真夜中の白魔術師

福澤賢二郎

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KARTE 2:上原さくら

手紙

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《赤城拓哉》
俺は勤務帰りにバイトしていたコンビニに立ち寄った。
そこでは白石真依がバイトをしていた。
相変わらず、綺麗だ。
「白石さん、久しぶり」
「あっ、赤城さん」
「バイトは何時まで」
「七時まで」
「相談があります。ご飯でも食べに行きませんか?」
「でも、買ったオムライスは?」
「はははは、そうだな」
「行きますか?」
「行きます。外で待ってます」
「お店の迷惑になるので横浜駅七時半で」
「そうだね」
外は暗くなり空気が少しずつ冷えてきたが、俺の心は弾んでいた。

横浜駅で白石真依と待ち合わせをした。
彼女はジーンズでカジュアルな格好だが、どこか品がある。
「お待たせしました」
「全然」
「どこに行きますか?」
「居酒屋でも良いですか」
「良いです。一度、行ってみたかったんです」
「良かった。じゃあ、行きましょう」
駅近くの居酒屋‘’北六‘’で飲む事とした。
この店で上原さくらの娘がバイトをしているからだ。
酔ってしまう前に手紙を渡そうと思う。

《白石真依》
赤城拓哉と居酒屋で食事をしている。
初めてのビール、焼き鳥。
楽しい理由はそれだけなのか。
隣の赤城拓哉を見る。
美味しそうに唐揚げを食べている。
「食べる?唐揚げ美味しいよ」
「あ、ありがとうございます」
何故か胸が高鳴っている。
白石真依は自分の余命を知っており、恋愛なんてしている場合じゃないと思っている。
お酒を飲んだせいだと思う事にした。
「相談ってなんですか?」
「う~ん、ごめん。白石さんを食事に誘う口実」
「な~んだ。心配しちゃった。これからは普通に誘って下さい」
「了解」
赤城拓哉の笑顔を見ると胸が締め付けられる。
これで終わりにしたくない。
「今度は私の方から誘っても良いですか?」
「もちろん」
「ディズニーランドに行きたい」
「行った事ないけど」
「私も無いんです」
「じゃぁ、二人とも初体験だ」
「そうですね」
楽しみが一つ増えた。

死ぬ前にやりたい事は全てやろう。
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