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駆の章
モンスター
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《空山隆之介》
柴崎に呼ばれてボールに近づく。
「空山、このボールをお前に託す。ゴールを狙え」
「距離がまだありますが」
城戸が笑う。
「お前は馬鹿じゃ。細かい事、考えんでええんじゃ」
柴崎が俺の肩に手を置く。
「これは今後の布石だ。お前にはロングシュートがあるとしっかりと刻ませる。まあ、いい。これは俺と城戸が考える。お前はゴールを狙え」
「はい、わかりました」
柴崎と城戸が散っていく。そして、本田たちもゴール前に陣取った。
俺はボールから八メトールぐらいの距離をとり、アルゼンチンゴールに向き直った。
駆が俺の隣に現れた。
「駆、今日の俺はおかしい。良く周りが見えるんだ。そして、このボールはゴールネットを揺らす」
(隆之介、それこそが武器。空山隆之介の武器だ。さあ、やってみようか)
「そうだな」
俺の中で更に目覚めた感じになる。
周りが静かになり、全ての感覚が自分と繋がった。
走りだす。
左足をボールの横に踏み込み、上半身を前に倒しながら右足を大きく後ろへ振り上げた。
決めてやる。
一気に右膝を引寄せて足の甲にボールが乗る。
そこで一気にエネルギーを解放。
ボールが歪む。その反力がボールの初速を上げて飛び出す。
物凄い速さで飛び出したボールは誰も触れずことが出来ずにアルゼンチンゴールに迫り、ボールが分裂したかの様に激しくボールが動く。
キーパーはボールに体の一部を当てて止めようと飛び込むこんだ。
ボールはキーパーの顔面に当たる。
ボールが弾かれると思ったが、弾かれたのはボールでは無くキーパーが弾かれてボールはそのまま、ゴールネットを揺らした。
キーパーは顔面を抑えて地面を転がり回っている。
グローブの隙間から血が溢れ流れてくる。
スタンドは歓声が湧くが、直ぐに静まり返った。
審判はゴールが決まったホイッスルと同時にコートに医療スタッフを招き入れた。
医療スタッフ達はアルゼンチンベンチに手でバツの合図を送る。
キーパーはそのまま、担架に乗せられて交代となった。
柴崎らが俺のところにやって来る。
「よくやった。次、行くぞ」
城戸が苦笑いしてた。
「お前、想像以上の怪物じゃ」
本田、森、昌司も微妙な笑顔で頭を軽く叩いていく。
俺はどの様な反応すればいいんだろうか。
そこへ、大海信吾が飛び付いてきた。
「隆之介、おめえは凄い。俺も負けん。さあ、行こうや」
駆も俺の肩に手をかけて笑う。
(素直に喜べ)
俺は拳を突き上げた。
その瞬間、スタンドからは大歓声とブーイングに包まれた。
今日の俺はモンスターだ。
暴れて暴れて暴れまくってやる。
柴崎に呼ばれてボールに近づく。
「空山、このボールをお前に託す。ゴールを狙え」
「距離がまだありますが」
城戸が笑う。
「お前は馬鹿じゃ。細かい事、考えんでええんじゃ」
柴崎が俺の肩に手を置く。
「これは今後の布石だ。お前にはロングシュートがあるとしっかりと刻ませる。まあ、いい。これは俺と城戸が考える。お前はゴールを狙え」
「はい、わかりました」
柴崎と城戸が散っていく。そして、本田たちもゴール前に陣取った。
俺はボールから八メトールぐらいの距離をとり、アルゼンチンゴールに向き直った。
駆が俺の隣に現れた。
「駆、今日の俺はおかしい。良く周りが見えるんだ。そして、このボールはゴールネットを揺らす」
(隆之介、それこそが武器。空山隆之介の武器だ。さあ、やってみようか)
「そうだな」
俺の中で更に目覚めた感じになる。
周りが静かになり、全ての感覚が自分と繋がった。
走りだす。
左足をボールの横に踏み込み、上半身を前に倒しながら右足を大きく後ろへ振り上げた。
決めてやる。
一気に右膝を引寄せて足の甲にボールが乗る。
そこで一気にエネルギーを解放。
ボールが歪む。その反力がボールの初速を上げて飛び出す。
物凄い速さで飛び出したボールは誰も触れずことが出来ずにアルゼンチンゴールに迫り、ボールが分裂したかの様に激しくボールが動く。
キーパーはボールに体の一部を当てて止めようと飛び込むこんだ。
ボールはキーパーの顔面に当たる。
ボールが弾かれると思ったが、弾かれたのはボールでは無くキーパーが弾かれてボールはそのまま、ゴールネットを揺らした。
キーパーは顔面を抑えて地面を転がり回っている。
グローブの隙間から血が溢れ流れてくる。
スタンドは歓声が湧くが、直ぐに静まり返った。
審判はゴールが決まったホイッスルと同時にコートに医療スタッフを招き入れた。
医療スタッフ達はアルゼンチンベンチに手でバツの合図を送る。
キーパーはそのまま、担架に乗せられて交代となった。
柴崎らが俺のところにやって来る。
「よくやった。次、行くぞ」
城戸が苦笑いしてた。
「お前、想像以上の怪物じゃ」
本田、森、昌司も微妙な笑顔で頭を軽く叩いていく。
俺はどの様な反応すればいいんだろうか。
そこへ、大海信吾が飛び付いてきた。
「隆之介、おめえは凄い。俺も負けん。さあ、行こうや」
駆も俺の肩に手をかけて笑う。
(素直に喜べ)
俺は拳を突き上げた。
その瞬間、スタンドからは大歓声とブーイングに包まれた。
今日の俺はモンスターだ。
暴れて暴れて暴れまくってやる。
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