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第1章 鎧の効果は抜群だった

おっぱいせい人

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 道中話したり、外でヤったりしながら、師匠の家に着いた。

 森の入り口で、街道からは外れている。周囲に村はない。でも、思ったより、こざっぱりした外観の一軒家だった。家の周りに、ハーブみたいな植物が、綺麗に植えられている。

 「師匠、僕です。ローガンです」

 ローガンが、ノックしながら声を張った。緊張しているのが、ピンと張った背筋から感じ取れる。あたしも初営業に乗り込むつもりで、姿勢を正した。

 「はーい」

 予想より若い、それもかなり可愛い声が奥から聞こえた。使い魔? 弟子?
 扉が開いた。姿がない。いや、視界の下方に、オレンジ色の髪が見える。あたしは下を向いた。

 「師匠、お久しぶりです」
 「まあ、ローガン。ちょっと見ない間に、随分たくましく成長したのね」

 ロリ声上目遣いに上から目線の挨拶をかましたのは、幼児体型に巨乳をぶら下げた少女だった。そしてこの女が、まさしくローガンの師匠ブレンダだった。

 やっぱり、搾り取る作戦は使えなかった。

 「ふむふむ。呪いを外せるかどうかは、実見しないと何とも言えないわね。記憶喪失も、呪いのせいとは限らない」

 ブレンダは、一通りあたしから話を聞きながら、合間合間に質問を挟み、最後に感想を言った。見た目はおっぱい以外、10歳ぐらいの感じだけれど、本当はあたしの前世より年上かもしれない。ある意味最強の女だわ。

 「では、早速見ていただいて」
 「待った! ちょっと待つ」

 立ち上がり、マントを開くあたしを止める。ローガンに貰った服を被っているから、マントを脱いでも問題ないのだが、習慣でくるまっていた。

 「ユノ、だっけ? あんた風呂しばらく入っていないだろ。奥に風呂がある。綺麗にしてから、二階へ来な。ゆっくり入っていいよ」
 「お風呂あるんですか」

 ブレンダが、お母さんみたいに見えた。前世でも随分前に亡くしているから、イメージね。そのくらい、嬉しかったってこと。

 「風呂を知っているなら、身分のある人間に仕えていたかもしれないね。使い方わかる?」
 「教えてください」

 この世界の風呂は、金持ち専用なのか。どうりで、農家や宿にもない訳だ。

 ブレンダについて、風呂場へ行ってみる。シャワーと浴槽があって、床から天井まで石で覆われていた。排水口もある。

 「今、湯を張る」

 ブレンダは事もなげに言うと、一瞬で浴槽が湯気の立つお湯でいっぱいになった。

 「ここを回すと、上からも湯が出る」

 とシャワーを指す。石鹸もあった。ポンプ式ボディソープやシャンプーはないけど、中世ファンタジー世界にそこまで求めるのは、贅沢だよね。
 ゲーム世界なのに、変な部分だけリアルだな、という不満はあるけれど。

 それとも、クリエイターやデザイナーの意識にない部分は、文化レベルに合わせて自動で決まるのかな。エロゲなら、浴室で泡プレイもありそうなのに。

 文句を言っても仕方ない。日本式の風呂と、シャワーと、石鹸まであるのだ。これまでの生活を思い返せば、十分すぎるくらいだわ。

 「ありがとうございます」
 「タオルは外に置いておく。頭から足の先まで、ゆっくり綺麗に磨いて来て」
 「はい!」

 ブレンダが去ったのを確認してから、浴室の手前にある小部屋で服を脱ぐ。もう大分慣れたけど、前世日本の感覚だと、あたしの肌は、垢じみて黒ずんでいる。
 急に耐え難くなってきた。

 風呂場には、手桶も椅子も洗面器もない。掛け湯を省略して、いきなり浴槽へ足を突っ込んだ。ややぬるめの、ちょうど良い湯加減だ。溢れるのも気にせず、肩まで浸かる。

 ああ、気持ちいい。

 顔を洗い、頭も突っ込んだ。濡らしただけで、湯が汚れた感じがした。うわ。
 最後に湯を落とそう。もうついでだから、そのまま洗う。大分もつれている。ブラシが欲しかった。
 ある程度お湯で洗って、石鹸を思い出す。浴槽から出て、石鹸を掴む。

 ハーブが混ぜ込んであって、意外とオシャレな感じの見てくれだった。ちょっと擦っただけで、ぶわっと泡立つ。魔法がかけてあるに違いない。

 髪の毛と顔と全身に擦り付け、顔から洗っていく。髪は難物だ。結構な量の毛が抜けた。洗い終わると、明らかに頭が軽い。毛の量が心配になる。触った感じでは、禿げていない。

 体をちゃんと洗うのも、意外と大変だった。針金鎧は、ここでも呪いを発揮した。垢すりタオルとかないから、背中はどうしても手薄になる。
 でも、頑張って洗った。

 見せる前に入浴を要求するってことは、そういうことだよね?

