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シルクロード編
11 怪奇ホラーハウス
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旅は我々四人と元祖三蔵法師さん、沙悟浄さんを加えた六人が馬に乗って再開した。
その間、三蔵法師さんからいろいろな話を聞くことができた。
物語の西遊記では三蔵法師はものすごいヘタレだけれど、史実の三蔵法師は悟空みたいな超常的なお供なしで天竺までたどり着き、しかも天竺で様々な仏典を学んだあと、大量の経典を持ち帰り、その翻訳作業までしたという僧侶・学者・旅人としても只者ではない人だ。
そして、こちらの三蔵法師さんも女性ながら仏典や法術に精通されていて、僕たちに対してもすごく配慮して話をされている。
ナースチャがこっそり僕に『元祖一行は三蔵法師はまともだけど、沙悟浄さんはちょっと変。猪八戒と孫悟空はヘタレ過ぎて困ったものだ』と言っていた。
原作と比べればであるが、三蔵法師さんは非常にまともで、沙悟浄さんもいい人だし、猪八戒と孫悟空は『原作並みにダメ』な気がする。
ただ、三蔵法師さん視点だと、三人とも根っこの部分がお人よしで、孫悟空も『困った子供たちにすごく親切だった』そうで、置いてきた二人のことを今でもすごく気にされているのがわかる。
とはいえ、肝心の孫悟空がヘタレたままでは一緒に行くわけにもいかないので、悟空と猪八戒の説得は『頼りにならない桃花観音様』に任せた状態である。
馬の性能が上がり、相変わらず馬に乗るのが一番へたくそな僕の技量もそれなりに上がり、夕方になる前に少し大きめの町にたどり着いた。
宿屋を探していると、この街もなんだかみんなの顔がどんよりしている。今までの体験から言えば何やら事件の香りがする。
通りすがりの人に話を聞いてみようかと思い出した時、この街の役人らしい男性が僕たちに声を掛けてきた。
「もしかして…三蔵法師御一行様ではないでしょうか?」
「そうですが、なにか?」
「よろしかったら、領主さまのところへお越しいただけないでしょうか?ぜひ三蔵法師様にご相談させていただきたいことがあるのです。」
「私が玄奘三蔵です。こちらは伴について来てくれている弟子たちです。
どのようなご用件なのでしょうか?」
颯爽とした雰囲気で、三蔵法師さんは堂々とあいさつをしている。
普段は女性だとわかるとまずいので、凛々しい『三蔵法師・宝塚風』だ。
「これは失礼。私はこの街の領主の高太公と申します。
名高い三蔵法師様にお越しいただいて光栄でございます。
皆様が『金閣・銀閣』を始め、さまざまな妖怪を滅ぼしたというお話はすでにこちらにも届いております。」
すごいなあ、情報が伝わるのは本当に早いんだね。ちなみに金閣・銀閣は正確には『牛魔王(ミノタウロス男)が倒した?んですが…。
「それにしても、噂はあてにならないものですね。
強力な法力と『無敵の肉体』で妖怪たちを圧倒したという話はさすがに違うようです。」
うん、マッスル三蔵さんの話がかなり混じっているね。
「いろいろな噂が混じっているようですが、いくつかの妖怪を退治したり、今もその任務を受けているのは本当です。」
冷や汗をかかれながらも三蔵さんが無難に対応されている。
「実はここから西域に向かう交易路の近くに一夜にして異国風の不気味な大きな建物が立ち、人々が怖がって、交易路を通れなくなったのです。
しかも、調査にこの街の僧侶たちを派遣したところ、『凶悪な気配』がして、自分達には対処できないと言われてしまったのです。
今のところ大きな被害は出ていないのですが、三蔵法師様たちに対処していただけるようお願いしたいのです。」
中年の実直そうな領主が頭を下げる。
僕たちはその依頼を受けて早速現場に向かったのだが…。
『異国風の不気味な大きな建物』を目の前にして、三蔵法師、桜姫、沙悟浄さんはその強大な妖気に緊張の色をかくせず、僕とナースチャ、カイザスさんは……一九世紀の『ゴシック風』の大きな洋館を前に言葉を失っていた。
「これ、いろんな意味でひどくない?」
ナースチャがものすごく嫌そうな顔をしている。
建物の近辺以外はきれいに晴れわたっているのに、ゴシック風の建物の近辺だけはなぜか黒雲に覆われ、時々、稲光が走っている。
さらに、洋館の周りを蝙蝠が飛び交っているのが見える。
中の住民に関しても『簡単に想像』できそうだよね?!
