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17 ピタピタつんつるてん

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「それで、姉様、次はどこに向かうのですか?デザートのお店ですか?」

 本日の弟くんは、いつもより少し小さい。アーリエアンナが、馬での移動を考え選んだ、平民仕様のブカっとした荒い生地のシャツとズボンに合わせ、踵に高さのある無骨なブーツを履いているからなのだが、レーリスが自分よりかなり小さいく見えた。それが良き。かわゆす。

 長身一族に属する2人は、まだ身長を伸ばしている最中であるが、男の子である弟レーリスは、急成長期を迎えつつあり、去年あたりまで感じていた4歳という年齢差による見た目の大きさがあまりなくなってきていた。それがちょっと寂しい。

 今では成人男性の拳1つ分程度の身長差しかなく、小さな小さな幼児だった弟を懐かしんでしまう今日この頃。

「今日は、この後は古着屋に何軒か寄る予定よ。最近平民の中で流行っている帽子が欲しいから。レーリスも服を買った方が良さそうよね。」

 アーリエアンナは、街に降りたときに平民の店で服を調達できているが、レーリスのように屋敷から注文をしてもらうと、平民の古着を頼んだつもりが、布のランクを落としただけのオーダーメイドの新品が届いてしまうし。成長期の今は、そのジャストサイズが問題だ。

 そして、超高価ではないけれど、平民が着るにはどうかという布で仕立てた洋服で、下位貴族だと思ってもらえれば良いけど、この世界の領地住まいの下位貴族はもっとワイルドなのよね。可愛いレーリスが着ると、平民の坊っちゃまにも見えづらいというか。

「服!街で着る服があまりないので、僕も欲しいです!」

「そうね、ゆったり大きめサイズの物を何枚か買っておきましょうか。サイズがぴったりだと、今のレーリスだと着れる期間が短いし、平民の子供なら、成長期でも着れるように、大きめを着ている子が多いから。まあ、今着ているその服は、布の綺麗さはともかく、そのピタピタ感とか、つんつるてん感が良い味出してくれているような気がするけど。なんだか苦しそうで見ているのが辛いわ。」

「ピタピタ?つんつるてん感?えーと、よくわかりませんが、苦しくはないです。ちょっとだけ、動きにくいのと。馬に乗る時、どこかの糸が切れたような音がして怖かったですけど」

 時折、意識せず意味不明な異世界語を発してしまうアーリエアンナ。何を言われているのかわからないが、ある意味慣れていることなので、そこは軽く流して、服が窮屈であることは認めたレーリス。

 実は股が少しだけ破れているのだが、姉弟は、気づいていなかった。(笑)


「洋服を見ながら街歩きをして、どこかでデザートを食べて、夕方には宿屋に入る予定よ」

「街歩き、楽しそうです。泊まるのは、平民向けの上級宿ですか?」

「そうよ。中級でも良いけど、上級までしか家の許可が出ないの。中級とか下級にも泊まってみたいのだけど。」

「姉様はお強いですけど、美しいので、安全を考えたら仕方がないと思います。でも、僕がついてるので、中級ぐらいなら平気だと思うんですけどね。」

 強いかもしれないけれど、綺麗で可愛い姉弟。寝ている間や、食事や飲み物への警戒が必要だ。
 変態を舐めんなよ!ということで、一族の大人から、そんな許可が出ることはなかった。

「明日は、どこに行くのですか?」

「うふふ。明日はこのハイエリアから出てミッドエリアの王都街屋敷に向かうわ。明日なら屋敷でお母様に会えるわよ。お昼には間に合わないけれど、ティータイムには到着できるはずだから。」


********
後書き
あれ、なんかこの国の貴族おかしくね?
とツッコミどころだらけな設定ですけれど、読み流して、笑っていただければ幸いです。
全部ではないですけど、こんな感じになってますという説明は、今後もちょこちょこ入っていきます。
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