19 / 47
大江戸編
18 大いなる闇
しおりを挟む
名前: 狼男男
伴天連怪人
レベル:500
スキル: 格闘術 伸縮する強化爪 満月でパワーアップ 超絶的再生能力
特徴: 満月の出ている間、当社比約1.5倍の能力を持つ 銀の武器、魔法の武器は『それなり』に効果がある。
「出てこい!アナスタシア!!後のザコはどうでもいい!!」
「……よく、うちの事情をご存じで…。ただ、どうしてアナスタシアさん以外ダメということまでわかっているのだろう?」
僕が疑問を口に出すと、シーボルト博士が歩き出した。
「おー、それはでーす!」
シーボルト博士がなんと、城壁を乗り越えて、外に行ってしまう!!
危ない!シーボルト博士!!
「なぜなーら、私が対魔獣隊情報を伴天連に流したからでーす!
あなたたち、どうやら罠にかかったようですねー♪」
シーボルト博士が狼男男の傍によって、高笑いしている。
「「「……。」」」
「まず、シーボルトのおっさんから先に『粉砕』してこようか…。」
アナスタシアさんの目が危険な光を帯びているのですが…。
「シーボルト!何をしに来た!この裏切り者!!
『銀の武器が有効』という危険な情報を対魔獣隊に流しておいて、どの面下げてこちらに来ようとしているのだ!!」
狼男男が長い爪を威嚇するように向けて、シーボルト博士を睨みつける。
すると、シーボルト博士は…城壁をするすると魔法で登ってきて僕たちのところに帰ってきた。
「みなさーん、狼男男など、弱点がわかっていれーば大したことありませーん!
ちゃきちゃきやっつけてしーまいましょう!」
「「「「………。」」」」
「…とりあえず、このおっさんのことは後で考えるとして、狼男男を粉砕してくるわ。」
アナスタシアさんは言うなり、城壁から狼男男の眼前に舞い降りた。
「さあ!お望み通り来てやったぞ!そして、お望み通り、『なます切り』だ!」
アナスタシアさんが叫ぶと、刀が爆発的に白く輝き、刀身が大きく伸びた。
そして、2メートルにも伸びた刀を自在に振り回して、アナスタシアさんは狼男男に斬りつける。
ガギーン!ガギーン!!
何度も打ち合うような音がして、アナスタシアさんと狼男男が対峙し続ける。
後で聞いたところによると、狼男男の両手の爪の攻撃をかいくぐり、アナスタシアさんが狼男男に剣を振り下ろすが、なんとか爪で受け止めていたそうだ。
「やるじゃないか!!こっちの世界に来てここまでの強敵は初めてだ!
でも、これならどうだ!疾風斬!」
アナスタシアさんの姿が掻き消えると、いつの間にか狼男男の後ろに背を向けて立っていた。そして、狼男男の右腕がボタリを地面に落ちた。
「なんとか、致命傷を躱すとさすがだな!だが、今度こそ行くぞ!」
アナスタシアさんが再び剣を構えて狼男男を睨みつける。
「なんの!狼男男満月スーパーリカバリー!!」
狼男男が叫ぶとなぜか満月が大きく光を増し、落ちていた右手が流れ出ていた血液をたどって、あっという間にくっついてしまった。
そして、狼男男は再び両手の爪をかざして身構える。
「確かに貴様の武器はそれなりに効くようだが、おれは満月の中では不死身だ!
ま・さ・に・無・敵!!」
「へーー…。なかなかやるじゃないか。それでもこちとら、お前さん以上の強敵と何度もやり合ってんだ!少々不死身に近いくらいで自慢されたら困るな!」
しかし、アナスタシアさんは不敵に笑っている。
今までにない、緊迫した展開だ!
アナスタシアさんを狼男男との競り合いを見たカイザスさんが、わんまげたちを素手で吹っ飛ばしていた手を休めて叫んだ。
「アナスタシア!そいつをやっつけたら、『巧人がプロポーズ』してくれるそうだ!
絶対にそいつを倒すんだ!!」
……戦場の空気がしばし、凍った。
「それ、本当?!!よっしゃーー!!」
僕が抗議の声を上げる間もなく、アナスタシアさんがものすごくやる気を出している!!
これ、後で否定したらえらいことになるよね?!
「剣具現化『ブースト』!!」
アナスタシアさんが叫ぶと、右手にしていた刀をいつの間にか左手にも握りしめていた。
さらに刀身の輝きが増し、長さも3メートル近くになっている。
「なんの、こちらも!ウルフマンマン・フルムーンチェンジ!!」
狼男男が叫ぶと、その全身の毛が銀色に輝き、筋肉がさらに膨れ上がった。
そして、両手の爪がさらに凶悪に伸び、同じく3メートル近い長さになった。
「お互いに制限時間付きのパワーアップかい!これで決着をつけよう!!」
アナスタシアさんが叫ぶと同時に両者が動いた。
僕たちの目にも見えない動きで、両者が交差し、離れたところで互いに背を向けて立っていた。
アナスタシアさんの左頬に一筋の線が付き、うっすらと血が流れ出している。
アナスタシアさんが怪我するなんて初めてだ!!
