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最近日記を読み返した話
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昔の日記というのはたいてい、読み返すと大変イタイものです。うわぁ読みたくねー、と日記帳の詰まった段ボールを見ては封じ込め、それを繰り返して数十年経ちました。
わざわざ読み返したのは、カクヨムにラブコメを書きはじめたのがきっかけです。
(カクヨムの)近況ノートにも書いたのですが、「小説書きさんと、ふたり」、私が書いている同性愛もののラブコメなんですが、この話に、私は一部、実話を入れたのです。実話を少し入れ込んでいるのは、この話に限ったことではなくて、「金色のチョコレート」は会話の一言一句含めてほとんど実話ですし、ほかのものも、ほぼ実話っていうのがいくつかあるし、「虫」の中にもわずかに自分が言われたセリフが混ざっています。「好きなら縛っててよ」とかね……(縛ったら嫌がるくせに~……)。
私はどうも男性も女性も好きになる人間らしいです。高校時代に同性を好きになってしまったことや、大学時代に同性と恋愛をした、その頃のことを思い出したりしながら、ガールズラブを書いていたりするわけです。
で、「小説書きさんと、ふたり」の中で、好きだった人に昔泣かれた話を書いていて。かなり加工するつもりが、ほぼ実話のまま書いて。あれ……私こんなひどいことしてたんだ……と気付いてしまいました。
気になって当時の日記を読み返すに至ったわけです。
で、驚きました。
彼女を好きになって、近くに居続けた数年の間に、日記がガラッと変わっていたこともそうですが。
思った以上に、私は周りから理解しにくい人間だったのですね。
好きな人に「あなただけは理解できない」とか言われてへこんでいましたが、ああ、こりゃ理解できないわ、と思いました。
自分の中では、行動にはもちろん理由があるんです。感情もあるんです。
小説というのは、読んだ人にわかるように書くじゃないですか。
そうやって書かれた小説はまだ分かり易いんですが、日記は「起こったこと」をただ書いている。
わかりやすくするための表現とか特にしてないんですよ。時系列をいじったりとかも。
嬉しかった、とか、好き、とか、こう思った、こんなことがあった、ああした、こう感じた、そういう単純な文章なのですね。
好きだ、と書いた次の週には、好きじゃない、と書き。嫌いだと書いた翌日にやっぱり好きだと書く。もう女を好きでいるのは終わった卒業だ、もう彼女に興味ないと書いたあとに、大好き、一緒にいると嬉しいと書く。
相手に望まれてもいないのに同性を好きでいるのがイヤだったので、どうにか好きじゃなくなろうとして足掻いていたんだと思いますが、言動にも日記に書いている内容にも、全く一貫性がないです。
今読んでも、ああ、その通りになってるなと思う事が書かれていたりもします。この恋愛はたぶん一生ものだ、とかね。これは、そうなりましたね。一生ものの思い出に。いまだにガールズラブ書いてますからね。
当時教師からも変わっていると言われ、友人からも変人と言われてましたが、多分、「説明が足りないからこそ突発的に見える言動」が本当に不思議に映っていたのでしょう。
自分で読み返しても、たいへん面倒くさい人間だと思いました。
日記を読み返し始めてから、私が「ものすごい重大な転換」と思っていたできごと、それが書かれた日を探しました。
「自分への」カミングアウトをした日です。
私にとって、自分を同性愛者だと感じ、頭の中ではっきりと言葉にして認めた日のことは、かなり大きく記憶に残っています。好きな子に手を握られたりしてるうちに、もうごまかしが利かなくなったんです。それをどう日記に書いたかなと。
なかなか見つけることができなくて、ただ、読んでいたら出てきました。
八月○○日
うんたらかんたらほにゃほにゃ。私はもう認めたということ。
ほにゃほにゃほにゃほにゃ。
私はレズだ。
うんたらかんたらほにゃほにゃ。
※「レズ」は差別用語とされています。当時、携帯もネット環境もなく、周りに誰一人当事者を見つけられない状態で、この表現で自分を定義すること自体が、私にとって精神的に大きな「飛び越え行為」でした。話の性質上、敢えて原文のままにしてあります。
……なにこれ。
通常の日記にまぜて、めっちゃアッサリ書いてる……。前後のできごとも書かれていない。
これを書くまえに、好きな子のことを、キスしたいの抱きしめたいの、これはヤバいのと、しょっちゅう書いて、半年以上経ってましたから、いやもうその時点で認めろよという感じではあるのですが。
これは、その子に対しての感情だけで、自分を「レズ」だと表現したわけではありません。
彼女以外にも友達に向ける気持ちがね、どうも、違うんですね。なんというか、男女ものの恋愛小説とか読んでいると、恋愛になってなくても、異性の友達ってちょっと同性と違う描写があるじゃないですか。ほんのりとした、なんというか……友達以上恋愛未満みたいな。
