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大江戸編

4 二度あることは三度ある

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名前: ミノタウロス男
伴天連怪人 
レベル:250
スキル: 格闘術 肉体強化 走るとまわりの人が『暴れ牛だ―!』と叫ぶ
称号 怪人四天王
特徴: レベル500の魔獣並みの格闘戦能力を持つ。


 「なるほど!先日我々が倒した、『怪人四天王』の一人か?!相手にとって、不足はない!」
 カイザスさんがミノタウロス男をにやっと笑って見ている。……え?カイザスさん、召喚獣『モアイガー』に全然歯が立たなくて、吹っ飛ばされていたような…。

 「はっはっはっは!!召喚士男は我ら『怪人四天王』の中では一番の若輩者!!我をあんな奴と一緒にするな!!」
 ミノタウロス男が叫ぶ。
 そして、カイザスさんは僕に耳打ちをするとゆっくりと前に出た。

 「……すまん、今の私ではあいつには勝てない。私が時間稼ぎをしている間に一刻も早くアナスタシアを呼び出してくれ。」

 今回は聞き込みを始める前に、カイザスさんが携帯していた、魔法を使った通信&たがいの居場所を特定する小型水晶球をそれぞれのチームが所持していた。
 僕はアナスタシアさんに救援を要請してから、カイザスさんの戦いを見守っていた。

 「ホーーーン!トルネーード!!」
 ミノタウロス男は角をかざして猛スピードで突進してくると、あっという間にカイザスさんを巻き上げて、彼方へ飛ばしていった。
 ……もしもし?…時間稼ぎは…?

 「さて、残るはおまえさんだけだな?!」
 ミノタウロス男が僕を睨みつけてゆっくりと向き直った。
 …終わりました。カイザスさんさえ躱せない怪人の攻撃を僕が躱せるはずがありません。
 父よ、母よ、妹よ、先に逝く巧人をお許しください。

 その時、上の方からギターの音色が聞こえてきた。
 「はっはっはっは!!ミノタウロス男!!その程度の攻撃で私を倒せると思ったか?!」

 カイザスさんが商家の屋根の上でギターを弾きながら現れた!!
 カイザスさん、無事だった……いやいや、頭やらいろんなところからドクドク血が流れているんですけど?!本当に大丈夫なんですか?!!

 「はっはっは!!ちょっと痛いけど、男の子だから、がんばるぞ!!」
 カイザスさん、その根性はスゴイと思います。でも…全然大丈夫そうには見えないんですが?!

 そして、ミノタウロス男は…。
 「ミノタウロスジャーーーンプ!!」
 ふわりとカイザスさんに向けて舞い上がった。
 「ミノタウロスキーーーック!!!」
 ミノタウロス男の飛び蹴りが炸裂すると、カイザスさんは彼方へ吹っ飛ばされていった。

 「さて、今度こそ残るはおまえさんだけだな?!」
 ミノタウロス男が再び僕を睨みつけてゆっくりと向き直った。

 「アナスタシアキーーーック!!!」
 僕が再び覚悟を決めた時、アナスタシアさんがミノタウロス男のこめかみに蹴りを叩きこんだ。
 「巧人、刀を頼む!!」
 そして、アナスタシアさんが僕の傍に駆け寄ってくるのに合わせて、僕は再び刀をイメージ……おおっ!!レベルが上がったおかげか、今度は刀が前回よりさらに長く、『脇差』くらいの大きさになっている!!
 「巧人!前回よりずっと刀から強いエネルギーを感じるよ!!助かる!!」
 アナスタシアさんは刀を僕の手から受け取ると、気合を込めて刀を振りかざした。
 刀は真っ白く光って、刀身を2メートルくらいまで伸ばした。長さこそ前回と同じくらいだが、光の輝きの強さは明らかに前回を大きく上回っている。

 「く、もしかして、貴様が本命か!?」
 「その通り、覚悟するがいい!!」
 ミノタウロス男と、アナスタシアさんが強烈な気をぶつけ合う。

 「だが、負けん!!ホーーン!トルネーード!!!」
「 喰らえ!!雷光剣!!!」
 二人が交錯し合った後、ミノタウロス男は縦三枚に切り下されて倒れた。

 そして、アナスタシアさんは、僕の方を振り向くと、駆け寄ってきた。
 「巧人!!無事か!?怪我はないようだな?!」
 そして、そのまま抱き付いてくる。
 「よかった!!それだけが心配だったんだ!!無事でよかった!!」
 待って!!すごくうれしい気分だけど、その前に、カイザスさんを!!