どんどん西遊記から遠ざかっていっているのですが!!!
三蔵さんたちに僕たちからの視点の今の状態と、『中の敵の予想』を告げて、僕たちは慎重に門をくぐり、玄関に向かっていった。
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
「どうなさいましたか?」
玄関の呼び鈴を押すと、中から『タキシード姿の大男』が姿を現した。
マッスル三蔵さんより一回りくらい大きく、顔色は真っ青。
長い顔のあちこちに縫ったような傷跡がある。
以前戦闘シーンを省略した伴天連の平怪人『フランケンシュタインの怪物男』にそっくりなんですが…。
一目見て、ナースチャが反応を示すが、とりあえず中に入ろうとみんな互いに目配せをする。
「すみません、旅の途中で道に迷ったのですが、今晩泊めていただくことはできないでしょうか?」
カイザスさんがさも申し訳なさそうに言う。
いやいや!ここは町から一時間くらいの場所で、まわりには『砂漠の一本道』しかないんですよ?そんなバレバレの嘘ついてどうするんですか!!
「なるほど、それはお困りのようですね。わかりました。主に聞いてみますので、少々お待ちいただけますか?」
あれ?すんなり話が通ったぞ…。
「なるほどね…。どちらにしても『三蔵法師御一行様専用の罠』なわけだから、嘘くさい適当な返答でも構わないわけだね。
わかっているにしてもカイザスらしい返答だよね。」
ナースチャが玄関の奥を睨むように見据えている。
「はっはっは、もちろんじゃないか…。」
あのう、カイザスさん…。顔色が青くなっているんですが…。もしかしなくてもわかっていなかったですよね…。
ちなみにフランケンシュタインの怪物男はこんな感じです。
名前: フランケンシュタインの怪物(男)
妖怪(元伴天連怪人)
レベル:150(元100)
スキル: 格闘 肉体強化(宝貝使用)
称号 西洋妖怪(元伴天連平怪人)
特徴: レベル300の魔獣並みの格闘戦能力を持つ。
「ようこそいらっしゃいました。長旅をお疲れでしょう。」
フランケンシュタインに連れられて入っていった先には『予想通りの主人』が待ち構えていた。ナースチャが苦い顔をしないように必死で顔を作っているのがわかる。
「私がこの館の主人のヴラド・ドラキュラです。」
上品な黒いスーツを着た男が涼しい顔でソファに腰かけていた。
……どこからどう見ても伴天連怪人のヴァンパイア男なんですが…。
それにしても『実在の吸血鬼ドラキュラのモデルとなった人物』の名前をわざわざ名乗るとはいろんな意味ですごいと思います。
「ところで、ずいぶん『美しい人』が多いですね。いろいろと『お話』できればとても嬉しいです♪」
ヴァンパイア男がにっこりと笑うと目がぎらっと光った。
「なるほど、その『魔眼』とやらで女性の方たちを魅了するというわけですね。」
三蔵法師さんがヴァンパイア男を睨みつけながら言う。
おおよそ予想が付いていたので、三蔵法師様が精神的な耐性のできる法術をナースチャ以外の女性陣に掛けていたのだ。
「こいつは驚いた。さすがは三蔵法師様。まさか私の武器を見破られたうえ、魔眼の効果すらないとは恐れ入りました。
だが、この館自体が罠だとは気付いておられなかったのが致命的ですよ。」
ヴァンパイア男はそれでも余裕の笑みを浮かべている。
いやいや、こんな明らかな罠に気付かないわけないからね!!
「出でよ!我が同胞たち!!」
ヴァンパイア男の合図とともにいくつもの影が姿を現した。
フランケンシュタインの怪物男、召喚術師男、そして、マシュマロマン男とゴーストたちまでいる!
