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23 快楽で上塗りされるもの *
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ビアトリスもティヌリエルも、リチャード=オールコックに恋をしている。
ヒサエルディスは、その確信をどうしても打ち消せない。
あれからリチャードに呼び出されては、唇を重ねている。彼の力強い腕に絡め取られつつ、キスをしていると、腹の奥が、落ち着かない心地になる。
これまで培った知識を総動員して、それ以上先に起こりうることへの覚悟は持っているつもりだったが、彼から仕掛けては来なかった。
彼らの逢引きする場所が悪いのかもしれない。ヒサエルディスの朧な印象によれば、それはベッドの上で行われるものだった。
リチャードと親密な関係を築いたヒサエルディスの目から見ると、ビアトリスはティヌリエルの接待を口実にリチャードを訪問し過ぎであり、ティヌリエルもまた、魔法の研究調査を名目に、彼へ話しかけ過ぎる。
当のリチャードも、両王女に対して丁重で親切に応じ、ますます彼女たちの熱を上げるように見えた。
「俺は、元平民の魔術師に過ぎない。王女様とは身分が違う」
ヒサエルディスが、思い切って王女たちとの関係を問うと、リチャードは説いた。
「仮に、俺が王女様に惚れても、あちらでお断りするさ。王族は血筋が大事だからな」
彼の言うのは人間に関してであり、エルフの感覚とは微妙に異なった。しかし、彼女はその差について、彼にくどくどしく説明しなかった。それよりも、二人で楽しく過ごす時間を多く取りたかった。
今ではヒサエルディスは、リチャードの精液を飲ませて貰えるほどになった。
「俺の、こんな部分を晒せるのも、咥えさせるのも、お前だけだ」
彼は、その陰茎を口いっぱい頬張る彼女の頭を、両手で押さえつける。彼女が舌で上手く刺激できると、艶を含んだ声が聞ける。
他の者に漏れ聞かれないよう、抑える様も色っぽく、彼女の下半身は、いつも湿り気を帯びるのであった。
「ヒサエルディスは、人間と結婚することについて、どう思う?」
ティヌリエルに問われ、王女の髪をブラシで梳いていたヒサエルディスは、思わず手を止めた。
まさに、彼女が現在悩んでいる問題であった。王女がその質問を発した事が、衝撃だった。
「寿命が違い過ぎて、現実的ではないと思うわ」
「やっぱり、そう思う?」
ティヌリエルは、何故か楽しそうに言う。ヒサエルディスは、余計な口を利かぬよう、仕事の手を早めた。
公的訪問中に、恋愛関係を取り結ぶのは好ましくない、とリチャードから聞かされていた。
少なくとも一旦帰国して、職務外で個人的に交際を始めた、と言う体裁を整えるまでは、関係を公にすべきでない、との意である。
「リチャード様は、優れた魔術師だわ。今執筆に取り掛かっている本が完成したら、人間の世界が一変するわよ」
聞き捨てならない発言だった。
リチャードが、仕事の合間に原稿を書いていることは、知っていた。
ヒサエルディスは、内容を尋ねたことがない。古代語で記すからには、読者を限定したいのだろう、とは思っていた。
侍女の身分で、許可もなく書類や本を見てはならない、とこれまで我慢を重ねていたのである。リウメネレンの蔵書を読み漁ってきた彼女にとって、今の状況は、ある種の拷問であった。
ティヌリエルは王族の常として、古代語にも堪能である。いくら王女であっても、彼の側で本を読むふりをしながら、勝手に盗み見て、発表前の内容を漏らすのは、行儀が悪いでは済まされない。
その内容によっては、下手をすれば、外交問題になりかねない。
そんなに重大な内容なら、執筆場所にも気を配るだろう。ヒサエルディスも、どこかで分かってはいた。彼女は王女に嫉妬していたのである。
王女が彼を、自然にリチャードと名前で呼んだことも、引っかかった。
「ティヌリエル様。公開前の本の内容を、著者の許可なく広めてはいけません」
