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シルクロード編

12 妖怪大決戦

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名前: バンパイア男
大妖怪(元伴天連怪人) 
レベル:640(元は320 宝貝で強化)
称号 元怪人五天王
特徴: 美女と美少女が大好き。
特記事項 魅了の視線を受けた相手や血を吸った相手をコントロールできる。


名前: 召喚術師男
大妖怪代理(元伴天連怪人) 
レベル:400(元は175 宝貝で強化)
スキル:召喚術   
称号 元怪人四天王


名前: マシュマロマン男
大妖怪代理補佐(元伴天連怪人) 
レベル:390(元130 宝貝で大幅強化)
スキル:死霊を操る   
称号 元怪人四天王代理補佐(弱いので、上げ底してごまかしている)


 今回も突っこみどころ満載です!!
 大妖怪に『代理』とか、『代理補佐』とかあるんですか??!!


 召喚術師男の背後には…大きな土鍋をわきに抱えた『猫のゆるきゃら』のような存在が多数控えているのですが?!!


名前: なべにゃん
召喚獣 
レベル:55.5
スキル:巨大な土鍋を自在に操る   

 「はっはっはっはー!なべにゃんはしゃちにゃんより大きくレベルアップしている!!貴様たちなぞ数の暴力で粉砕してくれる!!」
 召喚術師男の叫びに答えるようになべにゃんたちは一斉に大きな土鍋を自分たちの目の前に置いた。 
 そして、一斉に土鍋の中にはいって丸まった!!
 そしてそのまま動かなくなってしまったんですが…。

 「わーーー!!お前たち動かんか!!!」
 召喚術師男がいくら叫んでもなべにゃんたちは鍋の中に丸まったまま気持ちよさそうにくつろいだままです…。

 「ふ、おろかな!猫というものはウルトラマイペース生き物でな!『猫の手も借り
たい』ということわざは根本的に間違えているのだよ!!
 猫の手なんぞを借りたら永久に仕事は終わらない!!」
 カイザスさんが高笑いしている。
 ……なんだか知らないけど、助かりました…。
 召喚術師男は慌てて別の魔獣を召喚しようとしているようです。


 「「観自在菩薩  行深般若波羅蜜多時…」」   
 三蔵法師さんと桜姫が般若心経を唱え始めると、マシュマロマン男と召喚されていたゴーストたちは苦しみ始めた。
 「貴様ら!!そんなお経を唱えるなんて卑怯だぞ!!」
 いやいや!!お坊さんが悪霊に対してお経を唱えるのはごく普通の行動だよね?!!

 ……ところで、般若心経は最初に『観自在菩薩』から始まるように『観音菩薩様』と関係が深いお経なんだよね。
 この世界の桃花観音様やイザベル観音様の体たらくでお経が効果があるということが実に不思議な気がするのは気のせいでしょうか…。


 沙悟浄さんはパワーで大きく勝るフランケンシュタインの怪物男とまともにやり合わずにうまく攻撃を引きつける役割を果たしてくれている。
 元天界の将軍だけあって、戦況を見て冷静に動いてくれているのは嬉しい誤算だ。


 「そらそらそらそら!!如意棒百連撃!!!」
 ナースチャが怒号のごとく如意棒を撃ち込み、ヴァンパイア男を圧倒している。

 「ふ、学習しない人ですね。不死身のヴァンパイアに通常攻撃は無効と言ったでしょう。」
 いやいや、前回の戦いでも『ナースチャがぼこぼこにしていた』よね??!!
 この人、『思い出を美化』する特性があるんですか??!!

 「確かに今回は怪我はないよね。でも、俺が攻撃していたのは『本体じゃない』んだよね♪」
 ナースチャが笑うと、ヴァンパイア男の持っていたサーベルと手盾などの装備がボロボロに崩れ落ちた。

 「さあ、予定通り装備は壊したから、これから本番だ!」
 ナースチャは僕が具現化していた剣を鞘から抜いた。
 十字架を模したその剣はそのままでも白銀色の光を放っていたが、ナースチャが気合を込めると長さが2メートルくらいに伸び、さらに放つ光はまばゆいばかりになった。
 「今度の剣はヴァンパイアにバリバリに効果があるから♪
 さあ、歯を食いしばろうか!!」
 ナースチャの言葉にヴァンパイア男の顔が蒼白になった。

 「待って、ちょっと待って!! ひゃーー!!お助けーー!!」
 ナースチャが剣を一振りするたびにヴァンパイア男が逃げ惑っている…。
 これは…そろそろ勝負がつきそうだね…。


 「さて、ゴーストたちには私が引導を渡してやろう!!
 大魔法『トゥース・シャイニング』!!!」
 カイザスさんが呪文を唱えると、歯がきらっと光り、その光がまばゆいばかりの閃光を発してあたりを包み込んだ。

 光が消えた後にはゴーストたちとマシュマロマン男はおろか、ヴァンパイア男すら、姿を消していた。
 大妖怪たちを消されたことで、召喚術師男とフランケンシュタインの怪物男はあっさり降参し、なべにゃん達は土鍋の中で気持ちよさそうに丸まったままだ…。

 ……えーーと……なにやらカイザスさんの活躍で敵を一掃したようです……。

 「ふう。こちらに来て、初めてまともに活躍した気がするな♪
 この調子で、みんな頑張ろう!!」
 ……カイザスさんがにこやかに笑っています……。

 カイザスさん以外はあまりのことにほぼ固まったままで、まもなくナースチャが最初に動きだした。

 「……カイザス……よくやってくれたね…。ありがとう……。俺は召喚術師男に尋問するから、周りに敵が残っていないかどうか確認してほしい……。」
 ものすごく疲れた顔で、ナースチャがカイザスさんに声を掛ける。

 「…あの、ナースチャ?」
 「…ああ、巧人。本来はカイザスはこれくらい活躍するのが普通だから、そのこと自体は別に驚いてはいないんだ。だけど……あの魔法は……反則だよね…。」

 カイザスさんが活躍したこと自体に驚いている僕たちと違い、本来のカイザスさんの活躍、強さを知っているナースチャは他のみんなより立ち直りが早かったようだ。

 「まあ、カイザスが活躍してくれること自体はすごくありがたいことなんだが、まさか、今度は『水芸魔法』や『背景効果魔法』で活躍したりはしないよな……。
 ……まあ、それでも活躍しないよりはいいか……。」
 ……今のナースチャのセリフは聞かなかったことにしたいです…。


 召喚術師男とフランケンシュタインの怪物男への尋問は残念ながら彼らが大したことを知らなかったので不調に終わった。
 ヴァンパイア男から『宝貝』を渡された後、気が付くとここにいたのだと言う。
 どうしたものかと思っていると、突然洋館が大きく揺らぎだした。

 「おそらく、ボスが消えたことで洋館を支える力が失われたんだ!みんな脱出しよう!」
カイザスさんの言葉に僕たちは慌てて、外へ出た。

 危うく脱出して振り返ると、洋館が音を立てて崩れ去った。
あちこちに『張りぼて』の跡があり、やっつけ仕事で作られたものは一目瞭然だった。

 「多分、適当に張りぼてを作った後、『魔法で強化してごまかし』ていたんだろうね。」
 ナースチャが苦笑する。
 
 そして、召喚術師男たちは…洋館が崩れてすぐに『天上からの光』が降ってきて、姿を消していった。

 「また、証拠隠滅か…。今回の件の黒幕は誰なんだろうね。」
 つぶやくナースチャとともに目前の『残された大量の土鍋』を僕たちはじっと見やっていた。
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