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FILE1.痴漢幽霊騒動
その2-3
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ガマンしていた当人もこれには怒りをにじませる。
「この――良い年して女々しいですね!」
「まあ、待てよ。やっちまったことを考えると双葉ちゃんの方が分は悪いぜ」
「零士君……!」
珍しく零士が冷静にたしなめた。
「けどな! アンちゃんみたいな汚いことはしてねぇ!」
それでも、聖雄を許してはいなかった。
「ひっ!」
「アンちゃんのやったことが本当に恥ずかしくないことだってんなら出るとこ出れば良い」
身長180センチの巨躯に睨みを利かされ、聖雄は腰を抜かして後ずさった。零士もそれだけ言い放ち終えるとクズやろうから距離を取った。
騒ぎの処理もしなければならないし、何よりも依頼人の意向を伺わなければならなかったからである。
「ふぅ……。五十鈴先生の処遇については学校へ報告しておきます。沙汰は追々ということとなりますね」
明可は怒ってこそいなかったが、精神的な疲れを顔に滲ませている。
「すみませんね。トラブルとはいえせっかくの作戦を台無しにして」
そう言って零士は頭を掻いた。
そんな零士の謝罪とは裏腹に、明可はにっこりと笑う。
「いえ、あそこで動かないような人達だったら、契約を打ち切っていました」
「九十九さん!」
「……やれやれ」
そこへ双葉まで賛同してくるものだから、零士は女性達の逞しさに呆れるのだった。
「この――良い年して女々しいですね!」
「まあ、待てよ。やっちまったことを考えると双葉ちゃんの方が分は悪いぜ」
「零士君……!」
珍しく零士が冷静にたしなめた。
「けどな! アンちゃんみたいな汚いことはしてねぇ!」
それでも、聖雄を許してはいなかった。
「ひっ!」
「アンちゃんのやったことが本当に恥ずかしくないことだってんなら出るとこ出れば良い」
身長180センチの巨躯に睨みを利かされ、聖雄は腰を抜かして後ずさった。零士もそれだけ言い放ち終えるとクズやろうから距離を取った。
騒ぎの処理もしなければならないし、何よりも依頼人の意向を伺わなければならなかったからである。
「ふぅ……。五十鈴先生の処遇については学校へ報告しておきます。沙汰は追々ということとなりますね」
明可は怒ってこそいなかったが、精神的な疲れを顔に滲ませている。
「すみませんね。トラブルとはいえせっかくの作戦を台無しにして」
そう言って零士は頭を掻いた。
そんな零士の謝罪とは裏腹に、明可はにっこりと笑う。
「いえ、あそこで動かないような人達だったら、契約を打ち切っていました」
「九十九さん!」
「……やれやれ」
そこへ双葉まで賛同してくるものだから、零士は女性達の逞しさに呆れるのだった。
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