「わかっているわよ。そんな生真面目にお説教しないで。貴女だから、特別に教えたのよ」
「ありがとうございます」
と、ヒサエルディスは応じたが、内心ではひどく動揺した。
王女が仄めかしたのは、本の内容ではなく、リチャードとの特別な関係であるように感じられ、不安を覚えたのだった。
その晩、リチャードに呼び出されたヒサエルディスは、ティヌリエルの発言を引いて、改めて王女との関係を尋ねた。
途端に、ガバッと抱きしめられた。
「嬉しいよ、ヒサエルディス。お前が妬いてくれるとは」
首筋に這う唇の感触が、下半身を刺激する。
彼女は腰をもぞもぞさせた。すると、リチャードが彼女をくるりと回し、後ろから片手で抱き寄せた。
もう片方の手が、尻の方からスカートを捲る動きに気付いて、ヒサエルディスは下半身に熱が集まったような感覚を覚えた。
「リチャード?」
「外でこんなことをさせるなんて、お前は悪い娘だな」
耳元で低く囁くと、手早く下着をずり下ろした彼女の尻の間に、彼の陰茎を差し入れた。
「あ」
声は、首を捻じ曲げられ、唇を押し当てられて、途切れた。
リチャードが腰を押したり引いたりする度、ヒサエルディスの体に、新たな快楽が刻まれる。彼女の足の付け根は、彼のそれを受け入れるべく、粘り気のある液体を湛えて準備していたのだ。
にちゃ、にちゃと聞きなれない音が、彼の息子を咥えた時の音を、否応なく連想させる。
この快感は、これまでになく深い。ヒサエルディスは、両手を後ろへ回すと、リチャードの腰を掴んで離れないようにした。
彼の手が、スカートの前もたくし上げ、下へ潜り込む。指先が、これまで誰にも触れられたことのない箇所に伸びた。
「んっんんんっ」
再び声を上げそうになる。恥ずかしいと思う気持ちが、快感と共鳴して更なる快感を呼ぶ。リチャードのもう片方の手が、ヒサエルディスの上衣をまさぐり、隙間から入り込んだ。
「あ」
「抑えろ」
乳房にも触れられた。強く揉みしだかれ、乳首をつねるように弄られたが、痛みすらも快感に思われた。
ヒサエルディスは、声を出さないよう、自ら口を彼に押し付けた。
ヒサエルディスは、その確信をどうしても打ち消せない。
あれからリチャードに呼び出されては、唇を重ねている。彼の力強い腕に絡め取られつつ、キスをしていると、腹の奥が、落ち着かない心地になる。
これまで培った知識を総動員して、それ以上先に起こりうることへの覚悟は持っているつもりだったが、彼から仕掛けては来なかった。
彼らの逢引きする場所が悪いのかもしれない。ヒサエルディスの朧な印象によれば、それはベッドの上で行われるものだった。
リチャードと親密な関係を築いたヒサエルディスの目から見ると、ビアトリスはティヌリエルの接待を口実にリチャードを訪問し過ぎであり、ティヌリエルもまた、魔法の研究調査を名目に、彼へ話しかけ過ぎる。
当のリチャードも、両王女に対して丁重で親切に応じ、ますます彼女たちの熱を上げるように見えた。
「俺は、元平民の魔術師に過ぎない。王女様とは身分が違う」
ヒサエルディスが、思い切って王女たちとの関係を問うと、リチャードは説いた。
「仮に、俺が王女様に惚れても、あちらでお断りするさ。王族は血筋が大事だからな」
彼の言うのは人間に関してであり、エルフの感覚とは微妙に異なった。しかし、彼女はその差について、彼にくどくどしく説明しなかった。それよりも、二人で楽しく過ごす時間を多く取りたかった。
今ではヒサエルディスは、リチャードの精液を飲ませて貰えるほどになった。
「俺の、こんな部分を晒せるのも、咥えさせるのも、お前だけだ」
彼は、その陰茎を口いっぱい頬張る彼女の頭を、両手で押さえつける。彼女が舌で上手く刺激できると、艶を含んだ声が聞ける。
他の者に漏れ聞かれないよう、抑える様も色っぽく、彼女の下半身は、いつも湿り気を帯びるのであった。
「ヒサエルディスは、人間と結婚することについて、どう思う?」
ティヌリエルに問われ、王女の髪をブラシで梳いていたヒサエルディスは、思わず手を止めた。
まさに、彼女が現在悩んでいる問題であった。王女がその質問を発した事が、衝撃だった。
「寿命が違い過ぎて、現実的ではないと思うわ」
「やっぱり、そう思う?」
ティヌリエルは、何故か楽しそうに言う。ヒサエルディスは、余計な口を利かぬよう、仕事の手を早めた。
公的訪問中に、恋愛関係を取り結ぶのは好ましくない、とリチャードから聞かされていた。
少なくとも一旦帰国して、職務外で個人的に交際を始めた、と言う体裁を整えるまでは、関係を公にすべきでない、との意である。
「リチャード様は、優れた魔術師だわ。今執筆に取り掛かっている本が完成したら、人間の世界が一変するわよ」
聞き捨てならない発言だった。
リチャードが、仕事の合間に原稿を書いていることは、知っていた。
ヒサエルディスは、内容を尋ねたことがない。古代語で記すからには、読者を限定したいのだろう、とは思っていた。
侍女の身分で、許可もなく書類や本を見てはならない、とこれまで我慢を重ねていたのである。リウメネレンの蔵書を読み漁ってきた彼女にとって、今の状況は、ある種の拷問であった。
ティヌリエルは王族の常として、古代語にも堪能である。いくら王女であっても、彼の側で本を読むふりをしながら、勝手に盗み見て、発表前の内容を漏らすのは、行儀が悪いでは済まされない。
その内容によっては、下手をすれば、外交問題になりかねない。
そんなに重大な内容なら、執筆場所にも気を配るだろう。ヒサエルディスも、どこかで分かってはいた。彼女は王女に嫉妬していたのである。
王女が彼を、自然にリチャードと名前で呼んだことも、引っかかった。
「ティヌリエル様。公開前の本の内容を、著者の許可なく広めてはいけません」
「わかっているわよ。そんな生真面目にお説教しないで。貴女だから、特別に教えたのよ」
「ありがとうございます」
と、ヒサエルディスは応じたが、内心ではひどく動揺した。
王女が仄めかしたのは、本の内容ではなく、リチャードとの特別な関係であるように感じられ、不安を覚えたのだった。
その晩、リチャードに呼び出されたヒサエルディスは、ティヌリエルの発言を引いて、改めて王女との関係を尋ねた。
途端に、ガバッと抱きしめられた。
「嬉しいよ、ヒサエルディス。お前が妬いてくれるとは」
首筋に這う唇の感触が、下半身を刺激する。
彼女は腰をもぞもぞさせた。すると、リチャードが彼女をくるりと回し、後ろから片手で抱き寄せた。
もう片方の手が、尻の方からスカートを捲る動きに気付いて、ヒサエルディスは下半身に熱が集まったような感覚を覚えた。
「リチャード?」
「外でこんなことをさせるなんて、お前は悪い娘だな」
耳元で低く囁くと、手早く下着をずり下ろした彼女の尻の間に、彼の陰茎を差し入れた。
「あ」
声は、首を捻じ曲げられ、唇を押し当てられて、途切れた。
リチャードが腰を押したり引いたりする度、ヒサエルディスの体に、新たな快楽が刻まれる。彼女の足の付け根は、彼のそれを受け入れるべく、粘り気のある液体を湛えて準備していたのだ。
にちゃ、にちゃと聞きなれない音が、彼の息子を咥えた時の音を、否応なく連想させる。
この快感は、これまでになく深い。ヒサエルディスは、両手を後ろへ回すと、リチャードの腰を掴んで離れないようにした。
彼の手が、スカートの前もたくし上げ、下へ潜り込む。指先が、これまで誰にも触れられたことのない箇所に伸びた。
「んっんんんっ」
再び声を上げそうになる。恥ずかしいと思う気持ちが、快感と共鳴して更なる快感を呼ぶ。リチャードのもう片方の手が、ヒサエルディスの上衣をまさぐり、隙間から入り込んだ。
「あ」
「抑えろ」
乳房にも触れられた。強く揉みしだかれ、乳首をつねるように弄られたが、痛みすらも快感に思われた。
ヒサエルディスは、声を出さないよう、自ら口を彼に押し付けた。
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