 「やあ、間に合ったようだね。さすがアナスタシア!時間稼ぎをしたかいがあったよ!」
 やはり、頭やいろいろなところから血をドクドク流しながらカイザスさんがニコニコしながら戻ってきた…。あの…もしもし…あ、倒れた!!


~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 翌日、僕たち三人は再び浅草に来ていた。
 ミノタウロス男を倒した後、すぐに対魔獣隊司令部(大目付)に報告したが、彼らが現場に駆け付けた時には死体がなくなっていたのだ。
 「カイザス、現場を解析する魔法とかは使えるようになっていないか?」
 「水を出す魔法はなんとかできるようになったんだけどね。ほら、こんな風に。」
 そう言いながらカイザスさんは『水芸』を僕たちに見せ始めた。
 …いやいや、今はそんなことをしてる場合じゃないでしょ?!
 「そうだ、これで『カイザスのおいしい水』とか言って名水にして売り出せば!?」
 それ、誰も欲しがりませんから!!!

 そんな風に浅草の捜索を続ける中、昨日同様ご近所でよく顔を合わせる『金さん』とばったり遭遇した…いや、待てよ!おい!!
 「おお、金さん、元気そうだね♪」
 アナスタシアさんがニコニコしながら金さん?に声を掛ける。

 「いえ、私は金の双子の兄弟で銀さんて言うんですよ。兄は昨日事故に遭って現在療養中なんです。」
 「そうか、そりゃあ、後でお見舞いに行かないとな。」
 「ありがとう。兄もアナスタシアさんみたいな別嬪さんがお見舞いに来てくれたら、早く元気になるだろうね♪」

 銀さんは僕たちに手を振ると、笑って去っていった。

 「感じのいいお兄さんだね。せめてもう十歳若ければ…。」
 カイザスさん、昨日と同じことを言ってますよ?!

 何気なく、去りゆく銀さんの背中を見ていると、データが頭に浮かんできた。

名前:遠山 孝元(銀四郎)三六歳 人間 男
レベル:35
北町奉行代理
スキル:剣技 隠密行動 情報収集 会話術 もろ肌脱ぎ
装備: 脇差 桜吹雪の入れ墨
称号 遊び人の銀さん 『大江戸を斬る』人Part2

 昨日に続いて、突っこみどころ満載のデータが出てきてんですけど??!!

 僕が脳内で再びツッコミを入れていると、銀さんが去って行った方角から轟音と共に何人もの人の叫び声が聞こえてきた。
 「「「わーーーー!!!暴れ牛だ!!!」」」

 うすうす正体がわかっている「何か」がすさまじい勢いでこちらに向かって突進してきており、そいつは一人の男を宙に撥ね飛ばしていた。
 あ、あれは銀さん!!!
 銀さんははるか彼方に飛ばされて星になっていった。

 さらに、銀さんを跳ね飛ばしたモノは我々に向って突進してきた。
 三メートルを超える巨体、頭に生えた異様に長い角は金属でいろいろと補強してあり、、筋骨隆々の肉体に牛の頭。
 昨日と違い、斬られた後をつぎはぎして縫い付けたような跡。
 そいつの突進をアナスタシアさんは僕を抱えて、軽く躱した。いやいや、この状況恥ずかしすぎるし!!(カイザスさんもなんとかかわしていた。)

 「ふっ!パワーアップした俺の突進を避けるとは大したものだ!今度こそ、貴様らを叩き潰してくれる!!」
 つぎはぎだらけで、見た目さらに凶悪になったミノタウロス男は僕たちをみて吠えた。

名前: 『改造』ミノタウロス男
伴天連怪人 
レベル:255
スキル: 格闘術 肉体強化 走るとまわりの人が『暴れ牛だ―!』と叫ぶ称号 怪人四天王
特徴: レベル510の魔獣並みの格闘戦能力を持つ。

 「ちっちっち!俺らも昨日の俺らとは段違いだぜ!巧人、お願い!!」
 僕が気合いを込めると、昨日よりさらに刀身が伸びた刀が具現化した。
 それを受け取ると、アナスタシアさんは笑った。

