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第17 サポート役ですから…? 2

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「本日はブランシャール男爵令嬢もご一緒だったのですね。たしかお手伝いをお願いされているとか」

リオネル様がいらっしゃった時とは違う、ハッキリと馬鹿にしたような表情だった。その態度からもだいぶ我が家を嫌っていることが伝わってくる。

さっきのレヴァスト子爵の視線やエディス様の表情が、私がケガの賠償のためにカナトス家へお世話になっていることを知っていると告げていた。
そして私はそんな2人に、なるほど、そういうことなのかと納得する。

いくら招待客の同伴者が嫌いな者だったとしても、通常なら招待客への敬意と一緒に連れの者へも敬意を払うものだった。

だけどエディス様にとって私は連れではなく、ただリオネル様の不自由さを補うための小間使い。使用人といった立場と判断されたようだった。

「あなたのせいでケガを負われたと聞いているわ。これだけのご迷惑をおかけしているのだから、これ以上ご迷惑にならないよう、今日もあまり出しゃばらないで下さいね」

もともと自分自身へ言い聞かせていたことと同じような内容とはいえ、誰かの口から聞かされるのはまた違った重みがあった。

「そうですね、肝に銘じておきます」

ずいぶんと率直に吐かれた言葉に私は目線をそっと伏せた。

「何のお話しをされているのかしら、私も交ぜていただきたいわ」

そんなやりとりの中だった。今度は背後から女性の声が聞こえてくる。リオネル様にテラスで待っておくように言われていたはずなのに、人が途切れない状況に抜け出すことができなかった。

舞踏会などのパーティーへ慣れた本物の淑女達なら、上手くこんな状況もかわせるのかもしれない。でも私の経験はリオネル様と出会ったお茶会が最後の状態なのだ。

「メリーナ様、本日は足をお運び頂きありがとうございます」

「とんでもございません。このように楽しいパーティーは久しぶりですもの。お招き頂けて光栄ですわ」

こんな状況で途方にくれる私の前で2人が優雅に挨拶を交わしている。

私が初めてお会いする方だった。だけどメリーナ様のお名前はエレンの愚痴の中で何度も聞いたことがあったと思い出せば、疲れが一気に増していくようだった。

メリーナ=グラネルト伯爵令嬢。
たしかエディス様と過ごされることが多く、言葉を選ばないなら子爵家令嬢の方々を取り巻きとされている方だったと覚えている。

私を名前ではなくひたすら男爵令嬢と呼び続けるエディス様は正直権力というものに弱いようだった。メリーナ様を前にして、さっきまであった高慢な態度がすっかりなくなっていることは少し面白い。

だけど日頃から懇意にしていてホストという立場であるエディス様からはともかく、爵位の低い私からはメリーナ様へ直接話しかけることができないのだ。

話しかけられることもないまま、この場に居続けるよりもそろそろリオネル様に言われた通りテラスへ向かってしまいたい。それでも1度もご挨拶もないままこの場を立ち去ってしまうのも、少しだけ気が引けていた。

私がいっさい会話に入れないまま、二人の会話が弾んでいく。

そして互いの髪型やドレスの話題から、ネックレスなどの装飾品の話しになった時。
メリーナ様がご自身のネックレスの青い石を楽しそうに示してみせていた。
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