9 / 20
8話目「エロ肉に痴漢できる暮らしを」柏崎 芳子
しおりを挟む
リズム良く、レールと車輪の間で揺れる巨大な箱。それに合わせて動く手がある。
電車の中で、柏崎 芳子は辟易していた。見渡す限り人、人、人――。
都心の列車内はあいも変わらず朝から混み合っているが、これでも『鈴彩』に入ってから随分と緩和されたのだ。それもこれも、上伊那都知事の新都心構想によって。
「……令彩元年から蔓延した『ピノッキオ・ウィルス』により、政治機能は一新されることとなった」
気を紛らわせるつもりで、近くに見えた新聞紙の内容を読み上げた。
「ふぅぅ……。嘘をつくと、一部分の肥大が発生するため、人は偽りから抜け出せたからだ」
周囲からの圧により、その引き締まっているようで隠しきれない肉体が悲鳴を上げる。身をしぼませるように息を吐くも、グズリと股下から不快感が湧き出た。
満員電車が憂鬱だった。今日は特に。
朝の早い時間に生徒と出会うことはまずないのだが、その日は部活もしていない者の顔があった。
「先生ぇ、どうしたんです? さっきから」
その生徒――鳩人は、後ろからねっとりまとわりつく声音で聞いた。
「ン……いえ、菅野君が手をぶつけてくるものだから、痛いだけよ……ァ」
お尻を撫でる掌の感覚への戸惑いをなんとか隠しつつ、芳子は答えた。ただ、それは自らで読み上げた結果を招くだけに終わった。
嘘を言えば先端に当たる部分が肥大して、擦れて快感を脳へと送る。
「えぇ? 僕は何もしてませんよ?」
鳩人はどこか白々しく言ってのけるも、その反応は偽りのないものだった。
芳子も、勘違いなのだろうかと考える。もしくは、わざとではないという可能性。
「フゥ、ンァッ……。このッ」
鳩人でないなら誰なのかと、久しく忘れていた感覚を振り払い、芳子は周囲に鋭い視線を巡らせた。キッ睨みつけられ、乗客は何事かと驚きつつ目線を切った。
それでも、スーツの上から撫でる手の動きは止まらない。的確に、女の快感を引き出す形で撫で擦る。服の上ということを考慮して、決して強くは触れずとも十分に伝わる力で。
お尻を、そして乳房にまで手を伸ばしてくる。
「ア、いや、そこ、駄目……」
身じろぎして振り払おうとするも、出てくる言葉は小さく見当違いだ。ここ数年、男旱だったこともあり快感に抗うことができない。
それでもなんとか気持ちを保ち、どこから手が伸びてくるのか把握する。
「どう、アフンッ、して……?」
問いかける言葉は、辛うじて鳩人に届く程度であった。
なぜそこから伸びてくるのか、どうして嘘をついても平気なのか、芳子は戸惑いつつも聞いた。そもそも嘘をついているのかさえ、身悶えしたい快感のせいで考えることができない。
「や、アァ……うそ……。ウゥンッ。胸、そんなに強く揉んだらァ、ァ~ッ」
なんと、お尻を撫で回すだけにとどまらず、手が前まできて肉厚な塊を揉みしだいた。サナほどのサイズであれば痛い程度のものだが、両手でも包み込めないレベルともなれば違う。
ただただ力任せにするのではなく、先端や乳輪を優しく愛撫する巧みささえ持ち合わせていた。そのせいか、男を忘れていた体は発情。
電車の音色にかき消されるほどのか細い声ではあるが、うっかり喘いでしまった。
羞恥に慌て、生徒が痴漢しているという事実に抵抗をためらってしまう。それが悪手であり、隙間を突いてお尻側から正面へ手が回る。
「そ、そこ、はッ……ア、アァッ、ハァ~ンッ……」
乳房に合わせて、股へと滑り込んだ指がショーツの上から恥豆を刺激した。
布越しでもわかるほどに陰唇は濡れそぼり、グシュッと水音さえ豊満に太ももを通して伝わる。割れ目をなぞるように指が動く度にクチュクチュ嘆く。恥骨から腰骨を通って性的快感が走り、腰が跳ねる。
周囲にバレていないかと視線を彷徨わせる。
「フゥ……フゥ……覚えて、なさい……」
今は我慢とときだと、チャンスがあることを知っていて芳子は意気がった。
普段からこの時間の電車に乗っているのだから、日常的なルーチンは理解していた。そして、数分後に到着する駅にはいつも鉄道警察をしている友人がいる。
「へぇ」
鳩人は感慨なく反応して、どこか手を抜いたように布越しに性感帯をいじくり回していった。
「クッ……や、め……ん~ッ。ハァ、ハァ」
このまま大人しく止めるようであれば、芳子も教育的指導ぐらいで終わらせても良いと思っていた。しかし、その期待も希望も打ち砕かれることとなる。
普通のアナウンスが流れた後、変わらず駅に電車は停止する。
扉が開くと同時に人の流れが外へと向かい、少し空いたおかげで芳子達の姿が見えるようになった。合わせて、ホームに立つ友人である女性も確認できた。
「ア、アァンッ! 流美! ゥァッ、アァ~!」
芳子は快感に堪えて、倉敷 流美に助けを求めた。なんとか呼びかけるも反応が残酷なのは、なぜなのか。
「ッ!」
なぜか、警官の流美は起こっていることを理解しながらも顔を逸したのだ。
そしてプシューと扉は閉まり、電車は無情にも走り出す。
電車の中で、柏崎 芳子は辟易していた。見渡す限り人、人、人――。
