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ロリコン疑惑 2
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その頃、ダヤンは困っていた。スラムのギャングのボスが、アルミを差し出せと言ってきているからだ。今までは、言葉を濁して誤魔化し続けてきたが、ついに殴る蹴るの暴行を受け
「今夜だ、今夜連れて来なければ、明日の朝には、お前らの掘っ立て小屋に行って、お前は殺して、アルミを連れて行く。おい、ダンテス、こいつと一緒に行って見張れ。逃げようとしたら殺していいぞ」
ギャングのボスは、一旦言葉を切ると、手で弄んでいたナイフの切っ先をダヤンに向け
「いいな、今夜だ」
と言って、手を払うような仕草をしてダヤンを部屋から追い出した。
小屋に戻ったダヤンは、困り果てていた。隣には、屈強な大男のダンテスがいる。アルミは、『その人は誰?』と聞こうとしたが、怖くて聞くことが出来なかった。
狭い小屋の中で、無言のままで時間だけが過ぎていく。
「め、飯を食おう」
気まずい沈黙に耐え切れなくなったようにダヤンが口を開いた。
「でも、食べるものがないよ」とアルミが恐る恐る答える。
「そ、そうか、今日はごみ場を漁りに行っていなかったな」
「通りに物乞いに行こうか?」とアルミが聞くと大男がギロリと睨んだ。
それを見たダヤンは、
「いや、止めておこう」とダヤンが答えるが、そのときアルミのお腹がグ~と鳴った。
「ダヤン、お腹が空いた」とアルミが消え入りそうな声で訴える。
「アルミ、もう寝ろ」
ダヤンはそう言うしかなかった。
夜が更けて、小屋の中で起きているのはダヤンとダンテスの2人だけだ。
『この男は寝ないのか』とダヤンが焦っていると、
「おい、そろそろやれ」と大男が囁いた。
ダヤンはギョッとして大男を見たが、その目を見て心が折れた。
ダヤンは、ギャングのボスから預かった大きな袋を持ち出して、眠っているアルミに近づくと、アルミの腕を掴まえて、うつ伏せにして、膝で背中を押さえた。
「えっ、何?痛い」とアルミは悲鳴を上げ、顔だけで振り返って、ダヤンが背中に乗っているのを見ると
「ダヤン、何をするのよ?」とアルミが怯えた声を上げる。
「うるさい、黙れ」
ダヤンはアルミの手を素早く後ろでくくると、そのまま背中に馬乗りになって猿靴を噛ませた。
「う~、う~」アルミが抗議の声を上げる。
ダヤンは、アルミに馬乗りになったまま、反対側に向きを変えて、足首も縛ってしまう。
ダヤンはアルミを寝転せたまま、用意していた大きな袋をアルミの頭から被せて、袋に押し込んでしまった。
「う~う~」と弱々しい抗議の声が上がるが
「煩い、静かにしろ」とダヤンに袋の上から何度か蹴られると、アルミは静かになった。
ダヤンはその袋を引き摺って、小屋を出て、ギャングのボスのいる建物まで行った。
大男はそれに手を貸さずにその後を付いて行く。
建物の入り口では柄の悪そうな巨漢が一人、樽に腰を掛けていた。
ダヤンは、ダンテスを振り返ったが、大男はそっぽを向いている。仕方なくダヤンは、入り口の巨漢に、
「ブルックさんを呼んでくれ」と声を掛ける。
「何だ、お前は?」
樽に腰掛けた男が面倒臭そうに聞いてくる。
「ダヤンだよ。ブルックさんに、持ってきたと伝えてくれたら分る」
怯えながらもダヤンが答えると、男はドアに付いている小窓を開けて、何事か話していた。
暫くするとドアが開いて、別のギャングが顔を出した。
男は頭を傾けて、入れと合図をすると、中に引っ込んだ。ダヤンはアルミを押し込んだ袋を両手で抱えて、ドアの中に入っていった。
ダヤンは男に殴られて、椅子をひっくり返しながら転がった。
「遅いじゃねえか」
ダヤンは、口の周りを血だらけにしながら
「アルミが寝るまで待ってたから」
「口答えするんじゃねえ」
男は軽快にダヤンに近づくと、思いっ切り腹を蹴り上げた。
ダヤンは壁際まで吹っ飛んで蹲っている。
「おい、そのゴミを路地裏に捨てておけ」
ブルックが手下にそう命じたとき、
「何故、あの小僧に連れてこさせるような手間をかけるんです?」とダンテスが聞く。
ブルックはニヤリと笑って、
「いいか、この小娘は、あの小僧が誘拐したんだ。俺達は何もしていない。袋を預かっただけだ。誰に聞かれても、そう答えることが出来るだろう。覚えておけ」
