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大江戸編

11 ゴースト〇スターズ

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 膨大な数のゴーストたちも大いに問題だが、まずはメインのマシュマロマン男だ。
 僕がマシュマロマン男を見ると、情報が頭に入ってきた。

名前: マシュマロマン男
伴天連怪人 
 レベル:130
 スキル:死霊を操る   
 称号 怪人四天王代理補佐(ちょっと弱いので、上げ底してごまかしている)
※伴天連の怪人はモンスターの名前の後に『男』が付きます。
マシュマロマンを彼らが知っていたのは『伴天連の首領』が悪魔から授かった予知能力で予知したから……という理論で納得してください。


 四天王代理補佐とか、どういう役職?!
 それと、あきらかに『言い訳がましい注釈』は何?!


 「いけいけ!ゴーストども!!」
 マシュマロマン男の煽りに、四方八方からゴーストたちが襲い掛かってきた!!
 それに対してアナスタシアさんが獅子奮迅の動きで大型ハリセンの届く範囲のゴーストたちを瞬殺してくれているが、それでも追い付いていない。

 「うおお!!噛むな!ひっかくな!!」
 素手で、ゴーストたちをぶっ飛ばしながらもカイザスさんがあちこち攻撃を受けている!
 そして、桜姫も忍者刀で懸命にゴーストに斬りつけている。
 霊刀『月光』で斬っているのでダメージはいっているようだが、いかんせん数が違い過ぎる!!

 僕に、僕にできることは何かないのか!?

 「巧人!バルカン砲か何か広範囲攻撃用武器をイメージして創り出してくれ!それを今の巧人が使えば、かなりの攻撃力になるはずだ!!
 なんなら、その武器を俺が使ってもいい!!」
 アナスタシアさんが、恐ろしい動きで特に危険な場所を攻撃しつつ、僕ら(主に僕)に攻撃が行かないよう必死で叫んだ。

 他のみんなにばかり、負担をかけるわけにはいかない!
 頑張って、少しでも役に立つんだ!
 しかし、バルカン砲らしきものが現出しかかって、ちらちら点滅を繰り返している。
 僕が武器に詳しくないから、うまく現実化できないようだ。
 く、何とかしないと!!

 その時、僕の様子を見たカイザスさんが叫んだ。
 「巧人!うまくいったら、『アナスタシアがキス』してくれるそうだ!!ロシア式の接吻だから、思い切り『情熱がこもっている』ぞ!!」

 爆弾発言に、ゴーストを含めた全員の動きが止まった…いや、アナスタシアさんだけは動き続けているが……顔が真っ赤になっている。

 「待て、カイザス!!いきなり何を爆弾発言しているんだ!!」
 「しかたないだろ!我々が全滅するかどうかの瀬戸際だ!!それとも、命をかけた巧人の努力を無にするつもりか!!まさか『巧人に触れられるのもいや』とか言うつもりか?」
 「いや、全然嫌じゃないけど!いきなりそんな……」

 アナスタシアさんに気を取られていた僕は気が付くと『超特大のハリセン』を物質化させていた。今アナスタシアさんが振るっているハリセンの十倍くらいの大きさの…。

 「巧人!!やった!!借りるよ!!!」
 アナスタシアさんは自分の使っていたハリセンをカイザスさんの投げ渡すと、僕の作った巨大ハリセンを握りしめた。
 「よっしゃあ!いくぞー!!」
 アナスタシアさんが気合いを込めると、ハリセンは高さ五メートル位にまで成長し、強烈な金色の光を放ち始めた。

 アナスタシアさんがハリセンを振り回すと、命中したゴーストはもちろん、ハリセンの放った金色の光を浴びて、周囲のゴーストたちもドンドン消えていった。
 その間に、カイザスさんもハリセンを上手に振り回し、僕たちの近くに来ていたゴーストたちを一掃していった。
 アナスタシアさんが攻撃し、潜り抜けた敵をカイザスさんが殲滅することで、あっという間にゴーストたちはその数を減らしていった。

 「完全に形勢逆転だな!!」
 アナスタシアさんがマシュマロマン男を睨みつけ、カイザスさんは……タブレットを操作して『ゴースト〇スターズのテーマ曲』を演奏していた……。
 カイザスさん、仕事しましょうよ!!

 「こうなったら!ゴーズト大集合!!ゴースト合体!巨大マシュマロマン変化!!」

 マシュマロマン男が叫ぶと、突風が吹き荒れ、残ったゴーストたちはマシュマロマン男にあっという間に吸収された。
 そして、全長一八メートル以上の巨大なマシュマロマン男が僕らを睨みつけていた。

名前: 巨大マシュマロマン男
伴天連怪人 
 レベル:250
 スキル: 一応格闘術   
 称号 なんとか怪人四天王並
特徴: ほぼミノタウロス男並みの格闘戦能力を持つ…はず。

 ……ええと、一応ミノタウロス男並だそうです…。

 「へえ?!かなり強くなったようだな。でも、こちらも連携プレイだ!」
 にやりと笑うと、アナスタシアさんはカイザスさんを見た。
 「カイザス!このハリセンを使え!!それから、巧人!また金属バットを頼む!」

