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神様の微妙な加護

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「もしもし~起きてください」
「朝ですよ~」

何だか神々しい声がする。
起きないとマズい気がして悠理は目を開けた。
世界が白い

「あっ、起きましたね」

話しかけてくる人物を見ようにも、その人物の背後から光がさして眩しくて仕方ない。
シルエットしか見えない。

「誰?」

「あっ、私、こちら側の神様です」
と、シルエットから察するにロン毛らしき人物がいい、

「私は他の世界の神様です」と、パンチパーマをかけているのではと思われる人物がいった。

目の前で手を翳している悠理にこちらの神様とかいう人物がいう。
「眩しいですか?いま、後光絞りますので」

少し光ってる程度になり、普通に認識できた。
悠理の目の前には、にこやかな顔のロン毛とパンチパーマの人物がいた。

「ヤバい・・・母上の影響か?夢の中まで神仏が出だしたら終わりだよな」
悠理は顳かみを押さえ呟いたのを聞いたロン毛の神様は苦笑いをして

「夢ではありますが、夢ではないですよ」

「矛盾してないですか、それ」

「そんなジト目で見ない。世間には往々にして矛盾があるものです。南無~」

って、それお経じゃんと悠理は内心でツッコむ。

「そこは、置いといて、私達、実はあなたに話さないといけないことがありましてね・・・」
とロン毛の神様だとかいう人物が話しだした。

「・・・話を要約すると、そっちの神様が一本棒を書きそこねて余った寿命を母上の起した煙害と香害に負けたこっちの神様がこれ幸いと譲り受け、私の寿命が延びたと」

「「はい、そのとおり」」

「なら、直ぐに男の子としてこれから生かして!母上をなんとかして!」
切実に訴える悠理にロン毛の神様はあっさりと
「あっ、それ無理だから」

「なぜっ!」

「思い込みが激しいヒトって、そう簡単には思い込みは解けないんだよ。プラシーボ効果や刷り込みって言葉知ってるかな。君の母親はそれが神レベルでさ、無理なのよ」
 
神様さえお手上げって、そんなにヤバかったのか、母上は。改めて引いてしまう悠理だった。

「そう落ち込まなくてもさ、ここからが本題なんだ。手違いとはいえ、君には悪いことしたからね。そこで償いというかお詫びで私達ふたりの加護を与えるから」パンチパーマの神様が済まなさそうにいう。

「うん。私からは魔力を。と言っても私、神様だから支援や癒やし魔法の魔力ね」

「どうせなら攻撃魔法の方がいい。カッコいいし」

「私の創造った世界は魔獣や何かがいるし、傷ついた勇者や人々を助ける女神って、よくない?」

“女神って、根本的に違うし!よくないし!!”

「私は世界が違うから、そういうものはあげられない。だけど、君が窮地に陥ったり、不幸になりそうな時には、必ず救われるようにしとくから」

「それはありがたいのかも」

「ええっ、神様ふたりの加護だよ。有り難いに決まってるじゃん」

「姫のままでいなきゃいけないのに?」

「そんな複雑そうな顔しないでよ。えっ?イマイチ不安だ?なら、おまけで教えてあげる。君、怒涛の日々を送るけど、最終的には幸せになるから安心して残りの人生送りなよ」

「信ずるものは救われると、いうじゃないか」

「そろそろ時間だから・・・またね」

自分たちの言いたいことだけいって、ロン毛とパンチパーマの神様は消えていく。
それと同時に悠理の意識もふわっとが浮上した。

目が覚めると見慣れた自室のベッドの上。

「極度の精神性疲労か?神様とか魔法とかありえないから。夢でも現実逃避見、もう終わってないか?」
悠理はハァーとため息を吐く。

サイドテーブルに置かれた花瓶の萎れそうな花が目に入る

“・・・まさかね・・・”

半信半疑で触ると切りたてみたいな状態になった。

「・・・マジですか・・・」

翌日、屋敷をこっそり抜け出した悠理は髪をフードに隠して冒険者ギルドを訪れた。
魔力の確認をしてもらうためだ。
古代文字の刻まれた粘土板に手を翳すと空中に文字と数字が現れる。         
ロン毛の神様のいう通り、支援魔法、癒やしの力のみ特化していた。
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