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駆の章

しっかりと

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《柴咲武志》
空山隆之介が一生懸命に走り、危機を防いだ。
ボールがキーパーの川島健斗から柴咲の基にボールが転がってくる。
それを前線の大海へ出そうとするが、パスコースは上手く消されていた。
城戸にはイニエスタがマークしており、簡単には前にボールを送れない。
視野の端に空山隆之介が上がっているのが見えた。
パスを出せると思ったが、代表を外れた酒井を思うとどうしても素直に出せない。
後ろの森島へボールを預けた。
森島は受け取るとドリブルで駆けあがる。
無理な仕掛けだ。
柴咲は右前方のスペースへ走り込んだ。
だが、森島はパスを出さずに自分で持ち込む。
「森島、駄目だ。こっちだ」
スペインのディフェンダーに囲まれ、バックパスを選択した。
そこにイニエスタが現れ、パスカットされた。
「行くぞ、上がれ」
イニエスタは日本ゴールを指差し、ドリブルで駆けだした。
やられた。
柴咲は直ぐ様、追いかける。
イニエスタは日本のミッドフィルダーの渡海圭介をかわして、更に駆け上がる。
昌司がイニエスタの正面に立つ。
フォローに来たランディへイニエスタはサイドキックで横にチョコンとパスを出し、そのまま走り過ぎた。
ランディはワンタッチでイニエスタへ折り返した。
柴咲はイニエスタに得点されると思った。
次の瞬間、空山隆之介が現れてスライディングでキーパーへボールを押し出していた。
川島健斗はビックリしたが、前に大きく蹴りだした。
イニエスタが空山隆之介に向かって叫ぶ。
「貴様、何者だ。間に合うはずが無い。このクソがー」
空山隆之介はニヤリと笑い立ち上がる。
「ここにいても良いのか?城戸がフリーだぜ」
イニエスタは空山を睨み付けて自陣へ戻った。
城戸へボールが渡っていた。
「今度はこっちの番や。目立ちたい奴はあがれや。わいが演出してやるさかい」
前を向く城戸。
柴咲は自分は何をしてるんだと自分に投げ掛けていた。
日本を操作するのは城戸ではなく自分のはずだ。
「城戸も空山も俺が操ってやる。それが出来なくて何が司令塔だ」
柴咲も駆け出していた。
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