真夜中の白魔術師

福澤賢二郎

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KARTE 3:松山大輔

カンファレンス

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《赤城拓哉》
俺はPCから内科のデータベースにアクセスしてか白石真依の情報を探していたが、どこにも見当たらない。
「おい、赤城、何をしてるんだ?」
「柄本さん、ビックリさせないでよ」
「悪い、悪い。ところで、何を調べていたんだ?」
「この病院で知り合いを見かけたので少し調べていました」
「あったのか?」
「いません。あの~、ここから外科のデータベースにアクセス出来ますか?」
「残念だけどできないな。それより行くぞ」
「え、どこへ?」
「カンファレンスだよ」
「わ、わかりました」
俺は柄本と話をしながら会議室に向かった。

始めてのカンファレンスだ。
会議室には外科と内科が五十人程、集まっている。
それぞれが担当している患者の対応方法を報告して、それに対して外科部長と内科部長の指導が入る。
柴咲が報告した患者は心筋が肥大して血流が弱くなってしまっているとの事だ。外科的治療が必要だと思う。
外科部長の内山剛志は鋭い眼光でスリーディ映像とCT画像を睨む。
柄本が小さい声で言う。
「あの患者はZUZUTOWNの社長らしい」
「そうなの。じゃあ、十階だ」
「間違いなぇな」
内山が最前列に座る織田の方を見る。
「私が担当させて頂きます」
「頼むぞ。失敗は許されん」
「お任せ下さい」
「次!」
何件か後に少女の心臓不整脈の報告があった。
鳴沢医院からの照会だ。
弁の成形不良からくる不整脈だ。
この患者は俺が検査した小学三年生の紀平咲希ちゃんだ。
弁の再建が必要だが、左右の心室が奇形の為に難易度の高い手術にさせている。
織田が手術しないと助けられない。
外科部長が若い医師を見る。
「山谷、お前は来月に実家を継ぐ為に辞めるらしいな」
一人の医師が立つ。
「大変申し訳ありません」
「何を謝る。そうだ。記念にこの手術をしていけ」
「えっ、私には」
「遠慮するな」
ヤバイ、コイツでは失敗する。
俺は思わず手を上げていた。
「なんだ?内科が何を意見する?」
「大変失礼ですが、山谷先生ではなく、杉田先生はどうでしょうか?先日、織田先生でと無理だという手術を成功させたと聞きます」
「そうだな。どうだ? 杉田!」
杉田はこちらを睨みつけた。
アイツが受ければ藤堂に依頼するはずだ。
「いや~、僕は山谷君の為に降ります。記念に山谷君がやれば良いよ」
杉田のヤツ、殴ってやる。
「山谷、お前がやれ」
「は、はい」
結局、山谷かよ。
「あと、意見したのは内科の赤城だったかな?お前が手術までの体調を管理しろ。良いですね。福山内科部長」
「問題ありません。赤城、殺すなよ」
えっ、俺が受け持つのかよ。
隣で柄本がクスクスと笑っている。
なんて日だ!
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