さらに召喚術師男の後ろにはいろいろと召喚獣らしき存在がいるようだ。
「ヴァンパイア男は俺が仕留める!!後のザコは任せたよ!」
ナースチャが如意棒に闘気を通すと、飛び出していった。
その間、三蔵法師さんからいろいろな話を聞くことができた。
物語の西遊記では三蔵法師はものすごいヘタレだけれど、史実の三蔵法師は悟空みたいな超常的なお供なしで天竺までたどり着き、しかも天竺で様々な仏典を学んだあと、大量の経典を持ち帰り、その翻訳作業までしたという僧侶・学者・旅人としても只者ではない人だ。
そして、こちらの三蔵法師さんも女性ながら仏典や法術に精通されていて、僕たちに対してもすごく配慮して話をされている。
ナースチャがこっそり僕に『元祖一行は三蔵法師はまともだけど、沙悟浄さんはちょっと変。猪八戒と孫悟空はヘタレ過ぎて困ったものだ』と言っていた。
原作と比べればであるが、三蔵法師さんは非常にまともで、沙悟浄さんもいい人だし、猪八戒と孫悟空は『原作並みにダメ』な気がする。
ただ、三蔵法師さん視点だと、三人とも根っこの部分がお人よしで、孫悟空も『困った子供たちにすごく親切だった』そうで、置いてきた二人のことを今でもすごく気にされているのがわかる。
とはいえ、肝心の孫悟空がヘタレたままでは一緒に行くわけにもいかないので、悟空と猪八戒の説得は『頼りにならない桃花観音様』に任せた状態である。
馬の性能が上がり、相変わらず馬に乗るのが一番へたくそな僕の技量もそれなりに上がり、夕方になる前に少し大きめの町にたどり着いた。
宿屋を探していると、この街もなんだかみんなの顔がどんよりしている。今までの体験から言えば何やら事件の香りがする。
通りすがりの人に話を聞いてみようかと思い出した時、この街の役人らしい男性が僕たちに声を掛けてきた。
「もしかして…三蔵法師御一行様ではないでしょうか?」
「そうですが、なにか?」
「よろしかったら、領主さまのところへお越しいただけないでしょうか?ぜひ三蔵法師様にご相談させていただきたいことがあるのです。」
「私が玄奘三蔵です。こちらは伴について来てくれている弟子たちです。
どのようなご用件なのでしょうか?」
颯爽とした雰囲気で、三蔵法師さんは堂々とあいさつをしている。
普段は女性だとわかるとまずいので、凛々しい『三蔵法師・宝塚風』だ。
「これは失礼。私はこの街の領主の高太公と申します。
名高い三蔵法師様にお越しいただいて光栄でございます。
皆様が『金閣・銀閣』を始め、さまざまな妖怪を滅ぼしたというお話はすでにこちらにも届いております。」
すごいなあ、情報が伝わるのは本当に早いんだね。ちなみに金閣・銀閣は正確には『牛魔王(ミノタウロス男)が倒した?んですが…。
「それにしても、噂はあてにならないものですね。
強力な法力と『無敵の肉体』で妖怪たちを圧倒したという話はさすがに違うようです。」
うん、マッスル三蔵さんの話がかなり混じっているね。
「いろいろな噂が混じっているようですが、いくつかの妖怪を退治したり、今もその任務を受けているのは本当です。」
冷や汗をかかれながらも三蔵さんが無難に対応されている。
「実はここから西域に向かう交易路の近くに一夜にして異国風の不気味な大きな建物が立ち、人々が怖がって、交易路を通れなくなったのです。
しかも、調査にこの街の僧侶たちを派遣したところ、『凶悪な気配』がして、自分達には対処できないと言われてしまったのです。
今のところ大きな被害は出ていないのですが、三蔵法師様たちに対処していただけるようお願いしたいのです。」
中年の実直そうな領主が頭を下げる。
僕たちはその依頼を受けて早速現場に向かったのだが…。
『異国風の不気味な大きな建物』を目の前にして、三蔵法師、桜姫、沙悟浄さんはその強大な妖気に緊張の色をかくせず、僕とナースチャ、カイザスさんは……一九世紀の『ゴシック風』の大きな洋館を前に言葉を失っていた。
「これ、いろんな意味でひどくない?」
ナースチャがものすごく嫌そうな顔をしている。
建物の近辺以外はきれいに晴れわたっているのに、ゴシック風の建物の近辺だけはなぜか黒雲に覆われ、時々、稲光が走っている。
さらに、洋館の周りを蝙蝠が飛び交っているのが見える。
中の住民に関しても『簡単に想像』できそうだよね?!