私の場合、当時、それが男女逆だったんですね。好きな子以外に、同性の友人で、恋愛でなくても、ほんのりとした「何か」を感じる人が二人いて。一緒に遊びたい、出かけたいと思う異性もいましたが、その男子に対する感覚はだいぶサラッとしていて、女の子が男の子を出かけるのに誘ったら、デートに誘ったってことになっちゃうのかなぁ……なんて困惑していました。
同性で、かなり近くにいて、会話だけは百合小説に出てきそうな会話してるのに、全くそういう感覚を持てない相手ももちろんいて、仲良くしてました。
でも、多分、(一部の)女性に対する感覚が、他の周りの女の子と違うんですよね。
この日記の、アッサリすぎる、「私はレズだ」。
これの後、日記に無駄が無くなりました。
それまでは、好きな子に対してはヤバいこれはヤバい的な事を書き、それ以外の同性のその友人二人に対しても、○ちゃんにはこんな気持ちで~、▲さんにはこういうタイプの友情を感じているようだ、友情とはぁ~、なんてごにゃごにゃ書いてたのが、そういう一切合切をまとめて、日記のなかで、
「私はレズだ」
とバッサリぶった切って表現したわけです。
自分で書いたら、すっきりして、恋愛対象になる同性に対しての友情の定義とか、書くのどーでも良くなったんですよ。
今まで、無理やりなんでも友情に当てはめようとして、無理があったからですね。そういう無理がなくなって楽になりました。
ねじれた消しゴムがまっぷたつに割れるみたいに、すっきり割り切れました。
そこから、周りで起きていることに対して、実際にどう思っているのかを、事細かに自分の言葉で書くようになりました。「同性を好きになったこと」自体を「ヤバイ」と表現することも無くなりました。
私自体は不安定でヤバイ人間だったと思いますが、ヤバイ状況、ヤバイ感情、いろいろあったと思いますが、同性への恋愛感情自体をヤバイと書くことが無くなりました。
そして、読み返して驚いたのが、今の十倍は色々な人と人づきあいをしていたということ。特に、初めてカミングアウトした友人とは、本当に頻繁に電話したり会ったりして話していたこと、彼女にだいぶ精神的に救われていたということです。彼女がいなければ生きてなかった可能性があります。いつかお礼を言っておかねば。
でも、日記って、ほんとに……その人にとって大きなことでも、書く時はあっさりなんだなぁと思いました。
あと、本当にメンタルがおかしいときは、言葉にできないので、そういうのもほとんど書かれていないですね。
時間に余裕ができてきたら、日記の続きを読もうと思っています。
わざわざ読み返したのは、カクヨムにラブコメを書きはじめたのがきっかけです。
(カクヨムの)近況ノートにも書いたのですが、「小説書きさんと、ふたり」、私が書いている同性愛もののラブコメなんですが、この話に、私は一部、実話を入れたのです。実話を少し入れ込んでいるのは、この話に限ったことではなくて、「金色のチョコレート」は会話の一言一句含めてほとんど実話ですし、ほかのものも、ほぼ実話っていうのがいくつかあるし、「虫」の中にもわずかに自分が言われたセリフが混ざっています。「好きなら縛っててよ」とかね……(縛ったら嫌がるくせに~……)。
私はどうも男性も女性も好きになる人間らしいです。高校時代に同性を好きになってしまったことや、大学時代に同性と恋愛をした、その頃のことを思い出したりしながら、ガールズラブを書いていたりするわけです。
で、「小説書きさんと、ふたり」の中で、好きだった人に昔泣かれた話を書いていて。かなり加工するつもりが、ほぼ実話のまま書いて。あれ……私こんなひどいことしてたんだ……と気付いてしまいました。
気になって当時の日記を読み返すに至ったわけです。
で、驚きました。
彼女を好きになって、近くに居続けた数年の間に、日記がガラッと変わっていたこともそうですが。
思った以上に、私は周りから理解しにくい人間だったのですね。
好きな人に「あなただけは理解できない」とか言われてへこんでいましたが、ああ、こりゃ理解できないわ、と思いました。
自分の中では、行動にはもちろん理由があるんです。感情もあるんです。
小説というのは、読んだ人にわかるように書くじゃないですか。
そうやって書かれた小説はまだ分かり易いんですが、日記は「起こったこと」をただ書いている。
わかりやすくするための表現とか特にしてないんですよ。時系列をいじったりとかも。
嬉しかった、とか、好き、とか、こう思った、こんなことがあった、ああした、こう感じた、そういう単純な文章なのですね。
好きだ、と書いた次の週には、好きじゃない、と書き。嫌いだと書いた翌日にやっぱり好きだと書く。もう女を好きでいるのは終わった卒業だ、もう彼女に興味ないと書いたあとに、大好き、一緒にいると嬉しいと書く。