都心の列車内はあいも変わらず朝から混み合っているが、これでも『鈴彩』に入ってから随分と緩和されたのだ。それもこれも、上伊那都知事の新都心構想によって。
「……令彩元年から蔓延した『ピノッキオ・ウィルス』により、政治機能は一新されることとなった」
気を紛らわせるつもりで、近くに見えた新聞紙の内容を読み上げた。
「ふぅぅ……。嘘をつくと、一部分の肥大が発生するため、人は偽りから抜け出せたからだ」
周囲からの圧により、その引き締まっているようで隠しきれない肉体が悲鳴を上げる。身をしぼませるように息を吐くも、グズリと股下から不快感が湧き出た。
満員電車が憂鬱だった。今日は特に。
朝の早い時間に生徒と出会うことはまずないのだが、その日は部活もしていない者の顔があった。
「先生ぇ、どうしたんです? さっきから」
その生徒――鳩人は、後ろからねっとりまとわりつく声音で聞いた。
「ン……いえ、菅野君が手をぶつけてくるものだから、痛いだけよ……ァ」
お尻を撫でる掌の感覚への戸惑いをなんとか隠しつつ、芳子は答えた。ただ、それは自らで読み上げた結果を招くだけに終わった。
嘘を言えば先端に当たる部分が肥大して、擦れて快感を脳へと送る。
「えぇ? 僕は何もしてませんよ?」
鳩人はどこか白々しく言ってのけるも、その反応は偽りのないものだった。
芳子も、勘違いなのだろうかと考える。もしくは、わざとではないという可能性。
「フゥ、ンァッ……。このッ」
鳩人でないなら誰なのかと、久しく忘れていた感覚を振り払い、芳子は周囲に鋭い視線を巡らせた。キッ睨みつけられ、乗客は何事かと驚きつつ目線を切った。
それでも、スーツの上から撫でる手の動きは止まらない。的確に、女の快感を引き出す形で撫で擦る。服の上ということを考慮して、決して強くは触れずとも十分に伝わる力で。
お尻を、そして乳房にまで手を伸ばしてくる。
「ア、いや、そこ、駄目……」
身じろぎして振り払おうとするも、出てくる言葉は小さく見当違いだ。ここ数年、男旱だったこともあり快感に抗うことができない。
それでもなんとか気持ちを保ち、どこから手が伸びてくるのか把握する。
「どう、アフンッ、して……?」
問いかける言葉は、辛うじて鳩人に届く程度であった。
なぜそこから伸びてくるのか、どうして嘘をついても平気なのか、芳子は戸惑いつつも聞いた。そもそも嘘をついているのかさえ、身悶えしたい快感のせいで考えることができない。
「や、アァ……うそ……。ウゥンッ。胸、そんなに強く揉んだらァ、ァ~ッ」
なんと、お尻を撫で回すだけにとどまらず、手が前まできて肉厚な塊を揉みしだいた。サナほどのサイズであれば痛い程度のものだが、両手でも包み込めないレベルともなれば違う。
ただただ力任せにするのではなく、先端や乳輪を優しく愛撫する巧みささえ持ち合わせていた。そのせいか、男を忘れていた体は発情。
電車の音色にかき消されるほどのか細い声ではあるが、うっかり喘いでしまった。
羞恥に慌て、生徒が痴漢しているという事実に抵抗をためらってしまう。それが悪手であり、隙間を突いてお尻側から正面へ手が回る。
「そ、そこ、はッ……ア、アァッ、ハァ~ンッ……」
乳房に合わせて、股へと滑り込んだ指がショーツの上から恥豆を刺激した。
布越しでもわかるほどに陰唇は濡れそぼり、グシュッと水音さえ豊満に太ももを通して伝わる。割れ目をなぞるように指が動く度にクチュクチュ嘆く。恥骨から腰骨を通って性的快感が走り、腰が跳ねる。
周囲にバレていないかと視線を彷徨わせる。
「フゥ……フゥ……覚えて、なさい……」
今は我慢とときだと、チャンスがあることを知っていて芳子は意気がった。
普段からこの時間の電車に乗っているのだから、日常的なルーチンは理解していた。そして、数分後に到着する駅にはいつも鉄道警察をしている友人がいる。
「へぇ」
鳩人は感慨なく反応して、どこか手を抜いたように布越しに性感帯をいじくり回していった。
「クッ……や、め……ん~ッ。ハァ、ハァ」
このまま大人しく止めるようであれば、芳子も教育的指導ぐらいで終わらせても良いと思っていた。しかし、その期待も希望も打ち砕かれることとなる。
普通のアナウンスが流れた後、変わらず駅に電車は停止する。
扉が開くと同時に人の流れが外へと向かい、少し空いたおかげで芳子達の姿が見えるようになった。合わせて、ホームに立つ友人である女性も確認できた。
「ア、アァンッ! 流美! ゥァッ、アァ~!」
芳子は快感に堪えて、倉敷 流美に助けを求めた。なんとか呼びかけるも反応が残酷なのは、なぜなのか。
「ッ!」
なぜか、警官の流美は起こっていることを理解しながらも顔を逸したのだ。
そしてプシューと扉は閉まり、電車は無情にも走り出す。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【R18】淫魔の道具〈開発される女子大生〉
ちゅー
ファンタジー
現代の都市部に潜み、淫魔は探していた。
餌食とするヒトを。
まず狙われたのは男性経験が無い清楚な女子大生だった。
淫魔は超常的な力を用い彼女らを堕落させていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる