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第一章 贄と学園の謎
026 チョコレートケーキの暖かさ
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早めに就寝したが、ふと人の気配がして目を開けた。
ベッドの横で、椅子を引っ張ってきた紫影が座っている。足を優雅に組み、微笑んでいた。
「え……なん、で…………?」
「忍び込んできた」
「なんで……?」
「忍び込んできた」
聞こえていないと思ったのか、紫影は二度繰り返す。
聞きたかったのは「なぜ鍵を開けられたのか」だったが、会いにきてくれた嬉しさで、どうでもよくなった。すべては審判者だからでかたがつく。
「起きないのなら手紙の返事だけ残しておこうと思ったが、目覚めてよかった。ケーキありがとう。美味しかった」
「ケーキ?」
「チョコレートケーキだ。家庭科の授業で作ったんだろう?」
何の授業を受けているのか筒抜けだ。
今日一日の出来事が頭の中で切り替わっていき、思い出した。
「あれ……捨てたはずじゃ……」
「お前が会いにきてくれたというからロビーに行くと、何かを持ったままちょうどお前が出ていくところだった。追いかけようと思ったが、千歳に止められてな」
「──っ…………」
「ゴミ箱にお前が持っていたものが入っていた。……あんなに美味いケーキは初めてだ」
「外の世界では……もっと美味いものがあるんだろ」
「それでも、俺はお前が作ったケーキが世界一だと思っている」
「……そう」
「解決したって顔はしてないな」
大きな手が頭を撫でてくる。なぜか懐かしい感じがした。
「千歳のことか?」
「まあ……。千歳も紫影に会いにきたのか?」
「いや、千歳は葵に」
「葵さん?」
意外だった。てっきり紫影に会いにきたものとばかり思っていた。
「身内に甘えるつもりもあり、渡したかったんだろう」
「そういうものか……」
「一つ約束してくれ」
紫影は小指を差し出してきたので、首を傾けた。
「これからは一人で突っ走らないで、ちゃんと聞いてくれ。今回の件は、もし千歳が俺にケーキを届けようとしたとしても、お前と俺の仲には関係のないことだ。俺はお前からもらえるのが一番嬉しい」
「そ、そっか……」
小指の意味が判らず、紫影の指と顔を交互に見つめる。
「外の世界では小指と小指を絡ませ、約束を交わすんだ」
「そうなのか? こう……?」
「ああ」
紫影は何度か上下に振った後、指を離した。
寂しくて目で追うと、代わりに顔が近づいてくる。
すぐにキスだと判り、顔を斜めにした。
「んっ…………」
音を立てた軽いキスをし、一度離れる。
今度は深く舌を入れ、絡め合った。
混じり合った唾液を飲み込み、目と目が合う。
「咲紅…………」
パジャマのボタンに手が伸びてくる。
咲紅は枕に顔を埋め、紫影の背中に腕を回した。
「紫影隊長、千歳が面会をご希望です」
「すぐ行く」
用件がなくても会いにきて構わないが、それはあくまで擬似恋愛の対象者であればの話だ。もちろんそうでなくても構わないが、千歳の相手は他にいる。
「あの……隊長」
「なんだ?」
またしても扉の叩く音と、遠慮がちな部下の声がした。
「咲紅もやってきたのですが……」
「わかった」
すぐに立ち上がると、上着を着た。
別々に呼びにきたのは、ふたりは一緒に来たわけではない。
あの二人はずっと一緒に行動していたが、最近は別々にいることが多いと報告があった。
原因は恋愛の揉め事だ。千歳の気持ちに答えられないが、咲紅と仲違いしてほしいわけではない。うまいこといかないものかと頭を悩ませるが、大人になろうとする年頃の咲紅に任せておくべきだとも考えている。
廊下から、何かを持っている千歳が見えた。微かに甘い香りがする。
咲紅たちは今日、家庭科の授業があったはずだ。いつもは部屋で授業を受けているので、楽しくて仕方なかっただろう。顔が綻びそうになるが、唇の端に力を入れた。
「紫影隊長っ……!」
「どうかしたのか?」
見当はついても、答えることができないもどかしさ。恋慕は心に突き刺さるほど理解できる。
「あ、あの……これ……」
「葵にか?」
ひどい物言いだが、受け取るわけにはいかなかった。