 僕がゴブリン怪人退治の時に使った金属バットよりさらに大きめのバットを出現させると、アナスタシアさんは巨大ハリセンをカイザスさんに渡し、僕からバットを受け取った。

 「カイザス!!ありったけの魔力・気力を込めろ!」
 「了解した!」
 アナスタシアさんはバットを五メートルくらいの長さに巨大化させると、あっという間にマシュマロマン男の背後に回り込んだ。
 「おりゃーー!千本ノックだ!!」
 アナスタシアさんが飛びあがって、マシュマロマン男のお尻にバットを打ち込むと、マシュマロマン男はカイザスさんの方に向かって吹っ飛んでいった。
 バシーーーーん!!!
 実に痛そうな大きな音を立てて、マシュマロマン男の顔面にハリセンが打ち込まれる。

 「くそ痛てーーー!!」
 マシュマロマン男は顔面を押さえてもんどりうって倒れた。

 「それ、もう一丁!!」
 立ち上がったマシュマロマン男の後ろに回り込むと、アナスタシアさんが再び、マシュマロマン男のお尻に上手にバットの一撃を浴びせた。
 マシュマロマン男は再びカイザスさんのもとに飛んでいき…。
 バシーーーーん!!!
 再び痛そうな大きな音を立てて、マシュマロマン男の顔面にハリセンが打ち込まれる。

 極大サイズ『リアル チャンバラトリオ』をこの目で見れるとは思いませんでした!!

 「『ハリセンの正式な攻撃方法』も『コーイチ』にきちんと教わったんだ♪」
 アナスタシアさんが嬉しそうに僕に言う。
 だから、くどいようだけど『関西人ならではのボケ』だよね?!

 「わて、もうわやでんがな!!昇天してまう!!」
 ぐるぐる目を回しながら、巨大マシュマロマン男は影を薄れさせていって、昇天というか成仏されていきました…。


 「巧人、やったー!!」
 喜んだアナスタシアさんが僕に抱き付いてくる!!
 わわわわ!待って!嬉しいけどちょっと待って!!

 「えええええ!そのままキスするんじゃなかったの?せっかく巧人が頑張ったのに!」
 カイザスさんの再びの爆弾発言で三人の動きが止まる。

 「なな何を言ってるんだ!待って、ちょっと待って!!」
 アナスタシアさんが僕から離れて、真っ赤になって焦っている。
 「そうですよ!カイザスさんが勝手に言っているだけですよね!?」
 桜姫も真っ赤になって怒り出す。

 「えええええ!してあげようよ!!『ほっぺにキス』くらい♪」
 再び、僕ら三人の動きが止まった…。
 やられた!本当にやられた!ものすごくがっかりしている僕…え?!

 「……了解、ちゃんと巧人にお礼しなきゃね…。」
 そう言いながら、アナスタシアさんが呆然と仕掛けていた僕の左ほっぺにキスをしてくれた。
 ええええええ!彼女いない歴=年齢の僕がこんな素敵な体験を!?
 ……しばらく左ほっぺは洗わないでおこう…。


 そして、アナスタシアさんとカイザスさんがしばし周囲の気配を探った後、ゴーストや伴天連の怪人の気配は感じられないことから、今回の任務は無事成功したと判断された。

 「よし、それでは帰還しますか。」
 桜姫の言葉にみんながうなずく。

 「さて、今夜は距離的に言って『浅虫温泉』にゆっくりつかろうか?」
 カイザスさんがタブレットを操りながら言う。
 く、いきなり僕の左ほっぺを洗わせる気か?!

 「そうだ、帰りはメンバーチェンジしようか?」
 「「「メンバーチェンジとは?」」」

 「私が桜姫を背負って、アナスタシアが巧人を背負って走るということで♪」
 「「待った!ちょっと待った!!」」」
 あれ、三人の声がハモっている?!

 「ほほおお♪そういうわけなのだね♪」
 カイザスさんが嬉しそうに笑う。

 「なにが『そういうわけ』なんだ?!」
 アナスタシアさんがカイザスさんにヘッドロックを掛けている。

 「アナスタシアは、巧人を背負うのは嫌なんでしょ♪」
 「いや、全っ然嫌じゃないよ!行きだって、俺が巧人を背負おうかと言いだしたじゃないか!」
 「よかったね巧人♪アナスタシア、嫌じゃないって♪」
  そこで振るの?!僕に振るの?!

 「というわけだ、巧人。『君が嫌じゃなかったら』大人しくアナスタシアに背負われたまえ♪」
 この流れで『ノーと言えるわけない』じゃん!!カイザスさん!僕らをはめましたね!!


 ……たった半日にも満たない浅虫温泉への旅は僕もアナスタシアさんも『精神的に』めちゃめちゃ疲れました!!……嬉しかったけど……。

 温泉に入ったら、疲れが一気に出て、二人ともあっという間に睡魔に負けて撃沈です。


 そんなわけで、翌日以降は『残念なことに』桜姫の主張もあり、元通り僕はカイザスさんに背負われて、大江戸への帰還になりました。
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