どんどん西遊記から遠ざかっていっているのですが!!!
三蔵さんたちに僕たちからの視点の今の状態と、『中の敵の予想』を告げて、僕たちは慎重に門をくぐり、玄関に向かっていった。
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
「どうなさいましたか?」
玄関の呼び鈴を押すと、中から『タキシード姿の大男』が姿を現した。
マッスル三蔵さんより一回りくらい大きく、顔色は真っ青。
長い顔のあちこちに縫ったような傷跡がある。
以前戦闘シーンを省略した伴天連の平怪人『フランケンシュタインの怪物男』にそっくりなんですが…。
一目見て、ナースチャが反応を示すが、とりあえず中に入ろうとみんな互いに目配せをする。
「すみません、旅の途中で道に迷ったのですが、今晩泊めていただくことはできないでしょうか?」
カイザスさんがさも申し訳なさそうに言う。
いやいや!ここは町から一時間くらいの場所で、まわりには『砂漠の一本道』しかないんですよ?そんなバレバレの嘘ついてどうするんですか!!
「なるほど、それはお困りのようですね。わかりました。主に聞いてみますので、少々お待ちいただけますか?」
あれ?すんなり話が通ったぞ…。
「なるほどね…。どちらにしても『三蔵法師御一行様専用の罠』なわけだから、嘘くさい適当な返答でも構わないわけだね。
わかっているにしてもカイザスらしい返答だよね。」
ナースチャが玄関の奥を睨むように見据えている。
「はっはっは、もちろんじゃないか…。」
あのう、カイザスさん…。顔色が青くなっているんですが…。もしかしなくてもわかっていなかったですよね…。
ちなみにフランケンシュタインの怪物男はこんな感じです。
名前: フランケンシュタインの怪物(男)
妖怪(元伴天連怪人)
レベル:150(元100)
スキル: 格闘 肉体強化(宝貝使用)
称号 西洋妖怪(元伴天連平怪人)
特徴: レベル300の魔獣並みの格闘戦能力を持つ。
「ようこそいらっしゃいました。長旅をお疲れでしょう。」
フランケンシュタインに連れられて入っていった先には『予想通りの主人』が待ち構えていた。ナースチャが苦い顔をしないように必死で顔を作っているのがわかる。
「私がこの館の主人のヴラド・ドラキュラです。」
上品な黒いスーツを着た男が涼しい顔でソファに腰かけていた。
……どこからどう見ても伴天連怪人のヴァンパイア男なんですが…。
それにしても『実在の吸血鬼ドラキュラのモデルとなった人物』の名前をわざわざ名乗るとはいろんな意味ですごいと思います。
「ところで、ずいぶん『美しい人』が多いですね。いろいろと『お話』できればとても嬉しいです♪」
ヴァンパイア男がにっこりと笑うと目がぎらっと光った。
「なるほど、その『魔眼』とやらで女性の方たちを魅了するというわけですね。」
三蔵法師さんがヴァンパイア男を睨みつけながら言う。
おおよそ予想が付いていたので、三蔵法師様が精神的な耐性のできる法術をナースチャ以外の女性陣に掛けていたのだ。
「こいつは驚いた。さすがは三蔵法師様。まさか私の武器を見破られたうえ、魔眼の効果すらないとは恐れ入りました。
だが、この館自体が罠だとは気付いておられなかったのが致命的ですよ。」
ヴァンパイア男はそれでも余裕の笑みを浮かべている。
いやいや、こんな明らかな罠に気付かないわけないからね!!
「出でよ!我が同胞たち!!」
ヴァンパイア男の合図とともにいくつもの影が姿を現した。
フランケンシュタインの怪物男、召喚術師男、そして、マシュマロマン男とゴーストたちまでいる!
さらに召喚術師男の後ろにはいろいろと召喚獣らしき存在がいるようだ。
「ヴァンパイア男は俺が仕留める!!後のザコは任せたよ!」
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