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第2章 1ヶ月のタイムリミット

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ユミルは3日間寝込んだ。
度々起き上がってフクの餌を補充したが、それ以外は長く起きていることができず、ひたすら眠っていた。
2日目以降は流石にフクが心配して、寝ているユミルの周りをウロウロとしているのが何となくわかった。

「気づいたら、あと1週間と少ししかないわ…。」

求職活動の1ヶ月、既に半分を過ぎていたうえに、ほぼ1週間を杖の修復と休息に当ててしまった。当然、先日受けた採用面接は不採用だった。

北部の魔獣討伐は苦戦しているようだから万一修復に文句がなくてもお金がもらえるのは先になるだろう。
やはり、お金を先にもらっておくべきだったか、とタイムリミットを再認識したユミルは今更になって考えてしまう。

「このマンションもマンスリーだし、また無職、無住所の危機が…。どうしよう、フク~。」
『先月と住所が変わっているだけで、状況は変わらなかったね。』
「…うん、わかっているけど、ストレートに傷を抉らないで…。」

これは本当に田舎に帰って仕事を探すしかないかもしれない、とユミルは肩を落とす。

_____

ユミルはその後、数日間求人を探したが、すぐに選考を受けられそうな求人は無かった。
タイムリミットが近づく夜、ユミルはとうとう諦めて、田舎の家族へ手紙を書こうと机に向かっていた。

-ドン、ドン、ドン!

アデレートがドアを叩いたときよりもずっと大きな力でドアが叩かれる音がした。

ユミルとフクは驚いて体を揺らした後、お互いに目を見合わせた。まだ夜更けとは言えないが、こんな時間に尋ねてくる知り合いは、先日のアデレードの件を除けばいないはずだ。

ユミルは音を立てないようにドアに近づくと、ドアスコープを覗いた。
来客はドアのとても近くに立っているようで、胸元しか見えない。衣服は、シンプルだが凝った刺繍のされている高そうな詰襟だ。このような服を着る男性に、ユミルは全く覚えがなく、困惑した。

-ドン、ドン、ドン、ドン!

再び強く叩かれたドアに、ユミルは恐る恐るドアの向こう側に話しかけた。

「あの!どちらさまでしょうか?」

「夜分に申し訳無い。レイン・オズモンドだ。」
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