と、袋の口を開けてアルミの顔を確認すると
「こいつは高く売れそうだ」
と言いながら、アルミを再び袋に押し込んで脇に抱えて階段を上がっていった。
「今夜だ、今夜連れて来なければ、明日の朝には、お前らの掘っ立て小屋に行って、お前は殺して、アルミを連れて行く。おい、ダンテス、こいつと一緒に行って見張れ。逃げようとしたら殺していいぞ」
ギャングのボスは、一旦言葉を切ると、手で弄んでいたナイフの切っ先をダヤンに向け
「いいな、今夜だ」
と言って、手を払うような仕草をしてダヤンを部屋から追い出した。
小屋に戻ったダヤンは、困り果てていた。隣には、屈強な大男のダンテスがいる。アルミは、『その人は誰?』と聞こうとしたが、怖くて聞くことが出来なかった。
狭い小屋の中で、無言のままで時間だけが過ぎていく。
「め、飯を食おう」
気まずい沈黙に耐え切れなくなったようにダヤンが口を開いた。
「でも、食べるものがないよ」とアルミが恐る恐る答える。
「そ、そうか、今日はごみ場を漁りに行っていなかったな」
「通りに物乞いに行こうか?」とアルミが聞くと大男がギロリと睨んだ。
それを見たダヤンは、
「いや、止めておこう」とダヤンが答えるが、そのときアルミのお腹がグ~と鳴った。
「ダヤン、お腹が空いた」とアルミが消え入りそうな声で訴える。
「アルミ、もう寝ろ」
ダヤンはそう言うしかなかった。
夜が更けて、小屋の中で起きているのはダヤンとダンテスの2人だけだ。
『この男は寝ないのか』とダヤンが焦っていると、
「おい、そろそろやれ」と大男が囁いた。
ダヤンはギョッとして大男を見たが、その目を見て心が折れた。
ダヤンは、ギャングのボスから預かった大きな袋を持ち出して、眠っているアルミに近づくと、アルミの腕を掴まえて、うつ伏せにして、膝で背中を押さえた。
「えっ、何?痛い」とアルミは悲鳴を上げ、顔だけで振り返って、ダヤンが背中に乗っているのを見ると
「ダヤン、何をするのよ?」とアルミが怯えた声を上げる。
「うるさい、黙れ」
ダヤンはアルミの手を素早く後ろでくくると、そのまま背中に馬乗りになって猿靴を噛ませた。
「う~、う~」アルミが抗議の声を上げる。
ダヤンは、アルミに馬乗りになったまま、反対側に向きを変えて、足首も縛ってしまう。
ダヤンはアルミを寝転せたまま、用意していた大きな袋をアルミの頭から被せて、袋に押し込んでしまった。
「う~う~」と弱々しい抗議の声が上がるが
「煩い、静かにしろ」とダヤンに袋の上から何度か蹴られると、アルミは静かになった。
ダヤンはその袋を引き摺って、小屋を出て、ギャングのボスのいる建物まで行った。
大男はそれに手を貸さずにその後を付いて行く。
建物の入り口では柄の悪そうな巨漢が一人、樽に腰を掛けていた。
ダヤンは、ダンテスを振り返ったが、大男はそっぽを向いている。仕方なくダヤンは、入り口の巨漢に、
「ブルックさんを呼んでくれ」と声を掛ける。
「何だ、お前は?」
樽に腰掛けた男が面倒臭そうに聞いてくる。
「ダヤンだよ。ブルックさんに、持ってきたと伝えてくれたら分る」
怯えながらもダヤンが答えると、男はドアに付いている小窓を開けて、何事か話していた。
暫くするとドアが開いて、別のギャングが顔を出した。
男は頭を傾けて、入れと合図をすると、中に引っ込んだ。ダヤンはアルミを押し込んだ袋を両手で抱えて、ドアの中に入っていった。
ダヤンは男に殴られて、椅子をひっくり返しながら転がった。
「遅いじゃねえか」
ダヤンは、口の周りを血だらけにしながら
「アルミが寝るまで待ってたから」
「口答えするんじゃねえ」
男は軽快にダヤンに近づくと、思いっ切り腹を蹴り上げた。
ダヤンは壁際まで吹っ飛んで蹲っている。
「おい、そのゴミを路地裏に捨てておけ」
ブルックが手下にそう命じたとき、
「何故、あの小僧に連れてこさせるような手間をかけるんです?」とダンテスが聞く。
ブルックはニヤリと笑って、
「いいか、この小娘は、あの小僧が誘拐したんだ。俺達は何もしていない。袋を預かっただけだ。誰に聞かれても、そう答えることが出来るだろう。覚えておけ」
と、袋の口を開けてアルミの顔を確認すると
「こいつは高く売れそうだ」
と言いながら、アルミを再び袋に押し込んで脇に抱えて階段を上がっていった。
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