 女が相手でも、欲情するってこと? ブレンダ両刀使い? 3Pかも。

 あたしは、風呂で上気した体が、早くも興奮で更に熱くなる気がした。
 いけない。いやらしいことを考えたら、せっかく綺麗にした体が、エロい液まみれになっちゃう。

 服を脱いだ小部屋には、タオルが置いてあった。髪の毛や体を拭き上げるまでの間に、何回か風呂場へ舞い戻って股を洗い直さなければならなかった。思っていたよりも、結構な時間が経った気がした。

 あたしの脱いだ服もそのまま置いてあったけど、綺麗になった体の上に着る気がしなかった。鎧を見てもらうんだから、この格好でいいよね。

 あたしは鎧以外、全裸で2階へ続く階段を上った。

 「ああっ。し、師匠、いいっ。すごくいいっ」
 「ローグっ」

 まあ、多少は予想していたわよ。ローガンが師匠について教えたがらない辺りから。

 ブレンダとローガンが、ベッドの上でセックスの真っ最中だった。
 ローガンは、師匠の巨大なおっぱいに完全に顔を埋めていて、あたしが来たことに気付かず腰を激しく前後させていた。

 ブレンダも、ローガンの上で腰を振っていたが、あたしには気付いた。にやりと笑うと、自分で乳房を掴み、乳首をローガンの耳に突っ込んでぐりぐりした。

 「あっ。乳首っ。師匠の乳首気持ちいいっ」
 「舐めてもいいんだよ」
 「舐めたいっ。乳首を舌で転がしたいっ」

 ローガンの訴えに、ブレンダが応える。片方の乳首を耳から外し、どうやら口へ突っ込んだようだ。片乳が邪魔で顔が見えない。ちゅばちゅば、と音だけ聞こえる。

 「師匠のおっぱい最高!」

 ちゅうちゅう。

 「でも、ローグはまだ若いからねえ」

 ブレンダが、ローガンの髪を掻き上げ、額にキスをする。顔を上げたローガンは、ブレンダの顔を見上げる。あたしは視界に入らない。

 「僕、師匠さえいれば、何も要らない。やっと、やっと繋がれたんだ。絶対離さないから」

 と、ブレンダの腰をしっかり掴んだローガンは、下から思い切り突き上げる。オレンジの髪と、自由な方の乳が跳ねる。

 「あん、激しっ」

 ぐちょっ。ぐちょっ。

 聞き慣れた音がリズミカルに続く。でも、あたしの体から出た音じゃない。

 そこで我に返る。
 落ち着いて、事態を整理しよう。

 「師匠、キスして」
 「いいよ、たくましいローグ」

 うーん、落ち着けないかも。
 あたしは、そっと階段を降りた。


 1階には、ガラス棚があって、薬品のような瓶がたくさん並んでいた。薬局みたいなことで、生計を立てているのかな。
 2階からは、ベッドがギシギシときしむ音が聞こえる他、あの粘着質な音や声までは届かなかった。
 じゃあ、ちょっと考えようか。

 ローガンとあたしはビジネスパートナーであって、恋人ではない。だから、ローガンがブレンダとセックスしたって問題ない。色々な相手とヤった方がレベルも上がるし。向こうの方が付き合いが長いのだ。

 ブレンダも、ローガンとあたしがセックスした事には気付いただろう。それでお咎めもなかった。
 でもって、ブレンダとローガンがヤっているのを見たあたしは、何だか面白くない。何で?

 風呂に入って綺麗になった体を、持て余しているのだ。ローガンでもブレンダでもいいから、ヤりたかった。
 長風呂だった自覚はあるけど、待っていて欲しかった。そうじゃなければ、あたしが風呂から出た時には終わっていて欲しかった。

 ブレンダは、鎧を着たあたしを見ても、欲情しなかった。女だからか、他の人とヤっている最中だからかは、わからない。それも面白くない一因だ。

 腹立ち紛れに出て行ってしまおうかな。今なら2人とも追いかけてこないだろう。
 あたしは針金鎧を脱げないけど、方法は聞いた。きっとまだ機会はある。旅費もゲットしたし。

 決めた。次の機会に賭けよう。

 あたしはローガンに貰った服を着て、マントを羽織り、外へ出た。買ってもらった服、返さなくていいよね。
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