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駆の章
強さ
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《空山隆之介》
城戸を始め、スペインエリアに日本勢が一気に流れ込んで行く。
俺はトップスピードで城戸の後方に詰めた。
フォワードの大海信吾は右サイドのスペースに走り込んでいる。
誰もが、そこへボールを供給すると思っている。
だから、俺によこせ。
城戸はボールを大海の方へ蹴ろうとした。
その時、イニエスタが俺の横を走り抜けて城戸と大海のパスラインに入ってカットしようとブラインドエリアから飛び出していた。
奴は笑って言った。
「バカな奴らだ。お前たちのサッカーは単純なんだよ」
次の瞬間、城戸はヒールでイニエスタがさっきまでいた場所にボールをコロコロと転がす。
そこには誰もいないはず。
だけど、そこには柴崎がいた。
俺やイニエスタのブラインドエリアから飛び出してきていたんだ。
だから、突然、現れた様に見える。
柴崎が笑っていた。
「さあ、始めよう」
何を?
ドリブルで正面の一人を抜きさる。
えっ?
そんな風に見えたが、ボールを置き去り。
空振り? 嘘だろ?
いや、違う。
そこにはミッドフィルダーの森島が入り込み、ボールをキープする。
イニエスタの動きが明らかに迷っている。
城戸に着くべきか、柴崎か、それとも森島を潰すべきか。
森島はイニエスタに向かってドリブルを始めた。
驚くイニエスタ。
俺は森島の背後に周り込み、パスを貰うように動く。
森島がチラリと俺を見た。
俺にボールが出された。イニエスタは標的を俺に変えてすぐボールを奪いに来る。
凄い。イニエスタが凄いじゃない。
柴崎はボールというエサでイニエスタを釣りだしていたんだ。
俺はボールを森島へ返すだけで良い。
少し強めに森島へ蹴り返す。
森島はボールをスルーした。
えっ?
転がった先には柴崎がいた。
柴崎はダイレクトに城戸に向かって低くて速いボールを右前に蹴った。
えっ?
今度は城戸がスルーした。
その先には大海がいる。
大海もダイレクトで中央に蹴りだした。
そこには柴崎が走り込んでいた。
「もらったー」
凄い気迫。必ず決める。
えっ?
柴崎は空振ってボールはスルーされていく。
嘘だろー
次の瞬間、海渡圭介が滑り混んでボールをゴールへ押し込んだ。
キーパーは柴崎に向いていた為、反応は出来ない。
ホイッスルがコートに鳴り響く。
日本の得点だ。
柴崎が笑顔で戻ってくる際にイニエスタに向かって言った。
それもスペイン語で。
「俺達のサッカーはお前達の守備ほど、単純じゃない」
イニエスタの顔が真っ赤になっている。
俺はまだまだだ。
城戸がスキップしながら戻ってくる。
「ひゃっ、ひゃっ、ひゃ、あと一点、あと一点」
う~ん。今回のゴールは城戸が描いたのか?柴崎が描いたのか?
誰が司令塔なのか?
どちらにせよ、日本の見事な得点なのは間違いない。
城戸を始め、スペインエリアに日本勢が一気に流れ込んで行く。
俺はトップスピードで城戸の後方に詰めた。
フォワードの大海信吾は右サイドのスペースに走り込んでいる。
誰もが、そこへボールを供給すると思っている。
だから、俺によこせ。
城戸はボールを大海の方へ蹴ろうとした。
その時、イニエスタが俺の横を走り抜けて城戸と大海のパスラインに入ってカットしようとブラインドエリアから飛び出していた。
奴は笑って言った。
「バカな奴らだ。お前たちのサッカーは単純なんだよ」
次の瞬間、城戸はヒールでイニエスタがさっきまでいた場所にボールをコロコロと転がす。
そこには誰もいないはず。
だけど、そこには柴崎がいた。
俺やイニエスタのブラインドエリアから飛び出してきていたんだ。
だから、突然、現れた様に見える。
柴崎が笑っていた。
「さあ、始めよう」
何を?
ドリブルで正面の一人を抜きさる。
えっ?
そんな風に見えたが、ボールを置き去り。
空振り? 嘘だろ?
いや、違う。
そこにはミッドフィルダーの森島が入り込み、ボールをキープする。
イニエスタの動きが明らかに迷っている。
城戸に着くべきか、柴崎か、それとも森島を潰すべきか。
森島はイニエスタに向かってドリブルを始めた。
驚くイニエスタ。
俺は森島の背後に周り込み、パスを貰うように動く。
森島がチラリと俺を見た。
俺にボールが出された。イニエスタは標的を俺に変えてすぐボールを奪いに来る。
凄い。イニエスタが凄いじゃない。
柴崎はボールというエサでイニエスタを釣りだしていたんだ。
俺はボールを森島へ返すだけで良い。
少し強めに森島へ蹴り返す。
森島はボールをスルーした。
えっ?
転がった先には柴崎がいた。
柴崎はダイレクトに城戸に向かって低くて速いボールを右前に蹴った。
えっ?
今度は城戸がスルーした。
その先には大海がいる。
大海もダイレクトで中央に蹴りだした。
そこには柴崎が走り込んでいた。
「もらったー」
凄い気迫。必ず決める。
えっ?
柴崎は空振ってボールはスルーされていく。
嘘だろー
次の瞬間、海渡圭介が滑り混んでボールをゴールへ押し込んだ。
キーパーは柴崎に向いていた為、反応は出来ない。
ホイッスルがコートに鳴り響く。
日本の得点だ。
柴崎が笑顔で戻ってくる際にイニエスタに向かって言った。
それもスペイン語で。
「俺達のサッカーはお前達の守備ほど、単純じゃない」
イニエスタの顔が真っ赤になっている。
俺はまだまだだ。
城戸がスキップしながら戻ってくる。
「ひゃっ、ひゃっ、ひゃ、あと一点、あと一点」
う~ん。今回のゴールは城戸が描いたのか?柴崎が描いたのか?
誰が司令塔なのか?
どちらにせよ、日本の見事な得点なのは間違いない。
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