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第二十五話 小物

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ほう、俺が死ぬほどの技。見てみたい。

前世の俺は別に喧嘩に強かったり体術を心得ていたわけではないが、次の攻撃がわかるだけでかなりの余裕があった。

剣身が赤く光る。
何かのスキルだろうか。

また右の大振りか?

いや違う。

最初の右の大振りと同じ体制をしているが、フェイントだ。

そのまま振りかぶって切りおろしに持って行くまでが鮮明に見通せた。

特に剣から魔法が出たりしないところを見ると、単なる威力上昇とかのスキルなのだろう。

少し残念だ。

見た通りの光景が今現実でなぞられていく。

俺は初めと同じようにしゃがむように避けるふりをして、振りかぶった瞬間に男の後ろに回り込む。



回り込む際にチラッと見えた驚く顔は堪らなかった。

背中から見る男は僕よりも身長も体格も大きいのにいかにもちっぽけだった。

ガラ空きの首の付け根に手刀を軽く叩き込む。

軽くとはいえ、俺が能力を使って確実に意識を手放すポイントに打ち込んだ。

男は地面に剣を叩きつけるとその勢いに任せて膝から崩れ落ちた。

白目剥いて口から涎を垂らしているのは実に見ものだ。

ジャックが相手にしていた取り巻きも1人を残して締められたようだった。

「ゆっ許してください。金はこの通り」
残った1人がボスがやられたのを見て実に小物くさいことを言った。

「邪魔だ。尻尾を巻いてとっとと失せろ」
無傷のジャックがそういうと、小物たちは回収されてどこかへ走り去った。

「お前って意外と動けるんだな。やるじゃねーか。もっと魔法士みたいにヒョロイのかと思ってた」
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