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駆の章

アルゼンチ戦 ハーフタイム

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《宇垣悠里》
宇垣悠里は控え室へ向かう通りで待っていた。
日本のスタジオと中継が繋がる。
「大居さん、これからアルゼンチンと日本の選手達が控え室へ戻ってきます」
(今日の空山隆之介は凄いね。ビックリだわ)
「そうなんですけど、メッシーとデメルも調子が良くて手が付けられない感じです」
(そうなんだ。ヤバイよね)
先にアルゼンチンイレブンが戻ってきた。
メッシーとデメルは笑顔で会話しながら、歩いていく。
デメルと目が会う。
「おう、ユウリじゃないか。ボクはキミの為にゴールを量産するよ」
「いえ、日本が勝ちますから」
スタジオの大居が割り込んでくる。
(悠里ちゃん、モテモテだね。あちらこちらに行かないでね)
「行きません。私、以外と一途なんです」
日本人のイレブン達が姿を現した。
以外と元気そうだった。
「柴咲さん、本田さんと次々と控え室へ向かっています。選出たちは堂々と世界ランク三位のアルゼンチンと対等に戦っています」
空山隆之介が大海信吾と歩いていく。
目が合わないなんで?少し怒りです。
でも、頑張って。

《桐谷里帆》
スタジアムの最上階にあるVIP室から試合を観戦していた。
今日の隆之介は駆と最初から戦っている。
そんな風に見え、とても、ワクワクした試合だ。
駆がピッチで隆之介と駆けている姿が想像できた。
「駆?あなたはピッチにしか現れない。いつも隆之介と一緒」
里帆は刹那過ぎる思いを胸に抱き、隆之介を応援している。
もし、駆が生きていたならば、素直に駆を選べただろうか。
いつも自問自答している。

隆之介、勝って。

《中澤雄二》
グランド隅にある関係者エリアにてスペイン記者と共にいた。
「ユウジ、日本は強い。ソラヤマの加入でチーム力が上がっている」
「そうだな。あの日本がアルゼンチンと点を取り合おうとする事が驚きだ」
そう、日本の長年の課題でもあった。胸に汲み上げて来るものがある。

《俺》
西島秀人が守備の修正点を俺、昌司、畠中に指示していた。
メッシーとデメルは厄介だ。
城戸はひゃひゃーといつも通り騒がしい。
柴咲は目を瞑り、瞑想している。
前半の澄んだ状態が続いていた。

今日は不思議な感覚だ。
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