理由は贄生だからだ。彼が巫覡になれば、別れを告げなければならなくなる。兄のような感情を持つ前に、早めに区切りをつけたかった。
恋愛感情もあるだろうが、千歳の目は強い者を求める目をしている。守ってくれる騎士を側に置きたいと強く訴えていた。
「紫影……隊長に食べてもらいたくて……」
「感心はしないな。お前には葵がいるはずだ。受け取れば他の贄生から誤解を招く」
小さな身体がさらに小さくなった。咲紅の弟のような存在で、庇護欲がかき立てられるのもわかる。
「渡しては……いけなかったんですか?」
「受け取ってはいけないという規則はないが、審判者それぞれに考え方を任されているところがある」
「千歳」
葵が現れた。現状を見て把握したようだ。
「紫影隊長、私が引き受けます」
「よろしく頼む」
千歳にわからないよう目の端で捉えたが、咲紅は紫影と千歳の姿を見てすぐに本署から出ていってしまった。大方、誤解をしたのだろう。
「なんだ?」
追いかけようとすると、ゴミ箱に紙袋が入っている。前にも反省文と手紙を捨てた経緯があるので、すぐに咲紅が捨てたものだと判断した。
中身は千歳が持っていた同じチョコレートケーキだ。それと手紙。短い文だが、込められた愛情は計り知れない。
ロビーに葵と千歳はもういなかった。手に持つものを見られたくなかったので、右腕の行動に感謝した。
ゴミ箱に捨てたからか、カットされたケーキは少しの歪みがある。苦めのコーヒーを淹れてひと口食べた。
「……美味い」
あれだけ小さかった子供が、今はケーキを作れるようになった。呼吸すらままならなかった赤ん坊が、だ。
目の奥にじんわりくるものが溜まっていく。審判者として他の警備隊員へ示しがつかないと瞼を押さえこらえるが、浮かぶのは咲紅の幼少期だ。
毎日の学食を見るに、咲紅は甘いものが好きだ。それは子供の頃から変わらず、どんな思いでケーキを持ってきてくれたのかと思うと胸が痛む。本人が一番食べたかっただろう。
紫影は外の世界へ出ればいつだってケーキ屋でも和菓子屋へも自由気ままに行ける。だが咲紅は違う。学食のメニューからある程度好きなものを選択できても、種類が多いわけではない。デザートだって毎回ついていない。
ひと口ずつ噛みしめながら平らげた。一緒に住んだら、作ってくれるだろうか? それとも作ってほしいとねだるだろうか。
ベッドの横で、椅子を引っ張ってきた紫影が座っている。足を優雅に組み、微笑んでいた。
「え……なん、で…………?」
「忍び込んできた」
「なんで……?」
「忍び込んできた」
聞こえていないと思ったのか、紫影は二度繰り返す。
聞きたかったのは「なぜ鍵を開けられたのか」だったが、会いにきてくれた嬉しさで、どうでもよくなった。すべては審判者だからでかたがつく。
「起きないのなら手紙の返事だけ残しておこうと思ったが、目覚めてよかった。ケーキありがとう。美味しかった」
「ケーキ?」
「チョコレートケーキだ。家庭科の授業で作ったんだろう?」
何の授業を受けているのか筒抜けだ。
今日一日の出来事が頭の中で切り替わっていき、思い出した。
「あれ……捨てたはずじゃ……」
「お前が会いにきてくれたというからロビーに行くと、何かを持ったままちょうどお前が出ていくところだった。追いかけようと思ったが、千歳に止められてな」
「──っ…………」
「ゴミ箱にお前が持っていたものが入っていた。……あんなに美味いケーキは初めてだ」
「外の世界では……もっと美味いものがあるんだろ」
「それでも、俺はお前が作ったケーキが世界一だと思っている」
「……そう」
「解決したって顔はしてないな」
大きな手が頭を撫でてくる。なぜか懐かしい感じがした。
「千歳のことか?」
「まあ……。千歳も紫影に会いにきたのか?」
「いや、千歳は葵に」
「葵さん?」
意外だった。てっきり紫影に会いにきたものとばかり思っていた。
「身内に甘えるつもりもあり、渡したかったんだろう」
「そういうものか……」
「一つ約束してくれ」
紫影は小指を差し出してきたので、首を傾けた。
「これからは一人で突っ走らないで、ちゃんと聞いてくれ。今回の件は、もし千歳が俺にケーキを届けようとしたとしても、お前と俺の仲には関係のないことだ。俺はお前からもらえるのが一番嬉しい」
「そ、そっか……」
