物なのに。
赤丸はこんなにも可愛いのに。ヨシヨシ。ん? おやつが欲しい?
時期に夕食だからそれまで我慢してなさい。
数週間が過ぎた。
俺とエイシアスが王城で世話になりながらレオルドとイスティリア、リディアを鍛えていると、エルセリオスが「兵士も鍛えてはくれないか?」と頼まれたので、レオルドと一緒にしごいている。
毎回毎回訓練が終わるとボロボロいなってるが、次の日には元気そうなので大丈夫なはず。少しやつれているけど、多分大丈夫。
たまに魔物が近郊に現れるも、赤丸を派遣して終わり。ついでに食材調達をしてもらい毎回大量の肉が食に並べられる。
そんなこんなで二カ月が経ってしまった。
この時期にあった隣国との小競り合いも、赤丸が王都を出入りしているせいなのかなかった。
多分、ドラゴンが戦場に出てくると思ったのだろう。楽しそうだったので少し残念な気持ちである。
「主よ。次はどの国にいくのだ?」
部屋でのんびりしていた俺にエイシアスが問うてきた。
次はどの国に行くのか。
すでに考えてある。
レオルドが「あの国は魚料理が美味しい」と言っていた。
肉ばかりじゃなくて、お魚も食べたいよね。
だから俺はエイシアスにこう答えた。
「――シーヴェリス王国」
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