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QUEST26.合流成功

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「あー、やっぱりそう思いますか」

 それはレベルもである。

「いやねぇ~。レベルちゃんも普通じゃないわよぉ?」

 アコニムは苦笑を浮かべながら、レベルの『普通』ではないところを指摘する。

「?」

 しかし、レベル自身は人との交流自体が少ないせいか、アコニムに言う部分を理解していなかった。

「見た目が変化すること自体で力を得るのは私も見たことないわぁ~」

 アコニムは説明していく。

 ただ、メログが茶々を入れなければもっとスムーズに話が進んだことだろう。

「見た目も随分とクるものがあるしな」

「ッ!」

 変身の影響で服が破けた格好を指摘され、レベルは驚いて体を隠そうとした。

「あらぁ~、気が回らなくてごめんなさいねぇ~~。セーラちゃんも隠すもの、いるぅ?」

「自制せんかッ……」

 アコニムは、男の目もあるということを思い出して自分のマントをレベルに貸した。ハッターも呆れた様子でメログをたしなめた。

 メログは「はいはい」と、反省しているようには見えない態度で肩をすくめる。

 セーラはセーラで、アコニムから上着のベストを勧められるもつっけんどんに断る。

「いらない」

「あらあらぁ~」

 アコニムは気を悪くした様子もなく、改めてレベルの知らない話を再開した。それらは、見られていたのかと思う反面でレベルも感心するものだった。

 曰く――。

 肉体が変化する"ギフト"は多くある。ただ、アコニム達が見てきたものはいずれも2つに分類される。

 一つは、チェシーの【ドーマウス】のように体の一部を変形・増強するもの。

 もう一つは、"ギフト"を使用するにあたって何らかの器官を生み出すもの。

 レベルの【ブロッサム】は後者の方になる。ように見えるが、同時に肉体の強度や身体能力を上昇させている。

 彼らとて人間の持つ"ギフト"を網羅しているわけではないため、そういった"ギフト"が全くないとは言い切れない。それでも、十分に希少だというのは確かだろう。

「――ということなのよぉ~」

「そうだったんですか。とても参考になりました」

 アコニムの説明が終わって、レベルは感謝すると同時に自分が誇らしいと思うのだった。その優しさゆえに、ただ戦い傷つけ合うだけの力に辟易していたからだ。

 ただ感情のままに振り回し、自らが能力に振り回されることもあったぐらいである。

「そろそろ良い?」

 話が終わったあたりで、セーラはレベル達にもう口を挟んでも良いかと聞いた。

 皆が何事かとそちらを向くと、言い出した当人は何も言わずにやや傾いた岩の柱を駆け上っていく。

 レベルはそれだけで、セーラが"メタリングダンサー"を発見したのだと理解した。正直、擬態して地面に潜っているのをどうして発見できるのかわからない。

「大物の方を見つけたようです。少し失礼しますね」

 レベルはアコニム達に一言断ると、セーラの視線の先へと走った。

 セーラはその後ろを、石柱を蹴って加速しながらついていく。一切の躊躇いがない水平滑空により、数秒後にはセーラの姿はほぼ見えなくなった。

 レベルを追い抜いたところで柱に足を引っ掛け一回転。ヒラリと地面に着地したところで、ちょうど良い具合に前方からロイスと見知らぬ誰かがやってくる。多分、アコニム達の欠けていた仲間だろうと予測する。

「良いタイミング」

「うん、こっちも出てきてくれるところみたいだね」

 セーラとロイスは合流を果たし、好都合にも"メタリングダンサー"が擬態を解除してくれた。

 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 ――キュロギュロロロロロロッ!

 三人も獲物が近づいてきたら狙わざるを得ないだろう。

「へぇ……おりあえず、合流できたようで何より。さて、俺は退散するよ。また会おう」

 ノーフィスは関心した後にキザなセリフを言うと、この場を去ろうとした。が、当然ながら"メタリングダンサー"は再会など果たさせてはくれない。

 流線型の足を3本ずつ、この場にいる三人へと放つのだ。

「勘弁して欲しいぜ」

 ノーフィスはボヤいた。ロイス達と打って変わってバッドタイミングだったようである。

 それでもなお、襲いかかってくる足を余裕の表情で避け続ける様はS級といったところだろう。逃げようと思えば逃げられそうなものを、ロイス達に見せつけるかのように回避に努めるのだ。

 ロイスとしては早く立ち去って欲しかったが、とりあえずはギリギリのところで七転びしながら躱す。

 セーラはここまでの移動を見せてしまったために下手に力は抜けず、素早い動きで足を引き離し続ける。

「ほぉほぉ」

 ノーフィスはそれらの状況を、何やら関心したように眺めるのだった。

「セーラ、レベル、はッ?」

「知らな……やられた……」

 ロイスは意に介さず、必死に演技をしながらも、いるはずのレベルがいないことに気づいて聞いた。セーラは問われ、そのときになって漸く違和感の正体に気づくのだった。

 セーラが気づいたということに、ノーフィスもまた気づく。
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