小指の意味が判らず、紫影の指と顔を交互に見つめる。
「外の世界では小指と小指を絡ませ、約束を交わすんだ」
「そうなのか? こう……?」
「ああ」
紫影は何度か上下に振った後、指を離した。
寂しくて目で追うと、代わりに顔が近づいてくる。
すぐにキスだと判り、顔を斜めにした。
「んっ…………」
音を立てた軽いキスをし、一度離れる。
今度は深く舌を入れ、絡め合った。
混じり合った唾液を飲み込み、目と目が合う。
「咲紅…………」
パジャマのボタンに手が伸びてくる。
咲紅は枕に顔を埋め、紫影の背中に腕を回した。
「紫影隊長、千歳が面会をご希望です」
「すぐ行く」
用件がなくても会いにきて構わないが、それはあくまで擬似恋愛の対象者であればの話だ。もちろんそうでなくても構わないが、千歳の相手は他にいる。
「あの……隊長」
「なんだ?」
またしても扉の叩く音と、遠慮がちな部下の声がした。
「咲紅もやってきたのですが……」
「わかった」
すぐに立ち上がると、上着を着た。
別々に呼びにきたのは、ふたりは一緒に来たわけではない。
あの二人はずっと一緒に行動していたが、最近は別々にいることが多いと報告があった。
原因は恋愛の揉め事だ。千歳の気持ちに答えられないが、咲紅と仲違いしてほしいわけではない。うまいこといかないものかと頭を悩ませるが、大人になろうとする年頃の咲紅に任せておくべきだとも考えている。
廊下から、何かを持っている千歳が見えた。微かに甘い香りがする。
咲紅たちは今日、家庭科の授業があったはずだ。いつもは部屋で授業を受けているので、楽しくて仕方なかっただろう。顔が綻びそうになるが、唇の端に力を入れた。
「紫影隊長っ……!」
「どうかしたのか?」
見当はついても、答えることができないもどかしさ。恋慕は心に突き刺さるほど理解できる。
「あ、あの……これ……」
「葵にか?」
ひどい物言いだが、受け取るわけにはいかなかった。
理由は贄生だからだ。彼が巫覡になれば、別れを告げなければならなくなる。兄のような感情を持つ前に、早めに区切りをつけたかった。
恋愛感情もあるだろうが、千歳の目は強い者を求める目をしている。守ってくれる騎士を側に置きたいと強く訴えていた。
「紫影……隊長に食べてもらいたくて……」
「感心はしないな。お前には葵がいるはずだ。受け取れば他の贄生から誤解を招く」
小さな身体がさらに小さくなった。咲紅の弟のような存在で、庇護欲がかき立てられるのもわかる。
「渡しては……いけなかったんですか?」
「受け取ってはいけないという規則はないが、審判者それぞれに考え方を任されているところがある」
「千歳」
葵が現れた。現状を見て把握したようだ。
「紫影隊長、私が引き受けます」
「よろしく頼む」
千歳にわからないよう目の端で捉えたが、咲紅は紫影と千歳の姿を見てすぐに本署から出ていってしまった。大方、誤解をしたのだろう。
「なんだ?」
追いかけようとすると、ゴミ箱に紙袋が入っている。前にも反省文と手紙を捨てた経緯があるので、すぐに咲紅が捨てたものだと判断した。
中身は千歳が持っていた同じチョコレートケーキだ。それと手紙。短い文だが、込められた愛情は計り知れない。
ロビーに葵と千歳はもういなかった。手に持つものを見られたくなかったので、右腕の行動に感謝した。
ゴミ箱に捨てたからか、カットされたケーキは少しの歪みがある。苦めのコーヒーを淹れてひと口食べた。
「……美味い」
あれだけ小さかった子供が、今はケーキを作れるようになった。呼吸すらままならなかった赤ん坊が、だ。
目の奥にじんわりくるものが溜まっていく。審判者として他の警備隊員へ示しがつかないと瞼を押さえこらえるが、浮かぶのは咲紅の幼少期だ。
毎日の学食を見るに、咲紅は甘いものが好きだ。それは子供の頃から変わらず、どんな思いでケーキを持ってきてくれたのかと思うと胸が痛む。本人が一番食べたかっただろう。
紫影は外の世界へ出ればいつだってケーキ屋でも和菓子屋へも自由気ままに行ける。だが咲紅は違う。学食のメニューからある程度好きなものを選択できても、種類が多いわけではない。デザートだって毎回ついていない。
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