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KARTE 3:松山大輔
思惑
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《赤城拓哉》
内科医の事務室からパソコンからデータベースにアクセスする。
109号室は十階の九号室を示す。
要するにセレブ客だ。
色々と試みるが、情報は取れない。
「クソ!やっぱり、駄目か」
俺は立ち上がり、外科病棟に向かう。
紀平咲希の様子を見に行きながら山谷と打合せを行うためだ。
色々と忙しくなりつつある。
《山谷涼介》
山谷涼介は紀平咲希のCT画像を見て心臓の弁へのアクセスを考えていた。
先天性の奇形の為に左右心房が逆になりながら崩れている。
浮かばない。
織田裕太が通りかかりに覗き込む。
「山谷、悩んでいるな」
「はい、何が正解なのか。心臓を止めて斬って人工弁を付ける。そんなにシンプルに考えて良いのでしょうか」
「元に戻せればな。奇形であるが故に左右の心室が絶妙なタイミングで鼓動を保っている。弁を変える事で更なる左右のタイミングが狂い、更なる不整脈を引き起こす可能性もある。再鼓動をさせる事も出来ないかもな」
「織田さんならどうしますか?」
「俺ならオンビートのまま、カテーテルをつツッコ込んで弁の形を再整形する。だけど、相手は子供で、奇形も重なり小さく、複雑な心臓だ。俺なら手術をしない事を選択するな。どうみても成功率は一桁だ」
「そんな難しい手術をなんで俺にさせるんですか?」
「来月で辞めるんだろ。そして、山谷総合病院へ戻る。なら、評判を落として戻った方が更なるセレブがこの帝都医大に流れてくる」
「そんな事の為に小さな命がうしなわれるのですか」
「そうだ。だけど、手術に成功すればお前は名声を得る」
「そうだけど」
「まあ、死ぬ気で挑めよ。おい、打合せの時間だろ」
「は、はい」
山谷は力なく立ち上がり、第二会議室に向かった。
《赤城拓哉》
第二会議室に紀平咲希の手術チームが集まっていた。
メンバーは新米の山谷と経験が若い麻酔科医の千葉祐介だ。
機械だしの看護士も若い。ただ、どこかで視た事がある。
どちらにせよ、病院は成功させるつもりがあるのだろうかと思われるメンバーだ。
山谷から術式が説明される。
とても成功するとは思えない。
普通の心臓であれば、人工弁で良いかもしれない。
「あの~、内科医の赤城ですが、本当に人工弁に入れ替えるのですか?」
「わかっています。今回の心臓に通常の人工弁を装着した場合、更なる不整脈を起こすかもしれない」
「じゃあ、何故ですか?」
「私の技術ではこれがベストなのです」
機械だしの若い女性看護士が睨む。
「山谷先生の出来る技術のベストではなく、患者のベストを」
「そんな事はわかっている!だったら、俺を指名する病院に文句を言えよ。どうみても」
「その通りですね。私、戻ります。山谷先生のベストで頑張って下さい」
機械だしの看護士は会議室を出て行った。
麻酔科医の千葉祐介は面白そうに笑っている。
「まあ、アイツは看護士の立場を考えないから弾かれるんだろな」
「千葉、お前はこの手術の事をどう思う?」
「明らかに失敗してくださいってメンバーだよな」
「そうだよな」
「病院としては面倒くさい奴らを失敗した責任を押し付けて一掃しようとしてるかもな。赤城さんは特にヤバイですよね。術後のケアが悪いと言われ全てを押し付けられそう」
「そうなんですか。まあ、今日は解散しましょうか」
こうして打合せは終わった。
何とかして紀平咲希を救わなければならない。
内科医の事務室からパソコンからデータベースにアクセスする。
109号室は十階の九号室を示す。
要するにセレブ客だ。
色々と試みるが、情報は取れない。
「クソ!やっぱり、駄目か」
俺は立ち上がり、外科病棟に向かう。
紀平咲希の様子を見に行きながら山谷と打合せを行うためだ。
色々と忙しくなりつつある。
《山谷涼介》
山谷涼介は紀平咲希のCT画像を見て心臓の弁へのアクセスを考えていた。
先天性の奇形の為に左右心房が逆になりながら崩れている。
浮かばない。
織田裕太が通りかかりに覗き込む。
「山谷、悩んでいるな」
「はい、何が正解なのか。心臓を止めて斬って人工弁を付ける。そんなにシンプルに考えて良いのでしょうか」
「元に戻せればな。奇形であるが故に左右の心室が絶妙なタイミングで鼓動を保っている。弁を変える事で更なる左右のタイミングが狂い、更なる不整脈を引き起こす可能性もある。再鼓動をさせる事も出来ないかもな」
「織田さんならどうしますか?」
「俺ならオンビートのまま、カテーテルをつツッコ込んで弁の形を再整形する。だけど、相手は子供で、奇形も重なり小さく、複雑な心臓だ。俺なら手術をしない事を選択するな。どうみても成功率は一桁だ」
「そんな難しい手術をなんで俺にさせるんですか?」
「来月で辞めるんだろ。そして、山谷総合病院へ戻る。なら、評判を落として戻った方が更なるセレブがこの帝都医大に流れてくる」
「そんな事の為に小さな命がうしなわれるのですか」
「そうだ。だけど、手術に成功すればお前は名声を得る」
「そうだけど」
「まあ、死ぬ気で挑めよ。おい、打合せの時間だろ」
「は、はい」
山谷は力なく立ち上がり、第二会議室に向かった。
《赤城拓哉》
第二会議室に紀平咲希の手術チームが集まっていた。
メンバーは新米の山谷と経験が若い麻酔科医の千葉祐介だ。
機械だしの看護士も若い。ただ、どこかで視た事がある。
どちらにせよ、病院は成功させるつもりがあるのだろうかと思われるメンバーだ。
山谷から術式が説明される。
とても成功するとは思えない。
普通の心臓であれば、人工弁で良いかもしれない。
「あの~、内科医の赤城ですが、本当に人工弁に入れ替えるのですか?」
「わかっています。今回の心臓に通常の人工弁を装着した場合、更なる不整脈を起こすかもしれない」
「じゃあ、何故ですか?」
「私の技術ではこれがベストなのです」
機械だしの若い女性看護士が睨む。
「山谷先生の出来る技術のベストではなく、患者のベストを」
「そんな事はわかっている!だったら、俺を指名する病院に文句を言えよ。どうみても」
「その通りですね。私、戻ります。山谷先生のベストで頑張って下さい」
機械だしの看護士は会議室を出て行った。
麻酔科医の千葉祐介は面白そうに笑っている。
「まあ、アイツは看護士の立場を考えないから弾かれるんだろな」
「千葉、お前はこの手術の事をどう思う?」
「明らかに失敗してくださいってメンバーだよな」
「そうだよな」
「病院としては面倒くさい奴らを失敗した責任を押し付けて一掃しようとしてるかもな。赤城さんは特にヤバイですよね。術後のケアが悪いと言われ全てを押し付けられそう」
「そうなんですか。まあ、今日は解散しましょうか」
こうして打合せは終わった。
何とかして紀平咲希を救わなければならない。
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