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捌 武田
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《酒井直次》
ある晴れた日の事だ。
二連木城の中庭には稽古場がある。
そこで、七海と対峙していた。
七海は正面に木刀を構え、ゆっくりと動いている。
隙が無い。
それに対して、俺は容易に前に出て面を打とうと振り上げた。
七海は一瞬で俺の横を過ぎ去り、胴を打っていく。
俺は腹を抱えてうずくまり、苦痛の表情を作った。
「七海、痛いぞ。少しは加減をしろ。俺は酒井直次だぞ」
「直次様、何を甘い事を言ってる。真剣であれば、死んでいたぞ」
「俺は良いんだ。七海がいる。最強に強くて可愛い護衛だぞ」
「な、な、何を言ってるんだ」
顔を赤くする七海。
「まあ、今日はこれぐらいにしようか」
「駄目だ。あっ、そう言えば、私がいない時に襲われたそうだな。その時、誰が助けてくれたのだ」
「秘密だ」
「ならば、これを食らえ」
七海は木刀を捨てて、俺の脇をつかみ、くすぐる。
「七海、やめてくれ。くすぐったい。死んじゃう」
「ならば、言え~」
俺がやったんなんて言えるわけが無い。
「ムリ」
楽しそうにしている七海。
「これでもか」
「わかった。わかった」
その時、義郎が駆け込んできた。
「何を楽しそうに遊んでいるんだ」
「遊んでいるように見えるか!」
「七海もとても楽しそうに見えるぞ」
「ふん、用事は何だ?」
「武田の軍が現れた。ざっと、千」
俺は七海を見て相談。
「どうしようか?」
「当然、出陣だろ」
「そうだな、頼む」
「頼む? 直次様は?」
「俺は留守を守る。義郎と七海で武田軍を追い返してくれ」
七海は俺を睨み付け、その後で、ため息を吐いた。
「仕方ない。直次様はしっかりと留守を守って」
「おう、任せておけ。美味しい物を作って待っとくぞ」
「もう、まったく」
七海は少し笑顔になる。
そして、荒木村重、荒木七海、菅沼義郎は二千の兵を率いて出陣した。
ある晴れた日の事だ。
二連木城の中庭には稽古場がある。
そこで、七海と対峙していた。
七海は正面に木刀を構え、ゆっくりと動いている。
隙が無い。
それに対して、俺は容易に前に出て面を打とうと振り上げた。
七海は一瞬で俺の横を過ぎ去り、胴を打っていく。
俺は腹を抱えてうずくまり、苦痛の表情を作った。
「七海、痛いぞ。少しは加減をしろ。俺は酒井直次だぞ」
「直次様、何を甘い事を言ってる。真剣であれば、死んでいたぞ」
「俺は良いんだ。七海がいる。最強に強くて可愛い護衛だぞ」
「な、な、何を言ってるんだ」
顔を赤くする七海。
「まあ、今日はこれぐらいにしようか」
「駄目だ。あっ、そう言えば、私がいない時に襲われたそうだな。その時、誰が助けてくれたのだ」
「秘密だ」
「ならば、これを食らえ」
七海は木刀を捨てて、俺の脇をつかみ、くすぐる。
「七海、やめてくれ。くすぐったい。死んじゃう」
「ならば、言え~」
俺がやったんなんて言えるわけが無い。
「ムリ」
楽しそうにしている七海。
「これでもか」
「わかった。わかった」
その時、義郎が駆け込んできた。
「何を楽しそうに遊んでいるんだ」
「遊んでいるように見えるか!」
「七海もとても楽しそうに見えるぞ」
「ふん、用事は何だ?」
「武田の軍が現れた。ざっと、千」
俺は七海を見て相談。
「どうしようか?」
「当然、出陣だろ」
「そうだな、頼む」
「頼む? 直次様は?」
「俺は留守を守る。義郎と七海で武田軍を追い返してくれ」
七海は俺を睨み付け、その後で、ため息を吐いた。
「仕方ない。直次様はしっかりと留守を守って」
「おう、任せておけ。美味しい物を作って待っとくぞ」
「もう、まったく」
七海は少し笑顔になる。
そして、荒木村重、荒木七海、菅沼義郎は二千の兵を率いて出陣した。
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