四人の勇者

福澤賢二郎

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帰還の勇者

39.勇者帰還

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《天野翼》
僕と青江は第四国を目指して騎馬で駆けていた。
ファンが隣を飛ぶ。
(何か大きな力を感じるよ)
「僕も感じている」
強力なプレッシャーが僕を跳ね返そうとする感じだ。
青江は馬でついてくるのが精一杯という具合。
ファンが首を傾げて除き込んできた。
(何故、彼を連れて行こうと思ったの?)
「彼もこの世界に召喚された人だよ。何か役割があるはずなんだ」
(ふ~ん)
「青江、僕の速度についてこれるか?」
「問題ないです」
速度を落とす事なく駆けた。

遠くに戦闘しているのが見えた。
青江が叫んだ。
「すげー、馬鹿デカイトカゲと金色の大猿が見えます。なんだ、あれはー?」
「僕もわからない。ファンは」
(私は知ってるよ。少しヤバイ奴だね)
「急ごう」

《呂布奉先》
赤い馬に赤い鎧を身に付けた武人。
呂布は兵を引き連れて第四国へ駆けていた。
小麦色の肌をした女が隣を馬で駆ける。
呂布は話しかける。
「なんで、四国を助けるんだ。俺様には何の得も無いだろ」
「アリスが困っている。弱者を助けるのが勇者でしょ」
「四国には四国のヘナチョコ勇者がいる」
「そのヘナチョコは何処に姿を消したままなの」
「ふん、まあ良いか。謝礼として領地を貰えるからな」
五千の赤い騎馬隊が荒野を駆けて行く。

《アリス.ライトニング》
目の前にいる黄金の猿が巨大サラマンダが人間をかぶり付いているのを見て笑っている。
『どうして、なかなか』
アリス軍の半分以上が猿の鎖に殺られていた。
サイラスがアリスを守るように剣を構えて前に出る。
「アリス様、退却を」
「出来ない。こんなに部下を殺してしまった」
「ツバサ様に会えなくなりますよ」
「あ、あの人はどうして助けてくれないの」
アリスの目から涙が溢れ声が震える。
金色の大猿がゆっくりと近づいてくる。


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