僕は声にならない叫びを心の中で叫んだ。
そして、狼男男は……胸に十字の傷が大きく口を開いており、まもなく、傷口から大量の血が噴き出した。
「双竜剣!十字斬り!!十字架の威力を秘めた剣だ。」
アナスタシアさんは静かに告げると両手に持った刀はその姿を消した。
狼男男は倒れ伏して言った。
「待て!吸血鬼はともかく、狼男は別に『十字架は弱点ではない』のだが…。」
「実際に『効いた』んだからいいじゃん!『プラシーボ効果』という言葉と、『やったもん勝ち』ということわざはこういう時に使うものだと『友達』が教えてくれたし♪」
……その『友達』てどんな人なんですか?!
「…なんだかよくわからんが、俺の負けか…だが!我が伴天連軍は永遠に不滅です!!」
狼男男は一瞬だけ立ち上がって叫ぶと、もう一度倒れて、そのまま灰になってしまった。
狼男男が灰になると、それまでしつこく城壁に襲い掛かってきていたわんまげたちが動きを止めた。
そして、『きゃいんきゃいん』と叫びながら一斉に退却を始める。
そして、アナスタシアさんは……。
「やった!巧人、やったよ!!!」
僕の方を『明らかに期待するような目』で見て叫んでいる。
…待ってください!!嫌じゃないですが、『心の準備が全然できていない』のですが?!
スキップしながらこちらに駆けて来ようとしていたアナスタシアさんが不意に動きを止める。
そして、撤退していたわんまげたちも一斉に静止した。
アナスタシアさんの表情が険しくなり、僕ですら『それ』がゆっくり近づいてきているのを感じた。
その『人影』は確かに形は人間だった。
だが、明らかに人間でないと僕にも感じ取れた。
だからだろう。アナスタシアさんが今まで見たこともない怖い顔でそいつを睨みつけている。
仲間であるはずのわんまげ達すらそいつを『底知れぬ恐怖の視線』で震え上がりながら見ている。
「おやおや、美しい御嬢さん。ずいぶん怖い顔で私を睨んでおられますね。」
和洋折衷のような着物を着たその『美青年』は肩をすくめて見せた。
とてもこの世のものとは思えないほど整った容貌のその青年は酷くまがまがしいオーラを放っていた。
狼男男なんかはこの男と比べたら問題じゃあない!
「とんでもない『化け物』が出てきたな。お前さん、何者だ!!」
アナスタシアさんがそいつを睨んで叫ぶ。
「私の名は天草四郎時貞。秘密結社伴天連の総帥です。」
この世のものではない美青年は薄く笑って言った。
伴天連怪人
レベル:500
スキル: 格闘術 伸縮する強化爪 満月でパワーアップ 超絶的再生能力
特徴: 満月の出ている間、当社比約1.5倍の能力を持つ 銀の武器、魔法の武器は『それなり』に効果がある。
「出てこい!アナスタシア!!後のザコはどうでもいい!!」
「……よく、うちの事情をご存じで…。ただ、どうしてアナスタシアさん以外ダメということまでわかっているのだろう?」
僕が疑問を口に出すと、シーボルト博士が歩き出した。
「おー、それはでーす!」
シーボルト博士がなんと、城壁を乗り越えて、外に行ってしまう!!
危ない!シーボルト博士!!
「なぜなーら、私が対魔獣隊情報を伴天連に流したからでーす!
あなたたち、どうやら罠にかかったようですねー♪」
シーボルト博士が狼男男の傍によって、高笑いしている。
「「「……。」」」
「まず、シーボルトのおっさんから先に『粉砕』してこようか…。」
アナスタシアさんの目が危険な光を帯びているのですが…。
「シーボルト!何をしに来た!この裏切り者!!
『銀の武器が有効』という危険な情報を対魔獣隊に流しておいて、どの面下げてこちらに来ようとしているのだ!!」
狼男男が長い爪を威嚇するように向けて、シーボルト博士を睨みつける。
すると、シーボルト博士は…城壁をするすると魔法で登ってきて僕たちのところに帰ってきた。
「みなさーん、狼男男など、弱点がわかっていれーば大したことありませーん!
ちゃきちゃきやっつけてしーまいましょう!」
「「「「………。」」」」
「…とりあえず、このおっさんのことは後で考えるとして、狼男男を粉砕してくるわ。」
アナスタシアさんは言うなり、城壁から狼男男の眼前に舞い降りた。
「さあ!お望み通り来てやったぞ!そして、お望み通り、『なます切り』だ!」
アナスタシアさんが叫ぶと、刀が爆発的に白く輝き、刀身が大きく伸びた。
そして、2メートルにも伸びた刀を自在に振り回して、アナスタシアさんは狼男男に斬りつける。
ガギーン!ガギーン!!
何度も打ち合うような音がして、アナスタシアさんと狼男男が対峙し続ける。
後で聞いたところによると、狼男男の両手の爪の攻撃をかいくぐり、アナスタシアさんが狼男男に剣を振り下ろすが、なんとか爪で受け止めていたそうだ。
「やるじゃないか!!こっちの世界に来てここまでの強敵は初めてだ!