 「巧人、本当にすごいな!君と組んでいれば俺は絶対に負けやしない!!」
 アナスタシアさんは昨日以上に輝く刀を構えると改造ミノタウロス男に突っこんでいった。

 「喰らえ!!ホーーン!トルネード改!!」
 しかし、アナスタシアさんはミノタウロス男の攻撃は軽くかわすと、ほぼ無造作に刀を振った。
 「疾風斬!!」

 アナスタシアさんが怪人とすれ違った後、怪人の体は横に輪切りになって、地面に落ちていった。

~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 さらに翌日、僕たち三人は再び浅草に来ていた。
 改造ミノタウロス男を倒した後、すぐに対魔獣隊司令部(大目付)に報告したが、彼らが現場に駆け付けた時にはまた死体がなくなっていたのだ。

 「カイザス、今日こそは現場を解析する魔法とかは使えるようになっていないか?」
 「今度は場を盛り上げる『背景魔法』を使えるようになったよ。ほら、こんな風に。」
 そう言いながらカイザスさんは『自分の背景に光や煙』を出しながら、ポーズを取って僕たちに見せ始めた。
 「そろそろ、『鑑定』の能力がパワーアップしたんじゃないのかい?魔法を詳細で見てみると面白いと思うな♪」
 いえいえ、そんなもんを見ても『時間の無駄』になりそうなんですが…。


 そんな風に浅草の捜索を続ける中、昨日同様ご近所でよく顔を合わせる『金さん』とばったり遭遇………あの、もしもし……???
 「ええと?銀さん…無事だったのかい?」
 アナスタシアさんが首をかしげながら銀さん?に声を掛ける。

 「いえ、私は金、銀の三つ子の兄弟で銅さんて言うんですよ。銀も昨日事故にあって現在療養中なんです。」
 「そうか、そりゃあ、金さんだけでなく銀さんにもお見舞いに行かないとな。」
 「ありがとう。兄たちもアナスタシアさんみたいな別嬪さんがお見舞いに来てくれたら、早く元気になるだろうね♪」

 銅さんは僕たちに手を振ると、笑って去っていった。

 「感じのいいお兄さんだね。せめてもう十歳若ければ…。」
 ……カイザスさん、そのセリフ、もうやめましょうよ!!

 何気なく、去りゆく銅さんの背中を見ていると、データが頭に浮かんできた。

名前:遠山 国元(銅四郎)三六歳 人間 男
レベル:35
北町奉行代理の代理
スキル:剣技 隠密行動 情報収集 会話術 もろ肌脱ぎ
装備: 脇差 桜吹雪の入れ墨
称号 遊び人の銅さん 『大江戸を斬る』人Part3 切れ者で『まむしの銅さん』と評されている。

 突っこみどころがさらに増えてるんですが??!!
 三つ子とも遊び人に扮して『桜吹雪の入れ墨』て何?!『まむしの銅さん』て、戦国大名の『齊藤道三のパクリ』ですよね?!

 僕が脳内でツッコミ切れないツッコミを入れていると、銅さんが去って行った方角から轟音と共に何人もの人の叫び声が聞こえてきた。
 「「「わーーーー!!!暴れ牛だ!!!」」」

 完全に正体がわかっている「何か」がすさまじい勢いでこちらに向かって突進してきており、そいつは一人の男を宙に撥ね飛ばしていた。
 あ、あれは銅さん!!!
 銅さんははるかかなたに飛ばされて星になっていった。

 さらに、銅さんを跳ね飛ばしたモノは我々に向って突進してきた。
 三メートルを超える巨体、頭に生えた異様に長い角は完全に金属製のモノに換装してあり、筋骨隆々の肉体は全身金属製のアタッチメントで補強されていた。

名前: 『再改造』ミノタウロス男
伴天連怪人 
レベル:260
スキル: 格闘術 肉体強化 走るとまわりの人が『暴れ牛だ―!』と叫ぶ
称号 怪人四天王
特徴: レベル520の魔獣並みの格闘戦能力を持つ。 サイボーグ化


 今度はそいつの到来を予期して、僕が具現化していた刀を瞬時に強化し、アナスタシアさんは突進してくる怪人に縦横無尽に刀を振るった。

 アナスタシアさんが通り過ぎて、僕らのもとに返ってくると、怪人はサイの目状にバラバラに切り分けられた後、爆発、四散した。

 「つまらぬものを斬ってしまった。改造怪人、再生怪人は改造前よりずっと弱くなるという『怪人の法則』を知らなかったようだね。」
 アナスタシアさんは薄く笑った。
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