相手に望まれてもいないのに同性を好きでいるのがイヤだったので、どうにか好きじゃなくなろうとして足掻いていたんだと思いますが、言動にも日記に書いている内容にも、全く一貫性がないです。
今読んでも、ああ、その通りになってるなと思う事が書かれていたりもします。この恋愛はたぶん一生ものだ、とかね。これは、そうなりましたね。一生ものの思い出に。いまだにガールズラブ書いてますからね。
当時教師からも変わっていると言われ、友人からも変人と言われてましたが、多分、「説明が足りないからこそ突発的に見える言動」が本当に不思議に映っていたのでしょう。
自分で読み返しても、たいへん面倒くさい人間だと思いました。
日記を読み返し始めてから、私が「ものすごい重大な転換」と思っていたできごと、それが書かれた日を探しました。
「自分への」カミングアウトをした日です。
私にとって、自分を同性愛者だと感じ、頭の中ではっきりと言葉にして認めた日のことは、かなり大きく記憶に残っています。好きな子に手を握られたりしてるうちに、もうごまかしが利かなくなったんです。それをどう日記に書いたかなと。
なかなか見つけることができなくて、ただ、読んでいたら出てきました。
八月○○日
うんたらかんたらほにゃほにゃ。私はもう認めたということ。
ほにゃほにゃほにゃほにゃ。
私はレズだ。
うんたらかんたらほにゃほにゃ。
※「レズ」は差別用語とされています。当時、携帯もネット環境もなく、周りに誰一人当事者を見つけられない状態で、この表現で自分を定義すること自体が、私にとって精神的に大きな「飛び越え行為」でした。話の性質上、敢えて原文のままにしてあります。
……なにこれ。
通常の日記にまぜて、めっちゃアッサリ書いてる……。前後のできごとも書かれていない。
これを書くまえに、好きな子のことを、キスしたいの抱きしめたいの、これはヤバいのと、しょっちゅう書いて、半年以上経ってましたから、いやもうその時点で認めろよという感じではあるのですが。
これは、その子に対しての感情だけで、自分を「レズ」だと表現したわけではありません。
彼女以外にも友達に向ける気持ちがね、どうも、違うんですね。なんというか、男女ものの恋愛小説とか読んでいると、恋愛になってなくても、異性の友達ってちょっと同性と違う描写があるじゃないですか。ほんのりとした、なんというか……友達以上恋愛未満みたいな。
私の場合、当時、それが男女逆だったんですね。好きな子以外に、同性の友人で、恋愛でなくても、ほんのりとした「何か」を感じる人が二人いて。一緒に遊びたい、出かけたいと思う異性もいましたが、その男子に対する感覚はだいぶサラッとしていて、女の子が男の子を出かけるのに誘ったら、デートに誘ったってことになっちゃうのかなぁ……なんて困惑していました。
同性で、かなり近くにいて、会話だけは百合小説に出てきそうな会話してるのに、全くそういう感覚を持てない相手ももちろんいて、仲良くしてました。
でも、多分、(一部の)女性に対する感覚が、他の周りの女の子と違うんですよね。
この日記の、アッサリすぎる、「私はレズだ」。
これの後、日記に無駄が無くなりました。
それまでは、好きな子に対してはヤバいこれはヤバい的な事を書き、それ以外の同性のその友人二人に対しても、○ちゃんにはこんな気持ちで~、▲さんにはこういうタイプの友情を感じているようだ、友情とはぁ~、なんてごにゃごにゃ書いてたのが、そういう一切合切をまとめて、日記のなかで、
「私はレズだ」
とバッサリぶった切って表現したわけです。
自分で書いたら、すっきりして、恋愛対象になる同性に対しての友情の定義とか、書くのどーでも良くなったんですよ。
今まで、無理やりなんでも友情に当てはめようとして、無理があったからですね。そういう無理がなくなって楽になりました。
ねじれた消しゴムがまっぷたつに割れるみたいに、すっきり割り切れました。
そこから、周りで起きていることに対して、実際にどう思っているのかを、事細かに自分の言葉で書くようになりました。「同性を好きになったこと」自体を「ヤバイ」と表現することも無くなりました。
私自体は不安定でヤバイ人間だったと思いますが、ヤバイ状況、ヤバイ感情、いろいろあったと思いますが、同性への恋愛感情自体をヤバイと書くことが無くなりました。
そして、読み返して驚いたのが、今の十倍は色々な人と人づきあいをしていたということ。特に、初めてカミングアウトした友人とは、本当に頻繁に電話したり会ったりして話していたこと、彼女にだいぶ精神的に救われていたということです。彼女がいなければ生きてなかった可能性があります。いつかお礼を言っておかねば。
でも、日記って、ほんとに……その人にとって大きなことでも、書く時はあっさりなんだなぁと思いました。
あと、本当にメンタルがおかしいときは、言葉にできないので、そういうのもほとんど書かれていないですね。
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