でも、これならどうだ!疾風斬!」
アナスタシアさんの姿が掻き消えると、いつの間にか狼男男の後ろに背を向けて立っていた。そして、狼男男の右腕がボタリを地面に落ちた。
「なんとか、致命傷を躱すとさすがだな!だが、今度こそ行くぞ!」
アナスタシアさんが再び剣を構えて狼男男を睨みつける。
「なんの!狼男男満月スーパーリカバリー!!」
狼男男が叫ぶとなぜか満月が大きく光を増し、落ちていた右手が流れ出ていた血液をたどって、あっという間にくっついてしまった。
そして、狼男男は再び両手の爪をかざして身構える。
「確かに貴様の武器はそれなりに効くようだが、おれは満月の中では不死身だ!
ま・さ・に・無・敵!!」
「へーー…。なかなかやるじゃないか。それでもこちとら、お前さん以上の強敵と何度もやり合ってんだ!少々不死身に近いくらいで自慢されたら困るな!」
しかし、アナスタシアさんは不敵に笑っている。
今までにない、緊迫した展開だ!
アナスタシアさんを狼男男との競り合いを見たカイザスさんが、わんまげたちを素手で吹っ飛ばしていた手を休めて叫んだ。
「アナスタシア!そいつをやっつけたら、『巧人がプロポーズ』してくれるそうだ!
絶対にそいつを倒すんだ!!」
……戦場の空気がしばし、凍った。
「それ、本当?!!よっしゃーー!!」
僕が抗議の声を上げる間もなく、アナスタシアさんがものすごくやる気を出している!!
これ、後で否定したらえらいことになるよね?!
「剣具現化『ブースト』!!」
アナスタシアさんが叫ぶと、右手にしていた刀をいつの間にか左手にも握りしめていた。
さらに刀身の輝きが増し、長さも3メートル近くになっている。
「なんの、こちらも!ウルフマンマン・フルムーンチェンジ!!」
狼男男が叫ぶと、その全身の毛が銀色に輝き、筋肉がさらに膨れ上がった。
そして、両手の爪がさらに凶悪に伸び、同じく3メートル近い長さになった。
「お互いに制限時間付きのパワーアップかい!これで決着をつけよう!!」
アナスタシアさんが叫ぶと同時に両者が動いた。
僕たちの目にも見えない動きで、両者が交差し、離れたところで互いに背を向けて立っていた。
アナスタシアさんの左頬に一筋の線が付き、うっすらと血が流れ出している。
アナスタシアさんが怪我するなんて初めてだ!!
僕は声にならない叫びを心の中で叫んだ。
そして、狼男男は……胸に十字の傷が大きく口を開いており、まもなく、傷口から大量の血が噴き出した。
「双竜剣!十字斬り!!十字架の威力を秘めた剣だ。」
アナスタシアさんは静かに告げると両手に持った刀はその姿を消した。
狼男男は倒れ伏して言った。
「待て!吸血鬼はともかく、狼男は別に『十字架は弱点ではない』のだが…。」
「実際に『効いた』んだからいいじゃん!『プラシーボ効果』という言葉と、『やったもん勝ち』ということわざはこういう時に使うものだと『友達』が教えてくれたし♪」
……その『友達』てどんな人なんですか?!
「…なんだかよくわからんが、俺の負けか…だが!我が伴天連軍は永遠に不滅です!!」
狼男男は一瞬だけ立ち上がって叫ぶと、もう一度倒れて、そのまま灰になってしまった。
狼男男が灰になると、それまでしつこく城壁に襲い掛かってきていたわんまげたちが動きを止めた。
そして、『きゃいんきゃいん』と叫びながら一斉に退却を始める。
そして、アナスタシアさんは……。
「やった!巧人、やったよ!!!」
僕の方を『明らかに期待するような目』で見て叫んでいる。
…待ってください!!嫌じゃないですが、『心の準備が全然できていない』のですが?!
スキップしながらこちらに駆けて来ようとしていたアナスタシアさんが不意に動きを止める。
そして、撤退していたわんまげたちも一斉に静止した。
アナスタシアさんの表情が険しくなり、僕ですら『それ』がゆっくり近づいてきているのを感じた。
その『人影』は確かに形は人間だった。
だが、明らかに人間でないと僕にも感じ取れた。
だからだろう。アナスタシアさんが今まで見たこともない怖い顔でそいつを睨みつけている。
仲間であるはずのわんまげ達すらそいつを『底知れぬ恐怖の視線』で震え上がりながら見ている。
「おやおや、美しい御嬢さん。ずいぶん怖い顔で私を睨んでおられますね。」
和洋折衷のような着物を着たその『美青年』は肩をすくめて見せた。
とてもこの世のものとは思えないほど整った容貌のその青年は酷くまがまがしいオーラを放っていた。
狼男男なんかはこの男と比べたら問題じゃあない!
「とんでもない『化け物』が出てきたな。お前さん、何者だ!!」
アナスタシアさんがそいつを睨んで叫ぶ。
「私の名は天草四郎時貞。秘密結社伴天連の総帥です。」
この世のものではない美青年は薄く笑って言った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる