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11 お嬢様神官

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 寝室へ戻って一眠りしたと思ったら、ノックの音で目が覚めた。夜中である。無視しようか迷ったが、結局扉を開けた。
 竜人教授ではなく、神官がいた。

 「どうした? 何かあったか」

 「内々にお話が」

 切羽詰まった表情に、とりあえず中へ入れる。
 部屋のランプは最小限の灯りしかない。火を大きくしようと向きを変えると、後ろから腕を掴まれた。

 「このままで」

 そう言えば内々の話だった。小テーブルと椅子へ誘うと、神官は疲れているのかベッドへ腰掛けた。隣に座る訳にもいかず、椅子を動かすのも大儀で、その前に立つ。

 「何か」

 「眠れなくて」

 「心配事?」

 「ええまあ」

 長くなりそうだ。面倒でも椅子を持ってこようとすると、またも腕を掴まれる。隣へ座るよう促され、ベッドへ腰掛ける。眠気が誘われる。

 神官は、なかなか口を開かない。眠い。

 「言いにくいようだったら、他の人にも声をかけようか」

 「いえ。私、体が変なのです」

 切り口上で言われた。あ、もしかして、閨教育を見て興奮した? 神官は宰相の娘ながら、幼少期から神殿で過ごした箱入り娘。刺激が強過ぎた。

 「お祈りしても、ダメだった?」

 「はい。その、先ほどの貴方の姿ばかり頭に浮かんでしまって」

 やっぱり。自分でも対処がわからなくて混乱しているのだ。他の女だったら、俺がとりあえず挿れて発散してやってもいいが、これから神殿に戻る貴族の娘に、手を出すのは危ない。

 「頭の中で考えるだけなら自由だから、私を使ってしたいように想像していいんだよ」

 「既に試してしまいました。すみません」

 申し訳なさから、敬語に戻っている。うす暗がりに慣れた目にも、赤面しているのがわかる。つまり、俺とのセックスを想像したってことか?

 俺の腰が反応する。バレないよう、さりげなく向きを変える。幸い、気付かれていない。

 「でも、ますます目が冴えてしまって。あの、、というのを一回試していただけないかと思って、お邪魔しました」

 「いや、ダメでしょう」

 思わず俺も素になった。
 神官は、青みを帯びた黒髪に緑の目を持つ清楚系で、俺の好みだ。一発ぶち込みたいのは山々だが、素股でも妊娠の可能性はある。

 万が一にも、妊娠させたら俺は命も名誉も失う。かといって、真面目に交際して結婚を認められる相手でもない。

 魔法学院の教師には元々貴族の者もおり、社会的地位も高いが、俺の身分は平民である。可能性があったとして、事実先行は悪手だ。
 そもそも、俺は彼女と結婚したいと思っていない。

 「ダメですか」

 魅力的な緑の瞳を潤ませ、にじり寄る神官。柔らかいベッドが沈み、距離が急速に縮む。めちゃくちゃ効果的な煽り。わかってやっているなら、悪質だ。

 「一回したら、次もしたくなります。常に私が側にいられる訳ではありません。一人でする練習をしましょう」

 神官の動きが止まる。ギリギリで攻撃を回避した。

 「あれを、一人でできるのですか?」

 「やり方を教えます」

 「お願いします」

 セルフプレジャーのやり方を教えることになった。いわゆるオナニーとか自慰とかいう奴だ。タオルを用意した後、ベッドに乗ってもらい、俺は後方に立った。

 「下着は汚れてしまいますから、脱ぎましょう」

 「つけていません」

 ヤバい。危なかった。うっかり触れたら、勢いでそのまま突っ込んでいたかも。

 「では、手探りで、性器の当たりに触れてください。正確な場所は後から確かめればいいので、まず、どこを触ったら気持ちがいいのか、自分で探してみましょう。敏感な場所なので、強く触る必要はありません。軽く触れる程度で十分です。鏡を見ながらした方がいいですか? 個人的には、その方が恥ずかしいですけれど」

 「ええと。鏡はなし、でお願いします」

 しばらくゴソゴソした後、首が後ろを向いた。

 「大陰唇、小陰唇、陰核、膣口付近を探ってみましたが、気持ちいいという感じではありません。私には、才能がないのでしょうか」

 真面目過ぎる。解剖じゃないのだ。

 「目を閉じて、好みの人に、性的なことをされていると想像してください」

 さらに時間経過。

 「あの、どうも、私の想像力が、足りないようです」

 「誰でも最初から上手くは出来ないものですよ。あれは、薬の効果も加わっています」

 敢えて笑顔を作って明るく、軽めに言う。対する神官の表情が深刻度を増している。

 「初めだけでいいので、師匠の手で直接指導をお願いできませんか」

 とうとう師匠になってしまった。萎えるのと興奮と、逆方向の感情が一度に湧き起こる。

 「わかりました」

 俺はベッドの上に乗り、神官を背後から抱く格好になった。神官の体が震える。

 「怖いですか」

 「いえ。大丈夫です」

 「力を抜いて、目を閉じていてください。触覚に集中して」

 上から覆うように手を掴み、秘部へ持っていく。性器全体から、徐々に敏感な部分へと柔らかに撫でさすって行く。俺の前面が神官の背中と密着しているので、頭は肩にもたせかけるような位置にあり、自然と息を首筋から胸にかけて吹きかける形になる。

 ふと目の前に、小ぶりながらつん、と上向いた形の良い乳房が揺れていることに気づく。
 空いた手も掴んで乳房を揉み、乳首をいじらせた。指を一本一本重ね合わせて動かすのは無理なので、俺の指も一緒に肌に触れている。

 「はあっ」

 息が乱れてきた。体温が上がり、じんわりと愛液が滲み出るのを指先に感じる。両手を下半身に投入させる。また神官の体が震える。今度は快感のためだ。ともすると手から力が抜けそうになるのを、励ます。

 「指先から力を抜いてはいけません。ご自分の力でやり遂げるのです」

 「は、はい~」

 返事をする声が濡れている。俺は頃合いを見て、神官と共に指を穴に挿し入れた。ぎゅっと指を締め付けられる感覚と共に、神官の反応が明らかに一段と激しくなった。

 「あっ」

 「抜いてはいけません。我慢して。ゆっくり前後に動かします」

 神官が動くので、喋るたびに唇が肌に当たる。腰が揺れる。

 「もっと。師匠、もっと激しくしてぇ」

 師匠と言われると、ちょっと萎える。今回は、その方が好都合だ。
 対して神官の興奮は高まっている。発音が不明瞭なのは、涎のせいだ。顎から垂れるのが見えた。

 「したいようにして良いのですよ。合わせます」

 言われなくても、入る指が勝手に増えていた。激しく指を出し入れしつつのけぞり、腰を浮かしながら絶頂を迎えた。
 ぐったりとベッドに倒れ込んでいる神官の下腹部を、タオルとお湯で拭う。

 「あ、ありがとうございます。とても良かったです。ただ、これを、一人でできるのか、心配です。師匠、出来れば‥‥」

 まだ上気した顔で俺を見上げる。

 「練習あるのみです」

 俺は営業スマイルで遮った。早いところ帰ってもらわないと、俺の息子の始末が出来ない。
 ここで神官を抱いたら、今までの努力が水の泡になる。
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